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臨床心理士の給与・年収は?平均年収や年収アップの方法を紹介

※2024年10月30日現在の内容です

臨床心理士の給与・年収は?平均年収や年収アップの方法を紹介

臨床心理士をめざすにあたって、収入面がどうなのかは、やはり気になる所でしょう。ネットでは「資格取得の難易度は高いわりに臨床心理士の給料は低い」などという意見を見かけることもあり、反対に「臨床心理士の資格取得で収入が大幅に増えた」という例もあります。実際のところはどうなのか。ここでは臨床心理士が活躍する分野ごとの年収や、臨床心理士になったあとでどのように収入を上げていけばいいのか、などについて解説していきます。

臨床心理士とは?

臨床心理士は、内閣府が認可する「公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」が資格認定しています。 臨床心理士には、以下の専門行為を求められます。

  1. 種々の心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定に精通していること。
  2. 一定の水準で臨床心理学的にかかわる面接援助技法を適用して、その的確な対応・処置能力を持っていること。
  3. 地域の心の健康活動にかかわる人的援助システムのコーディネーティングやコンサルテーションにかかわる能力を保持していること。
  4. 自らの援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査とその発表等についての資質の涵養が要請されること

臨床心理士は臨床心理学に基づく知識や技術を活かして心の問題に向き合う専門家であり、活動の場は医療、保健、福祉、教育、司法、産業など多岐にわたっています。勤務先によって心理カウンセラー、サイコセラピスト、スクールカウンセラー、産業カウンセラー、心理相談員など、さまざまな呼び方をされますが、すでに資格を取得された多くの臨床心理士が、幅広い分野で心理専門家として活躍しています。認定制度が開始された1988年から2024年4月までの間に、41,883人の臨床心理士が誕生しています。
※参照『臨床心理士とは』(日本臨床心理士資格認定協会公式ホームページ・http://fjcbcp.or.jp/rinshou/about-2/

臨床心理士の平均年収

臨床心理士は活躍できる職業分野が幅広く、非常勤を選択する人や複数の職場を掛け持ちする人も多いため、収入面での個人差が大きいところが特長です。
参考として、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、病院や福祉施設などで働く「その他の保健医療従事者」の場合、初任給は23万円前後で、平均的な年収は300~500万円台となります。

また、厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によれば、カウンセラー(医療福祉分野)の平均年収が約450万円であるのに対して、スクールカウンセラーの平均年収は約550万円とされています。
収入面だけを見れば、スクールカウンセラーは高額な方だと言えるでしょう。ただし、実際に働く場合は、福利厚生やキャリア支援制度などの面も含めて、自分に合った職場を探すと良いでしょう。

非常勤で働く場合、時給は1,000~2,000円でスタートし、実績や経験に応じて上がっていくのが通常です。十分に経験を積んだ臨床心理士であれば、時給1万円以上も不可能ではありません。しかし非常勤は収入面で差が出やすく、安定性が低いことがデメリットとして挙げられます。

臨床心理士(その他の保健医療従事者)の給料相場
年収 約459万円
月給 約30万円
賞与・ボーナス 55~90万円
初任給 約23万円
時給 1,000円~

※参照:『令和5年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html)、
『カウンセラー(医療福祉分野)』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/411)、
『スクールカウンセラー』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/412

公認心理師との比較

心理系の資格では日本唯一の資格である公認心理師と比べた場合、年収・月給などでどの程度の差があるでしょう。いずれも具体的な平均値は公表されていないため、ここではあくまでおおよその目安となりますが、見ていきましょう。

公認心理師 臨床心理士(その他の保健医療従事者の場合)
年収 300~500万円 約459万円
月収 20~100万円 約30万円
賞与・ボーナス 60~80万円 55~90万円
初任給 約23万円 約23万円
時給 1,500~ 5,500円 1,000円~

※参照:『令和5年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html)、
『公認心理師の活動状況等に関する調査』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000798636.pdf

公認心理師については厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」を参照しました。
また公認心理師の初任給と臨床心理士については、厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」より、「その他の保健医療従事者」の給与を参照しています。上記を見る限り、資格による収入の差はさほどありません。

公認心理師に関しては、保健医療分野と福祉分野での常勤勤務の月収は20~25万円が一番多いという結果が出ています。
教育分野は、20万円未満。産業・労働分野は、20万円未満・20~25万円・ 30~35万円とバラツキがありました。司法・犯罪分野も、30~35万円と40~45万円、50~100万円とバラツキがあります。

また、分野別の非常勤勤務時給をみると、どの分野も、1,500~2,500円もしくは4,500~5,500円という回答が最も多いという結果が出ています。

職場別の年収

臨床心理士の給料水準は、職業分野や雇用形態によってかなりバラツキがあります。ここでは、厚生労働省が運営する職業情報サイト「jobtag」を参考に、臨床心理士の平均年収を勤務先別に紹介します。

カウンセラー

病院や地方自治体の精神保健福祉センターなどでカウンセラーとして働く場合、正社員の月収は23万円程度からスタートし、年収の全国平均は459万円とされています。精神科医の平均年収は約1,400万円 、看護師の平均年収は約500万円なので、他の医療従事者と比較すると、すこし低いという結果になっています。しかし、病院の場合は整った環境で働けるだけでなく、キャリアアップの支援が受けられたり、チームでの活動を学べる機会が多いなど、メリットも多いでしょう。

※参照:『カウンセラー(医療福祉分野)』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/411)、
『精神科医』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/405)、
『看護師』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/156

スクールカウンセラー

学校でスクールカウンセラーとして働く場合は非常勤が大半で、基本的に給料は時給制です。1校あたりの出勤時間は週8時間程度、1日の勤務時間は3〜4時間が多く、2~3校の学校をかけ持ちしている人が多いようです。
学校でスクールカウンセラーとして働く臨床心理士の全国平均年収は約550万円です。ただし、あくまで目安であり、実際に働く地域や学校で決められている時給、かけ持ちしている学校の数、勤務日数などによっても異なります。
※参照:『スクールカウンセラー』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/412

産業カウンセラー

一般企業で働く場合、キャリアコンサルタントのようなコンサルタント系の役職に就くケースや、人事部などに所属する社員として働くケースなど、さまざまな就業形態があります。非常勤カウンセラーとして雇用されているケースや、民間の職業紹介会社で働くケースもあります。キャリアカウンセラー・キャリアコンサルタントの全国平均年収は550万円とされていますが、企業規模や就業形態に大きく左右されるため、あくまで目安として考えておくと良いでしょう。また、2022年度の有効求人倍率は0.16となっています。誰もが望んだ雇用条件で働けるわけではないことも理解しておく必要があります。

※参照:『キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/136

公務員

公務員試験を受けて公務員になり、臨床心理士の知識と技術を活かしていく方法もあります。国家公務員と地方公務員のいずれにも心理系職種の募集があり、例えば地方自治体が運営する児童相談所相談員の場合、全国平均年収は約425万円となっています。また、国家公務員試験を受けて国家公務員となり、少年鑑別所などで働く法務技官をめざす道もあります。法務技官の平均年収は約550万円で、勤続年数が長くなると年収約700万円になるとされています。公務員の臨床心理士の年収は、民間機関に勤めるよりも高く、安定していると言えるでしょう。

※参照:『児童相談所相談員』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/129)、
『法務技官(心理)(矯正心理専門職)』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/516

職業別データ(※2024年8月時点)

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カウンセラー(医療福祉分野) スクールカウンセラー キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント 児童相談所相談員
労働時間 161時間 162時間 162時間 165時間
年収 459.3万円 551.4万円 551.4万円 425.8万円
年齢 40.1歳 41.6歳 41.6歳 45.2歳
求人賃金 23.3万円 24.8万円 24.8万円 22.9万円
有効求人倍率 1.69 0.16 0.16 1.07

年代別の年収

臨床心理士の年収は勤続年数によっても異なり、60歳までは年齢が上がるほど年収が上がる傾向にあります。
参考として、臨床心理士とほぼ同じ職業分野で活躍する公認心理師の場合、勤続年数10年未満では年収300万~400万円の収入を得ている方が最も多いという回答が得られています。一方、勤続年数が10年以上の層は、年収400万~500万未満の収入を得ているという回答が最も多くなります。
※参照:『公認心理師の活動状況等に関する調査』(厚生労働省公式ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000798636.pdf

また別の参考として、「カウンセラー(保健医療分野)」の年代別年収は、下記の通りです。ただし、下記には時間外勤務への手当が含まれていないため、実際の給与は下記を上回る可能性もあります。

年代別「カウンセラー(保健医療分野)」の平均給与

20~24歳 約313万円
25~29歳 約390万円
30~34歳 約426万円
35~39歳 約466万円
40~44歳 約493万円
45~49歳 約533万円
50~54歳 約554万円
55~59歳 約554万円
60~64歳 約509万円

※参照:『カウンセラー(医療福祉分野)』(職業情報提供サイトjobtag・https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/411

臨床心理士の年収は低い?その理由とは

ここまで臨床心理士の年収について詳しく見てきましたが、読まれた方のなかには「臨床心理士の給料は意外と低い」と思われた方もいるかもしれません。実際に医師や看護師などと比べると、確かにそこまで高い年収とは言えないでしょう。他の職業分野を見ても、資格の有無で給料面での優遇はさほど大きくはありません。

その理由として、まず臨床心理士は、正規雇用の求人があまりないことが挙げられます。病院などで臨床心理士として働く場合、基本的には非正規雇用(時給制)での採用がほとんどです。臨床心理士の資格はこれまでに多くの医療従事者が取得しているため、臨床心理士の資格を持っている医師も多数います。そのため、病院などでの正規雇用の場合は、医師資格に加えて臨床心理士の資格を持つ人が優先される状況になっています。

こうした状況から、臨床心理士単体で募集する際には、非正規雇用の形態で採用する企業が増加した経緯があります。非正規雇用の場合は勤続年数を重ねることが難しく、そのため臨床心理士は給与が上がりにくい傾向にあります。

臨床心理士でも年収アップする方法

常勤・非常勤に関わらず、臨床心理士は工夫次第で年収を上げることができます。臨床心理士としての実績を積むことは大切ですが、他の資格を取得したり、活動範囲を広げることも年収アップにつながります。以下では、3つの方法について詳しく解説します。

スキルアップ・資格取得をめざす

臨床心理士として年収をアップする方法としてまず挙げられるのは、特定の分野でのスキルアップです。どの職業分野であっても、勤続年数が長くなればなるほど対応できる専門業務が増え、給与が高くなる傾向にあります。
日本では数多くの臨床心理士が活躍していますが、自分が得意とする分野に絞り込んでスキルを磨き、より専門性を高めることができれば、年収アップが期待できるでしょう。

得意分野をつくるための方法として、関連資格の取得をめざすのも良い方法です。例えば産業カウンセラーなどの資格を取得すると産業分野で活かせるスキルが増え、周囲からの信頼度も増します。関連資格の取得をきっかけに、転職などでキャリアアップをめざすことも可能になります。

幅広い就職先を視野に入れる

臨床心理士は、職場によっても給与が変わります。年収アップをめざすのであれば、つねに求人情報の収集にも力を入れ、より待遇の高い職場があれば、思い切って転職するも選択肢の一つです。

転職するときは、可能な限り正社員やフルタイムでの勤務形態を選ぶと良いでしょう。臨床心理士の給与は、常勤か非常勤かによって大きく変わります。非常勤の場合は複数の職場を掛け持ちすることになりますが、その場合は希望に沿う職場が見つからない可能性がありますし、収入も不安定になりがちです。長期的な視点でみれば、常勤でさまざまな業務に対応できる人材のほうが、高い年収で勤務できる可能性が高いと言えるでしょう。

また、職業分野ごとの給与水準も重視したいポイントです。比較的給与水準が高い分野は、病院やクリニック、学校が挙げられます。安定的な収入をめざすのであれば、福利厚生の充実した公務員も選択肢として挙げられます。

独立開業を行う

臨床心理士としてある程度の経験とスキルを積み上げることができたら、独立開業を検討してみるのも良いでしょう。独立開業すれば、就業時間や形態を自分で選択することができ、講演会やセミナーの講師などの仕事も受けやすくなります。ライフステージが変化しても就業時間を調整できるので働き続けることができるというメリットもあります。

ただし、独立開業する場合、開業届の提出などはもちろん、ウェブサイトの開設や広告などによる集客、経理なども自分でやる必要があります。経営者としての手腕も求められるので、後悔のないよう、自分にできるのかをしっかりと判断しましょう。

講演会などの講師を引き受けて実績を作ることができれば、新たな仕事が依頼される機会も増えます。また、インターネットやSNSを積極的に活用するのも良いでしょう。多くの人々が抱えている悩みなどについて取り上げ、共感を集めれることができれば、新たな集客が期待できます。

まとめ

ここまで臨床心理士の職業分野別、年齢別の年収などについて詳しく見てきました。改めてまとめると、臨床心理士の資格を持っていても、同じ職場で働く人たちと比べて収入面での優遇はあまり大きくはなく、職場によっては他の資格取得者より収入が少ないこともあることがわかりました。

しかし、経験を積むことで着実に収入アップが見込める傾向にあることも事実です。臨床心理士は活躍できる分野が広いため、転職なども活用して良い職場に巡り合えれば、収入を増やしていくことも十分に可能です。また、他の資格を取得したり、独立をすることで選択肢はさらに大きく広がり、大幅な収入アップをめざすこともできます。つまり、資格取得後の身の振り方が重要であり、働き方によって年収が大きく変わるということです。

資格を取得した後もしっかりと学びを続け、関連資格などに目を向けながら積極的にキャリアアップに取り組んでいけば、高収入を得ながら社会で大きく活躍していくことができるでしょう。

大手前大学 通信教育部で心理学を学ぶ

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後悔のない未来へ進むためのファーストステップとして、認定心理士の資格取得をめざしてみませんか?

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(※)大手前大学は公認心理師資格取得プログラムに対応していません。

通信教育であっても決して一人ではなく、いつも誰かとコミュニケーションを取り、新鮮な考え方を吸収できることがとても楽しいです。さまざまな心理学の理論を学ぶことは、自己や他者を客観的に捉える機会になり、互いの価値をより認められるようになってきたと感じています。

薬剤師のYさんのケース

薬剤師としての人生を、心理学の側面から振り返り。新たな知見とともに再出発

調剤薬局を退職したタイミングで、自分の人生を心理学の側面から振り返ってみたいと思い入学しました。ジェンダー、障がい、対人、そして自分と物事に対する考え方が変わり、臨床心理学等において薬を使わない治療法を学ぶことで、治療に対する考え方を再認識しました。入学後もさまざまなことにチャレンジしたい気持ちが湧き出てきて、現在は新たな調剤薬局で再度薬剤師として働いており、大学で学んだことを活かしたボランティア活動にも参加しています。

漢方薬局を経営するSさんのケース

仕事、家事、育児...生活にフィットした学修のスタイルが習慣化できた

経営している漢方薬局では、漢方相談においてお客様から病気以外の悩みを打ち明けられることも多く、心理援助の必要性を実感。心理学を学ぼうと決意しました。

民間のカウンセラー資格も検討しましたが、専門的かつ体系的に学ぶには大学がベストだと判断しました。

実際に学修してみると、自由な時間に受講できるオンラインでの授業は、家事の合間や子どもを寝かしつけた後に気軽に受講でき、学修スタイルが生活にフィットしていたので習慣化することができました。

また、スクーリングでは看護・福祉などバックグラウンドの近い受講生とも出会え、さまざまな情報交換ができたり、仕事や家事・育児と両立されている方も多く、励みになりました。孤立しがちな通信制の学びは、時間を調整してでもスクーリングに参加して仲間を作ることをおすすめします。

漢方相談をより幅広い視点から見つめなおせるようになったのは大きな変化。今後は、心理療法を組み合わせ、多面的な支援をめざしたいです。