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公認心理師とは?資格取得方法と仕事内容を解説

心理学についての資格は多く、資格を取得することで、医療や福祉、教育など多岐にわたる分野で活躍可能です。そんななかでも、2017年からスタートした公認心理師は、日本で初めて誕生した心理学関連の国家資格ということもあり、関心を寄せる方も多いことでしょう。公認心理師の資格を取得するのは容易ではありませんが、公認心理師になれば、心理専門職としてさまざまな分野で活躍することができます。
ここでは、ほかの資格との違いや資格取得方法、心理専門職に就いた場合の年収などを詳細に見ていきます。公認心理師の資格取得を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

公認心理師とは?

心理学関連の資格としてよく取り上げられるものとして、認定心理士、臨床心理士、公認心理師があります。ここではまず、3つの資格がどのように違うのかを解説していきます。資格取得を考えている方は、「将来どんな分野で活躍していきたいのか」「どの資格が自分に合っているのか」を決める判断材料にしてください。

認定心理士

認定心理士は、日本心理学会が認定する資格であり、心理学に関する標準的基礎知識と基礎技術を修得していることを認定するものです。認定心理士になるためには、「大学を卒業して学士の学位を取得していること」と「大学で心理学に関する科目を36単位以上修得していること」が条件となります。この条件を満たした者は申請を行い、審査に合格すれば認定証が送付されます。資格取得のために試験を受けたりする必要はありません。幅広い職業で活用できるため関心を寄せる人も多い資格ですが、職業に直結するわけではありません。

臨床心理士

臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格であり、臨床心理学に基づく知識や技術を活かして、人々が抱える心の問題に向き合う専門家です。臨床心理士は、心理カウンセラー、スクールカウンセラー、産業カウンセラー、心理相談員などの心理専門職として活躍することができます。臨床心理士となるためには専門のカリキュラムを備えた大学院を修了したうえで、臨床心理士資格審査(筆記試験+面接試験)に合格する必要があります。

公認心理師

公認心理師は2015年に成立し、2017年より施行された「公認心理師法」に基づく、心理職の国家資格です。誕生して間もない資格という事もあり、現状では就職先や仕事内容について臨床心理士との違いはあまりありません。しかし、例えば医療機関において「臨床心理技術者」になれるのは公認心理師のみに限定されるなど、一部の分野では公認心理師にしかできないことが増えつつあります。公認心理師の受験資格を得るためにはA~Fまである区分のいずれかを満たす必要があります。条件を満たしたうえで公認心理師試験に合格し、公認心理師として登録すれば資格を取得することができます。

公認心理師になるには?資格取得の流れ

公認心理師は資格取得の方法が6つ(区分A~F)に定められています。その中で一般的な取得方法は区分A・B・Cで、その条件は以下の通りです。

区分A:四年制大学で「指定の科目」履修、および、大学院で「指定の科目」を履修

区分B:四年制大学で「指定の科目」履修、および、「特定の施設」で2年以上の実務経験

区分C: 区分Aおよび区分Bと同等以上の知識および技能を有すると認定された者

区分図

公認心理師の資格取得方法の区分図

※参照:『公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26518.html

上記の条件を満たした者は公認心理師試験を受験することができます。試験に合格し、公認心理師としての登録証が発行されて始めて、公認心理師として認められます。履修科目について、複数の大学または大学院での合算は認められません。

ここでは、それぞれ区分についてさらに詳細に解説していきます。

区分A

区分Aのルートで公認心理師試験を受けるためには、大学と大学院で所定の科目をすべて履修し、なおかつそれらの大学・大学院を卒業している必要があります。ただし、複数の大学で履修した科目を合算することは認められておりません。すでに大学で履修した科目があった場合も、改めてすべての科目を一つの大学・大学院で履修する必要があります。大学・大学院で履修しておくことが必要な科目は以下の通りです。

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大学で履修しておくことが必須の25科目
公認心理師の職責 心理学概論
臨床心理学概論 心理学研究法
心理学統計法 心理学実験
知覚・認知心理学 学習・言語心理学
感情・人格心理学 神経・生理心理学
社会・集団・家族心理学 発達心理学
障害者・障害児心理学 心理的アセスメント
心理学的支援法 健康・医療心理学
福祉心理学 教育・学校心理学
司法・犯罪心理学 産業・組織心理学
人体の構造と機能及び疾病 精神疾患とその治療
関係行政論 心理演習
心理実習(80時間以上)

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大学院で履修しておくことが必須の10科目
保健医療分野に関する理論と支援の展開 福祉分野に関する理論と支援の展開
教育分野に関する理論と支援の展開 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
産業・労働分野に関する理論と支援の展開 心理的アセスメントに関する理論と実践
心理支援に関する理論と実践 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
心の健康教育に関する理論と実践 心理実践実習(450時間以上)

※参照:『公認心理師のカリキュラム等について』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000174192.pdf

区分B

区分Bのルートで公認心理師試験を受けるためには、所定の科目をすべて履修したうえで大学を卒業し、さらに法の規定する施設で2年以上の実務経験を積む必要があります。大学で履修すべき科目は区分Aと同じです。また、実務経験を積むための認定施設は以下の9カ所です。

施設名 所在地
少年鑑別所及び刑事施設 全国各所の該当施設
一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院 青森県弘前市
裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所 埼玉県和光市及び全国の家庭裁判所
医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ 静岡県浜松市
医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック 北海道札幌市
学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院 岡山県倉敷市
学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター 岡山県岡山市
社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園 福岡県筑後市
社会福祉法人楡の会 北海道札幌市

※所在地はプログラムを実施する施設所在地であり、法人本部と異なる場合があります。

※参照:『公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26518.html

区分C

区分Cは海外の大学などで心理学を学んだ方や、公認心理師法が施行される前に大学を卒業していたため、履修科目が規定に届かなかった方を対象としています。このルートで受験資格を得るためには、認定審査を経て、区分Aもしくは区分Bと同等以上の知識を保有していると認められる必要があります。

区分Cの審査対象者は以下の通りです。

第一の1 日本の大学(25科目)+外国の大学院

第一の2 外国の大学+日本の大学院(10科目)

第一の3 外国の大学+日本のプログラム施設(9施設)

第一の4 外国の大学+外国の大学院

第一の5 外国の大学院+外国の心理職資格

第一の6 新たな審査対象者

「新たな審査対象者」は2022年7月より追加されました。過去に大学でカリキュラムの関係で履修科目が合致しなかったため、やむを得ず公認心理師試験の受験資格を得られなかった方も、認定対象者に該当する場合があります。

※参照:『公認心理師法第7条第3号(区分C)に基づく受験資格認定(外国大学等のご出身の方、過去に大学で履修科目が一部不足していた方)』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02912.html

公認心理師登録の方法

公認心理師試験に合格したら、「公認心理師試験研修センター」に登録申請を行い、所定の事項についての登録をする必要があります。登録をせずに公認心理師と名乗ると処罰の対象になりますので、必ず登録しましょう。また、2024年5月に公認心理師に関する政令および省令が施行され、公認心理師法施行令の一部が改正されています。それ以前に合格しており、登録を済ませていない人は注意してください。

手続きの流れ

公認心理師試験後の流れは以下の通りです。

〇合格発表
合格者には合格証書が交付されます。「公認心理師試験研修センター」の「受験関連書類作成システム」にログインし、合格証書PDFをダウンロードしてください。

〇登録申請書作成、登録手数料納付
「公認心理師試験研修センター」の「登録申請書類等作成システム」にログインし、必要な事項を入力してください。そのうえで、新規登録手数料(クレジットカードもしくはコンビニ支払)を納付すると新規登録申請書類をダウンロードできます。

〇登録申請書類提出(郵送・簡易書留)
登録申請書類に必要事項を記載し、ほかの申請に必要な書類と合わせて「公認心理師試験研修センター」宛てに郵送してください。郵送は必ず「簡易書留」で送らなければならないので注意しましょう。必要書類は以下の通りです。

  • 登録申請書(登録免許税15,000円の収入印紙を貼付したもの)
  • 本人確認書類
  • マイナンバー記入および貼付け用紙
  • 合格証書PDFの写し

〇センター受付および審査
新規登録申請書類受領後、「公認心理師試験研修センター」にて審査が行われます。審査内容は以下の通りです。

  1. 公認心理師試験に合格していること
  2. 公認心理師法に規定する欠落事項に該当していないこと

〇公認心理師登録簿に所定事項を登録
審査によって公認心理師の登録資格を有すると認められると、申請者の氏名、生年月日、その他文部科学省および厚生労働省令で定める事項が公認心理師登録簿に登録されます。登録されたその日から公認心理師の名称を使用することができるようになりますが、事前に登録年月日を聞くことはできません。別途交付(郵送)された登録証で確認することになります。

※参照:『公認心理師登録』(公認心理師試験研修センター公式ホームページ・https://www.jccpp.or.jp/toroku.cgi

登録に掛かる手数料

2024年5月27日に施行された公認心理師法施行令および施行規則の改正により、各種手続きにおいてマイナポータルを経由した手続きが行えるようになりました。マイナポータル経由で手続きを行うと、証明書類などの郵送が省略できるようになり、手数料も割引となります。ただしマイナポータル経由で手続きを行うためには、事前に初期設定が必要となりますのでご注意ください。公認心理師新規登録および変更などに係る手数料は下記のとおりです。


手続名
登録関連手数料
マイナポータル経由申請の場合 Webサイトから申請書類をダウンロードし郵送にて送付の場合
登録事項変更
(変更登録のみ)
3,000円 3,100円
書換交付
(書換交付+変更登録)
6,000円 6,100円
再交付 6,100円 6,100円
書換交付
(再交付+変更登録)
9,100円 9,200円
新規登録※ 7,200円 7,200円

※新規登録の場合は、手数料のほかに登録免許税15,000円が必要となります。

※参照:『公認心理師登録』(公認心理師試験研修センター公式・https://www.jccpp.or.jp/toroku.cgi

資格取得のメリット

公認心理師はまだ新しい資格であり、資格取得者も多くはないため、現時点では臨床心理士と公認心理師の求人などにあまり違いはありません。ですが、公認心理師の認知度が高まっていくにつれ、その活躍の場は広がることが予想されます。ここでは、公認心理師資格を取得することでどのようなメリットがあるのかを見ていきます。

国や自治体での求人が増える

国や自治体などの求人では今後、公認心理師を応募条件とするものが増えてくると言われています。その理由として、公認心理師には臨床心理士よりも厳格な守秘義務が課せられていることが挙げられます。

公認心理師の場合、義務の一つに秘密保持が規定されており、秘密保持義務を違反すると罰則が課せられます。対して臨床心理士の場合、「臨床業務従事中に知り得た事項に関しては、専門家としての判断のもとに必要と認めた以外の内容を他に漏らしてはならない。」という表現に留まっており、罰則規定はありません。公的な機関では守秘義務がより厳格であることが求められるため、公認心理師の求人数が増えてくるだろうと言われています。

※参照:『公認心理師法概要』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/content/000964615.pdf)、
『臨床心理士倫理綱領』(日本臨床心理士資格認定協会公式ホームページ・http://fjcbcp.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/03/PDF01_rinrikoryopdf.pdf

公認心理師にしかできない業務が増える

今後は公認心理師資格を持っていないとできないことが増えていく可能性があります。その一つが医療機関での勤務です。これまで、臨床心理士は臨床心理技術者として診療報酬の加算対象でした。しかし、2018年度からは公認心理師だけが診療報酬の加算対象となりました。今後は医療機関でカウンセラーとして働く場合、公認心理師資格を取得していることが条件になる可能性が高いと考えられます。

※参照:『【解説】診療報酬に収載されている公認心理師が関与する業務』(日本公認心理師協会・https://www.jacpp.or.jp/document/pdf/20220706_pdf/medicalfees_cpp.pdf

公認心理師はどんな仕事?

公認心理師はその役割が明確に定められています。

  1. 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
  2. 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

※参照:『公認心理師』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html

臨床心理士と特に違うのは4つ目の項目で、教育や啓蒙活動に努めることを求められていることでしょう。活躍する場は同じであっても、求められる役割は異なります。

公認心理師の職場

公認心理師の資格取得者は主に以下の分野で活躍しています。それぞれ、どのような仕事に携わっているのかを具体的に見ていきましょう。

保健医療領域

病院、診療所、自治体の保健機関、介護療養型医療施設、介護老人保健施設、地域包括支援センターが主な職場となります。

病院では、心理ケアを必要としている方への面接や検査、支援や援助をします。また、他科からの依頼によるアドバイスといった、コンサルテーションも重要な業務です。
保健機関では、精神保健福祉相談員のような役職で、公務員として勤務します。依存症の相談や、ひきこもりの相談、乳幼児の発達検査の相談などをはじめ、心の健康についての啓蒙活動も業務の一環となります。

福祉領域

児童相談所などの児童施設、保育施設、老人福祉施設、市町村社会福祉協議会、リハビリテーションセンター、障がい者通所支援事業などが主な職場となります。

児童施設では、不登校や虐待、障がい、子育てなどの相談に対応し、アセスメント・判定を行います。
障がい者支援施設では、障がい者の心理査定や支援によって、本人と家族のサポートを行います。

特別養護老人ホームやほかの高齢者施設、DV被害を受けた女性を支援する団体などをはじめ、各施設の職員に対する助言など、幅広い活躍が期待されている領域です。

教育関連領域

学校や教育センター、教育委員会、大学教員、研究機関などが主な職場です。

学校では、幼小中高等学校スクールカウンセラーとして、いじめや不登校、自傷行為、発達障がいなどの相談に応じます。以前はスクールカウンセラーのほとんどが臨床心理士でしたが、不登校やいじめ問題の増加に従い、公認心理師も必要とされてきています。スクールカウンセラーとして働く場合は、当事者はもちろん、保護者、教職員や近隣住民なども含めて幅広く対応する必要があります。

また、自治体が運営する教育相談室や教育センターも公認心理師の勤務先として挙げられます。この場合は、学校に所属するスクールカウンセラーとも連携をとりながら、啓蒙活動などにも取り組みます。

司法・矯正領域

裁判所、刑務所、拘置所、少年院、更生施設、婦人補導院、入国者収容所などが主な職場です。

司法領域では、犯罪被害者や加害者の心のケアや更生に向けた心理療法などを行います。警察で心理職員、家庭裁判所調査官、保護観察所の保護観察官として活動する場合は、基本的に公務員として勤務します。

家庭裁判所や少年院、少年鑑別所では少年司法・刑事司法といった法手続きに沿って、加害者の更生に向けた取り組みを行います。

産業関連領域

産業関連領域での職場は、企業内の相談室、職業安定所、障がい者就労・生活支援センター、地域若者サポートステーションなど多岐に渡ります。

企業に所属して活動する場合は、仕事上の悩みや、うつ症状などの精神疾患、休職者の職場復帰、ハラスメント問題などについての相談に対応し、問題解決に向けた取り組みを行います。企業カウンセラーとして企業と外部から関わり、EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)に関する提言などを行う場合もあります。

公認心理師の年収

厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」によれば、公認心理師の主な就職先は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野及び、私設心理相談機関、大学等附属心理相談施設、大学・研究所などとなっており、保健医療分野が約30%でもっとも多く、次いで教育分野が約29%、福祉分野が約21%となっています。また、年収は300万円以上400万円未満の割合が約21%で最多となっています。次いで400万円以上500万が約18%、200万円以上300万円未満が約16%でした。勤務先や雇用形態、経験年数によっても年収は変動しますが、年収1,000万円以上と回答した人も約3%いました。

※参照:『公認心理師の活動状況等に関する調査』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000798636.pdf

大手前大学 通信教育部で心理学を学ぶ

「心理学には興味があるけれど、心理専門職としてやっていけるかは自信がない」「いきなり公認心理師をめざすのは不安」という方も多いのではないでしょうか。そんな方は、まずは認定心理士の資格取得をめざすのがおすすめです。

大手前大学 通信教育部では、認定心理士取得に関連する28科目を含む30科目以上の心理学系科目を開講しています。24時間どこでもオンライン受講が可能で、社会人でも今の仕事を続けながら、必要な専門分野の知識を学び進めることができます。正科生として4年生に編入学した場合、最短1年で大卒資格と認定心理士資格がW取得できます。認定心理士格取得に必要なスクーリングも全国7カ所で受講でき、最短6日で修了します。入学後に状況が変わっても年4回学修計画を調整できる柔軟な「クール制」で安心。担当教員と専任アドバイザーによるサポートなど、学びを続けやすい環境が整っています。

後悔のない未来へ進むためのファーストステップとして、認定心理士の資格取得をめざしてみませんか?

どんなことが学べるの?

大手前大学 通信教育部には、必修科目はありません。現代社会において必要とされる多分野、170の科目から学びたい科目をオーダーメイドで学べます。

心理学系の科目として人気が高いのは、「学習・言語心理学」や「心理学概論」、「感情・人格心理学」などです。「学習・言語心理学」では、学習心理学・言語心理学の主要な用語について学ぶとともに日常生活に活用できるようにすることをめざします。
「心理学概論」では、心理学についての広範な知識と自分自身や周囲の状況を分析・考察する心理学的視点を身につけることをめざします。
「感情・人格心理学」では、人格の形成過程やその要因、人格の類型や特性、感情の機序や行動に及ぼす影響などを深く掘り下げて学びます。

また、「色彩心理学」や「ひとと動物の心理学」「マーケティング心理学」なども注目の高い科目です。
「色彩心理学」では、色が持つ心理的、デザイン的側面に関する基礎知識を理論的かつ体系的に把握し、ファッションやインテリア、生活環境などの色彩環境の改善策が提案できるようになることをめざします。
「ひとと動物の心理学」では、ひとと家庭動物との関係を心理学的視点から考察していきます。
「マーケティング心理学」では、消費者の価値観・商品(サービス)の感性価値・消費者行動という三つの視点からマーケティングにおける購買行動と消費者心理を考察していきます。

どんなメリットがあるの?

大手前大学は、本格的な心理学分野の通信教育を関西で初めて設置した大学です。そのため、心理学の基礎から専門分野の各論まで幅広く学べます。また、一般企業において必要なコミュニケーションスキルや、ビジネス・マネジメントスキルなどの仕事に役立つスキルから、人生を豊かにする文化・教養スキルまで、これからの人生に役立つ「マルチスキル」が身につきます。転職を考えている方は、専任スタッフがサポートする「オンラインキャリアカウンセリング」も利用できます。※正科生のみ。

卒業生・在学生の声

公認心理師のAさんのケース

看護と心理、二つの専門性から働く人の心と身体の健康をサポートしたい

コロナ禍で患者も医療従事者も大きなストレスを抱えるようになり、同僚から相談を受ける機会が増えました。メンタルヘルス支援が重要になるなかで、公認心理師(※)の資格を取得したものの思うような支援につながらず、心理学の体系的な理論や実践的な援助技術の必要性を痛感。授業も試験もオンラインで完結する学びが決め手になりました。
(※)大手前大学は公認心理師資格取得プログラムに対応していません。

通信教育であっても決して一人ではなく、いつも誰かとコミュニケーションを取り、新鮮な考え方を吸収できることがとても楽しいです。さまざまな心理学の理論を学ぶことは、自己や他者を客観的に捉える機会になり、互いの価値をより認められるようになってきたと感じています。

薬剤師のYさんのケース

薬剤師としての人生を、心理学の側面から振り返り。新たな知見とともに再出発

調剤薬局を退職したタイミングで、自分の人生を心理学の側面から振り返ってみたいと思い入学しました。ジェンダー、障がい、対人、そして自分と物事に対する考え方が変わり、臨床心理学などにおいて薬を使わない治療法を学ぶことで、治療に対する考え方を再認識しました。入学後もさまざまなことにチャレンジしたい気持ちが湧き出てきて、現在は新たな調剤薬局で再度薬剤師として働いており、大学で学んだことを活かしたボランティア活動にも参加しています。

漢方薬局を経営するSさんのケース

仕事、家事、育児…生活にフィットした学修のスタイルが習慣化できた

経営している漢方薬局では、漢方相談においてお客さまから病気以外の悩みを打ち明けられることも多く、心理援助の必要性を実感。心理学を学ぼうと決意しました。

民間のカウンセラー資格も検討しましたが、専門的かつ体系的に学ぶには大学がベストだと判断しました。

実際に学修してみると、自由な時間に受講できるオンラインでの授業は、家事の合間や子どもを寝かしつけた後に気軽に受講でき、学修スタイルが生活にフィットしていたので習慣化することができました。

また、スクーリングでは看護・福祉などバックグラウンドの近い受講生とも出会え、さまざまな情報交換ができたり、仕事や家事・育児と両立されている方も多く、励みになりました。孤立しがちな通信制の学びは、時間を調整してでもスクーリングに参加して仲間を作ることをおすすめします。

漢方相談をより幅広い視点から見つめなおせるようになったのは大きな変化。今後は、心理療法を組み合わせ、多面的な支援をめざしたいです。