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日本語教師は独学でもめざせる!勉強方法とおすすめの教材を紹介

※2024年10月30日現在の内容です

日本語教師は独学でもめざせる!勉強方法とおすすめの教材を紹介日本語教師になるには、養成講座に通ったり、大学や大学院で日本語教師になるための課程を修了するなどの方法がありますが、いずれも時間と費用が多くかかってしまいます。すでに社会人になっていたり、ほかの分野を学んでいる学生にとってはハードルが高いことでしょう。しかし、独学で日本語教師になっている人も多くいます。

ここでは、独学で日本語教師になるにはどんな方法があるのか、また独学のメリットとデメリット、学習方法、おすすめの教材などを紹介します。できるだけ時間と費用を抑えたい人は、ぜひ参考にしてください。

独学でも日本語教師になれる?

プライベートレッスンやボランティア、海外就労など、日本語を教える場所は幅広く、資格がなくても教えることはできますが、実際の採用試験では資格を求められることがほとんどです。

それでは、独学でも日本語教師になれるのでしょうか。結論は、「イエス」です。独学で日本語教師をめざすには、民間資格である「日本語教育能力検定試験」に合格する方法があります。また、「認定日本語教育機関」で日本語教師として働きたい場合に必須となる国家資格「登録日本語教員」も、独学で取得することが可能です。
ここでは、民間資格「日本語教育能力検定試験」と国家資格「登録日本語教員」を独学でめざす方法を紹介します。

※日本語教師について詳しくは以下の記事をご確認ください。

方法1. 民間資格の「日本語教育能力検定試験」に合格する

日本語教育機関の採用試験を受ける際には、下記のいずれかに該当していることを求められるのが一般的です。

  1. 大学等で日本語教育を主専攻または副専攻して修了していること。
  2. 420時間の日本語教師養成講座を修了していること。
  3. 日本語教育能力検定試験に合格していること。

3つのうち、独学でめざせるのが③の日本語教育能力検定試験の合格です。ここでは、日本語教育能力検定試験について詳しく解説します。

※日本語教師について詳しくは以下の記事をご確認ください。

「日本語教育能力検定試験」とは?

日本語教育能力検定試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)によって年に1回、10月に実施されています。
年齢や学歴に制限はなく、誰でも受験可能であることが特長で、合格率は直近10年間では25~30%程度。難易度は高めと言えるでしょう。
しかし、試験が開始された1987年(昭和62年)から2007年(平成19年)までの20年間の合格率は20%程度でした。年を追うごとに、合格率は上がってきています。
日本語学校・企業・地域・海外・ボランティアなど、日本語を教えるさまざまな場所で働く際には応募条件の一つとなっていることが多い資格です。

日本語教育能力検定試験 実施状況(直近10年間)

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実施回数 実施年度 応募者数(人) 受験者数(人)※1 合格者数(人) 合格率(%)※2 実施地区
第28回 平成26年度 5,436 4,389 1,027 23.3 7
第29回 平成27年度 5,920 4,754 1,086 22.8 7
第30回 平成28年度 6,167 4,934 1,231 24.9 7
第31回 平成29年度 7,331 5,767 1,463 25.3 7
第32回 平成30年度 8,586 6,841 1,937 28.3 7
第33回 令和元年度 11,699 9,426 2,659 28.2 7
第34回 令和2年度 11,316 9,084 2,613 28.7 7
第35回 令和3年度 10,216 8,301 2,465 29.6 7
第36回 令和4年度 8,785 7,076 2,182 30.8 7
第37回 令和5年度 10,170 8,249 2,542 30.8 7

 

※1:「受験者数(人)」は科目受験者を含む。
※2:「合格率(%)」は合格者数を受験者数で割った数値(小数点2位以下は切り捨て)。
※参照:『令和5年度 日本語教育能力検定試験 結果の概要』(公益財団法人 日本国際教育支援協会・https://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R5kekkanogaiyo.pdf

方法2. 国家資格「登録日本語教員」の資格を取得する

「登録日本語教員」は、2024年4月から施行された「日本語教育機関認定法」により誕生した国家資格です。
「日本語教員試験」の基礎試験と応用試験に合格後、登録実践研修機関にて実践研修を受けると、登録日本語教員の資格を取得できます。

「認定日本語教育機関」で日本語教師として働く場合には、この資格が必須となります。認定日本語教育機関とは、「留学」という在留資格を持つ外国人を受け入れられる日本語学校のことです。従来の法務省告示校がそれにあたります。

※日本語教師の国家資格について詳しくは以下の記事をご確認ください。

独学で日本語教師をめざすメリット5つ

次に、独学で日本語教師をめざすメリットは何でしょう。
まず、一つ目のメリットは、費用が安く済むこと。次に、大学や講座に通う必要がないので時間の制約がなく、自分のペースで学習できること、自分の苦手な分野などを集中して繰り返し勉強できること、さらには学習を通じて自己管理能力が向上することの4つが挙げられます。

4つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

1.費用が安い

独学の場合、必要な経費は自分で選ぶテキストや問題集のほかは、受験料の15,000円程度で済みます。それら以外の費用はほとんどかかりません。

ところが、通学過程の大学に入学した場合は、4年間で約200~400万円かかります。420時間の日本語教師養成講座を受講する場合でも、受講料が40~70万円程かかることが多いようです。また、大学や養成講座が近くにない場合、交通費の負担も大きくなります。これらの経済的な負担を減らすことができるのは、特に学生や働きながら資格取得をめざす人にとっては大きなメリットでしょう。

また、420時間の日本語教師養成講座を受講する場合は、大学卒業(学士)資格が必須であるため、最終学歴が高卒や専門学校卒の人は、大学卒業資格を取らなくても独学で日本語教師になる道があります。

※日本語教師の資格取得のための費用について詳しくは以下の記事をご確認ください。

2.自分のペースで学習できる

大学や養成講座や大学で勉強する場合には、決められたスケジュールに合わせて勉強しなければなりません。しかし、独学であれば、自分の都合や理解度に合わせて、時間や勉強の内容を調整できます。そのため、仕事や家事との両立がしやすく、効率的に学習を進められるのがメリットです。

仕事をしている人や、家族の世話をしている人など、決められた時間に勉強しづらい場合は、独学が合っていると言えるでしょう。移動や休憩の合間の隙き間時間にも勉強できるメリットもあります。

3.特定の分野を集中して学べる

日本語能力検定試験の出題範囲は幅広く、「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の大きく5つの分野を勉強しなければなりません。当然、苦手な分野が出てくるのは仕方がないことでしょう。

しかし、独学であれば、ひと通り基礎的な学習を終えた後は、苦手な分野に集中し、反復して勉強することも可能です。弱点をカバーしたり、得意分野を伸ばしたりできて、自身の実力や学習目標などに合わせた勉強の仕方で進められるのがメリットです。

4.自己管理能力が向上する

独学で勉強を進めることで、自己管理能力が向上するというメリットがあります。

日本語能力検定試験で学習しなければならない内容は、一般的な420時間の日本語教師養成講座と重なっています。つまり、試験のための勉強を毎日3時間するなら、140日間は勉強を続けなければいけないということです。

それだけの期間、自身で学習計画を立て、それに沿って進めていくうちに、自己管理能力が養われるというわけです。

自己管理能力は、日本語教師のみならず、社会人なら誰にでも役立つスキルです。将来に生かせる能力が身につくのは、独学ならではでしょう。

5. 大きな達成感が得られる

独学で合格すれば、一人で成し遂げた達成感を得られます。特に、一度目の挑戦で合格した場合の達成感は大きなものでしょう。

日本語教育能力検定試験は、日本語教師になるために受ける人だけでなく、すでに日本語教師をしていて、キャリアアップやスキルアップのために日本語教育能力検定試験を受ける人もいます。現役教師をしている人が検定試験に合格すると、仕事を続けていく自信にもなります。

また、合格率が低く、そう簡単には合格できない検定試験に独学で合格した実績は、自身の能力の証明でもあり、今後のキャリアにおけるアドバンテージにもなるでしょう。

独学で日本語教師をめざすデメリット5つ

独学で日本語教師をめざす方法には、費用面などのメリットがある半面、もちろんデメリットもあります。

途中で挫折したり、後悔することのないように、事前に独学のデメリットも理解しておきましょう。自分に向いているのかどうかを一度検証して、本当に独学で勉強をスタートしてよいのかどうかの参考にしていただくため、ここでは独学で日本語教師をめざすデメリットを解説します。

1.モチベーションの維持が難しい

独学は、計画を立てるのも、勉強するのも一人です。そのため孤独になりやすく、勉強をするためのモチベーションを維持するのが難しい一面があります。

また、家で勉強をする際には、環境が整っていない場合、気が散ってしまったり、集中力が続かなかったりということもあるかもしれません。学習する時間に制約がなくて自由なだけに、勉強とプライベートの切り替えをしにくいこともデメリットと言えるかもしれません。強い意志と自己管理能力で、モチベーションを維持する努力が必要でしょう。

2.気軽に質問や相談ができない

独学では、勉強中にわからないことがあっても、周りの人に気軽に質問や相談ができる環境がありません。そのため、複数の教材を確認したり、インターネットで調べる必要がありますが、多くの時間が取られてしまううえ、答えが見つかっても、それが本当に正しいかどうかは判断がつかない場合もあるでしょう。

よく言えば、時間をかけて調べることで「知識が定着する」「自分で調べて考える習慣が付く」といった面もありますが、何度も時間を取られると、計画通りに勉強が進まなことがストレスになり、挫折につながる可能性があるので注意が必要です。

3.教材選びが難しい

独学の場合、適切な教材を準備するのが難しいというデメリットがあります。

多くの参考書や問題集があるなか、自分に合った教材を選び、また最新の出題傾向に合った教材を選ぶのは難しさがあります。適切な参考書で学習することが、学習の効率や合格にもつながるので、情報収集したうえで自分に合ったものを選ぶことが大切です。

4.学習の進め方がわかりにくい

独学の場合、大学やスクールの講座と違いカリキュラムがないため、自分で学習計画を立てなければなりません。どの科目にどれだけ時間をかければいいのか、優先順位を見極めるのも難しいことです。
欲張って無理な計画を立てると挫折の原因にもなりかねません。試験までの期間を計画的に使えるように、長期的な視点に立って考えましょう。

5.実践スキルが身につかない

日本語教師養成講座や大学の授業では、模擬授業を含む実技実習を行うことが多く、学習指導案などの作成方法も学ぶことができます。しかし、独学では実習の機会がないために実践スキルが身につかないというデメリットがあります。

また、採用試験の際、模擬授業や実習といった実践経験をアピールしにくいといったことも、考慮しておきましょう。

独学での学習方法5つ

「日本語能力検定試験」を独学で受験することを決めたら、まず考えなければならないのは、学習の進め方です。学での学習方法5つ

まず、試験の概要を把握し、次に学習計画を立てる、自分に合う教材・学習方法を選ぶ、学習は基礎を理解するところから始め、過去問に挑戦するという一連の流れについて、どのように進めていくのかを解説します。

1.試験の概要を把握する

学習計画を立てるには、まず試験の概要を把握することが大切です。出題範囲と合格基準、合格率などを確認しましょう。

日本語教育能力検定試験

出題範囲

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区分 項目
社会・文化・地域 1.世界と日本
2.異文化接触
3.日本語教育の歴史と現状
言語と社会 4.言語と社会の関係
5.言語使用と社会
6.異文化コミュニケーションと社会
言語と心理 7.言語理解の過程
8.言語習得・発達
9.異文化理解と心理
言語と教育 10.言語教育法・実習
11.異文化間教育とコミュニケーション教育
12.言語教育と情報
言語 13.言語の構造一般
14.日本語の構造
15.言語研究
16.コミュニケーション能力

配点と試験内容
240点満点で「試験Ⅰ」「試験Ⅱ」「試験Ⅲ」から構成されています。
試験Ⅰは、解答時間90分、配点100点。
原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定します。
試験Ⅱは、解答時間30分、配点40点。
試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定します。
試験Ⅲは、解答時間120分、配点100点。
原則として出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定します。

受験料
17,000円。

出願方法
オンライン出願。

試験会場(令和6年度予定)
北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州。

合格基準
日本語教育能力検定試験の合格基準は明らかにされていません。
しかし、一般的に資格試験は165点前後が合格ラインとされており、得点が約7割以上であれば合格とされているのが参考となるでしょう。

合格率
令和5年度試験の合格率(合格者数/受験者数)は30.8%です。
例年、合格率は20~30数%程度と低い水準です。
※参照:『令和 6年度日本語教育能力検定試験実施要項』(日本国際教育支援協会・https://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R6jisshiyoko.pdf

日本語教員試験

出題範囲
「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の養成課程コアカリキュラムにおける必須の教育内容から出題されます。

配点と試験内容
満点が210点で「基礎試験」と「応用試験」から構成されています。
「令和6年度日本語教員試験実施要項」によれば、選択式問題のみで「基礎試験」は1点×100問、「応用試験」は1点×聴解が50問、読解が60問。1点×100問でした。

合格基準
(1)基礎試験
必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があることとされています。
(2)応用試験
総合得点で6割の得点があることとされています。
なお、基礎試験、応用試験とも、年度ごとの難易差等により合格基準の調整を行うこと
があります。

合格率
第1回の試験がまだ実施されていないため、合格率は不明です。第1回の試験は令和6年11月17日(日)に実施が予定されています。

受験料
基礎試験及び応用試験 18,900円。

出願方法
オンライン出願。

試験会場(令和6年度予定)
北海道、東北、関東、中部、近畿、中四国、九州、沖縄
※参照:「令和6年度日本語教員試験実施要項」(文部科学省ホームページ・https://www.mext.go.jp/content/20240524-mxt_nihongo02-000036014_1.pdf

2. 学習計画を立てる

試験の概要を把握したら、次は学習計画を立てます。
このとき、試験日から逆算して大まかに計画を立てるのがポイントです。その理由は、細かく計画を立てすぎると、思ったように進まなかった場合にモチベーションが下がる要因になることもあるためです。ひとまず大まかに計画を立てておいて、進み具合によって調整しながら進めるとよいでしょう。

では、具体的に計画を立ててみましょう。ここでは、試験日まで6か月の学習期間を取れるものとします。半年間の大まかな計画をまず立ててみましょう。

6か月前:参考書を読み、基礎・基本を理解する。
5か月前:練習問題に取り組み、基礎知識を定着させる。
4か月前:過去問題集を解く。解けなかった問題は確認して、弱点の克服に努める。
3か月前:過去問題集を解く。出題傾向をつかむ。
2か月前:繰り返し過去問題集を解く。苦手分野を重点的に。
1か月前:全体を通して復習する。

大まかなスケジュールができたら、次は毎日の学習について具体的に決めます。1日あたりの学習時間に応じて、どの科目を、どの参考書で、何ページ勉強するか、目安を決めて、効率よく進めましょう。

3. 自分に合う教材・学習方法を選ぶ

独学には、自分に合う教材・学習方法を選ぶことが不可欠です。
参考書はたくさんありますが、そのなかから自分が理解しやすいと思えるものを選ぶことが大切です。例えば、図や表が多く使われている参考書のほうが理解しやすい人もいれば、文章のほうが頭に入りやすい人もいるでしょう。デザインや文字の大きさなどの見やすさも、人それぞれ違います。

参考書を選ぶときには、似ているタイプのものを2、3冊、比較してみるといいでしょう。「よく売れているから」「人がいいと言っていたから」という理由だけで選んでも、自分に合わなければ、知識が身につかないばかりか、お金の無駄遣いになってしまいます。直感で自分と相性のよいものを選びましょう。

4. まずは基礎を理解する

まず、参考書を読んで、日本語教育の基本的な理論や用語をひと通り理解しましょう。
基礎を理解しないうちから、難しい問題に挑戦しても、理解できないことにがっかりしてしまい、モチベーションが下がることにもなりかねません。急がば回れの精神で、時間を無駄にしないためにもしっかりと基礎を理解することから始めましょう。
特に、日本語の文法、言語学、音声学、第2言語習得の分野は、しっかりと知識を身につけましょう。基礎を固めることで、次の段階の知識も理解しやすくなり、結果的に効率のよい学習ができるでしょう。

5. 過去問を解く

基礎が理解できたら、過去問を解いてみましょう。
問題を解いていくうちに、出題傾向や自分の得意・不得意なところも見えてきます。不得意な分野があれば、基礎から勉強し直したり、過去問を繰り返し解いて克服に努めましょう。より合格に近づけるかもしれません。

多くの過去問を解くことで、実践感覚を養うこともできます。間違えたところは、必ず復習し、間違えた理由も分析しておくようにします。
慣れてきたら、実際の試験と同じように制限時間を設定して問題を解くなど、実際の試験を想定した対策をするのも有効な方法です。本番の試験のとき、ペース配分ができるようになります。

独学におすすめの教材

ここでは独学で勉強するときに役立つ、日本語教育能力検定試験のための参考書と過去問題集を紹介します。

2024年11月に第1回試験が実施される予定の登録日本語教員になるための参考書は、まだ多くは発行されていません。日本語教育能力検定試験と出題範囲は同じですので、登録日本語教員の勉強を早めにしたい人も、こちらのおすすめ教材を参考にしてください。

  1. 『図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400』(著者:泉 均/出版社:晶文社)
    日本語教育能力検定試験に出る必須キーワード1452語を厳選し、解説している本です。図表がふんだんに使われているので、見て覚えやすいのがポイント。基本となる重要なキーワードと、さらに関連するキーワードもコンパクトにまとまっています。辞書代わりとしても活用できます。
    ※参照:『図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400』(晶文社ホームページ・https://www.shobunsha.co.jp/?p=6579
  2. 改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識』(著者:岡田英夫/出版社:アルク)
    日本語教育能力検定試験の全体を把握するために、まず読みたい本です。2006年に発行されてから長年多くの人に読まれ続けた本の改訂版です。幅広い試験範囲から重要項目を50に分け、それぞれコンパクトに解説されています。「読みもの」としても読みやすい点も、最初の一冊としておすすめのポイントです。
    ※参照:『改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識』(アルク出版サイト・https://book.alc.co.jp/book/b10029792.html
  3. 『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版』(著者:ヒューマンアカデミー/出版社:翔泳社)
    日本語教育能力検定試験に出題される内容を厳選し、ヒューマンアカデミーの講師陣がわかりやすく解説した本です。版を重ね、最新の出題傾向に合わせた内容になっています。
    「音声分野」「記述」問題は特別章で、詳しくフォローされており、音声試験対策用にCDも付いているので、独学でも実力が付けやすい内容です。別冊の解答用紙も付いています。
    ※参照:『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版』
    (翔泳社ホームページ・https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798167190
  4. 『日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40』(著者:石黒圭・辻和子・ 星野恵子/出版社:アルク)
    日本語教育能力検定試験の記述式問題対策のための本です。「講義編」と「実践編」に分かれ、「講義編」では記述式問題に解答するためのコツを解説し、「実践編」には対策問題が40問掲載されています。 独学でも記述式の知識を身につけられる1冊です。
    ※参照:『日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40』(アルク出版サイト・https://book.alc.co.jp/book/b10029571.html
  5. 『考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法』(著者:原沢伊都夫/出版社:スリーエーネットワーク)
    日本語を教えるための基礎となる文法知識が身につく本です。問題を解きながら文法を学ぶことで、実践的に役立つ力が養われます。学校で学んだ「国語文法」と日本語教育のための文法の違いにも触れられているのもポイント。すべての問題に解説付きなので、独学でも知識が身につきやすい本です。
    ※参照:『考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法』(スリーエーネットワークホームページ・https://www.3anet.co.jp/np/books/4692/
  6. 『日本語教育能力検定試験 試験問題』(著者:公益財団法人日本国際教育支援協会・出版社:凡人社)
    日本語教育能力検定試験を主催する日本国際教育支援協会が出版している過去問題集です。問題と解答のほか、その年度の受験者数や平均点などのデータが収録されているため、学習目標を立てるときの参考にもなります。2024年7月現在、最新版は令和5年度の試験問題ですが、過去の年度のものも販売されています。
    ※参照:『令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験問題』
    (凡人社ホームページ・https://www.bonjinsha.com/goods/detail?id=14316)
  7. 『日本語能力試験 公式問題集』(編者:国際交流基金、日本国際教育支援協会・出版社:凡人社)
    日本語能力試験(JLPT)を主催する国際交流基金、日本国際教育支援協会が出版している公式問題集です。『日本語能力試験公式問題集』(2012年発行)と『日本語能力試験公式問題集 第二集』(2018年発行)には、2010年の改定後実際に出題した試験問題の中から、それぞれ各レベルとも試験1回分に相当する数の問題が掲載されています。
    ※参照:『日本語能力試験公式問題集 N1』
    (凡人社ホームページ・https://www.bonjinsha.com/goods/detail?id=842&pt=10
  8. 『《増補改訂版》新・はじめての日本語教育 基本用語辞典』(著者:高見澤 孟ほか共著・出版社:アスク出版)
    日本語教育初学者から、日本語教育系大学、大学院在籍者・受験者まで活用できる日本語教育用語事典。付属の赤シートで用語を隠して学ぶこともできるので、日本語教育能力検定対策・日本語教育系大学院受験の準備にオススメの一冊。
    ※参照:『《増補改訂版》新・はじめての日本語教育 基本用語辞典』
    (アスク出版ホームページ・https://ask-books.com/jp/978-4-86639-286-8/)

※日本語教育特別講義のシラバスは下記リンクをご参照ください。
 

まとめ

ここまで読んできて、自分は独学に向いているかどうか、ある程度わかってきたと思います。
独学にチャレンジしてみたいという人は、記事のポイントを頭に入れて、途中で挫折しないように、ぜひ目標に向かって進んでください。
しかし、もし「独学が難しいかも」と不安を感じる場合は、講座や大学で学ぶことを検討するのもおすすめです。例えば、大手前大学通信教育部のように「登録日本語教員」をめざせる教育機関もあります。

大手前大学通信教育部で日本語教師(登録日本語教員)をめざす

大手前大学通信教育部で日本語教師(登録日本語教員)をめざす

大手前大学通信教育部は、「登録日本語教員資格の取得」で説明した「経過措置適用対象」となっている大学なので、「経過措置Cルート」で登録日本語教員をめざすことができます。
また、大手前大学は文部科学大臣の登録を受けた「実践研修と養成課程を一体的に実施する機関」をめざしています。※1

大手前大学で登録日本語教員をめざすメリットは、大学卒業資格も取得できることで、日本語教師としての活躍のフィールドが広がること、日本語教員養成課程のカリキュラムに加えて、170科目から興味ある科目を学べるので、日本語教師になってから役立つ教養・知識が習得できること、さらには、教育実習以外は24時間対応のオンライン学修で修了できることなどです。※2

※1 文部科学省における審査の結果、予定した実践研修(又は養成課程)が開設できない可能性があります。
※2 大手前大学で登録日本語教員の資格を取得する場合について、詳しくは以下の記事をご確認ください。

海外移住への第一歩として資格取得をめざしたHさん

Hさん画像

日本語教員の資格を取得。
新たなキャリアのスタートに期待を膨らませています。

将来ベトナムに移住し民宿を経営したいと考えています。その実現のための第一歩として日本語教員の資格取得を決意。また就労ビザ取得のためには学士号が必要なので、日本語教員と学士号の両方をめざせる大手前大学を選びました。同時期に転職と進学が重なったのですが、オンライン受講が中心なので仕事と両立できると判断。動画授業の倍速視聴や科目試験のオンライン受験など、思っていた以上の学びやすさがあり、挫折することなく継続して勉強できたことは大きな自信になりました。日本語教育実習では、5日間みっちりと実践的な指導経験を積むことができました。特にティーチャートークといって、日本語学習初級者が理解しやすいような話し方や言葉選びを訓練できたことがよかったです。授業づくりも経験し、バックパッカーでの体験を取り入れた内容には生徒から「おもしろかった」と感想がもらえ、初めて教える喜びを噛み締めることができました。卒業後、日本語学校に内定をもらえたので、新たなキャリアのスタートに期待を膨らませています。

大卒資格とのW資格取得を目標に入学したTさんのケース

Tさん画像

日本語教員としてのキャリアアップをめざし、
専門的に学べる通信制大学へ。

非常勤講師として日本語教員のキャリアをスタートさせるも、制度の見直しにより国内外で活躍するには大卒資格が欠かせないことを知りました。卒業率の高さなどに注目して大学を検討していたときに、先輩講師から「日本語教育に特化した大学ある」と紹介されたのが大手前大学でした。スクーリング科目を履修することなく、オンラインでの学修だけで卒業できることも入学の決め手になりました。印象的だったのは、先生方の指導方法でした。話し方や間のとり方、教材など学修意欲を高めるためのさまざまな工夫があり、一方的に教わるのではなく、学生が能動的に考え、理解が深まる授業でした。自分が体験した学修を通して発見した学ぶ楽しさを日本語教員の指導にぜひ活かしたいと思います。

仕事や家事と両立して卒業したWさんのケース

“学びたい、知りたい”と思ったら行動する!
大手前の学びが生涯学習の基盤になりました。

ドイツ人の夫と生活をしていると、「気を付けてね」の「ね」ってどういう意味といった、日本語に関する質問をよく受けます。私自身も答えに詰まることが多く、自分で調べていくうちに、日本語教育に興味を持ちました。大手前大学を選んだ理由は、自分のライフスタイルに合わせて学修できるeラーニングや、専攻に関係なく興味がある分野を学ぶことのできる履修制度に魅力を感じたからです。実際に履修してみると、教科の達成度がパーセンテージで表示されるため状況を把握しやすく、仕事や家事と両立しながらでも学修計画通りに進めることができました。また、日本語教育能力検定試験対策ができる科目もあり、無事に合格することができました。行き詰まることもありましたが、熱心な指導と細やかなサポートのおかげで卒業時には優等賞を受賞することができました。”知りたい”という気持ちと、好奇心を大切にして、一生涯、学び続けたいと思います。将来は、日本語や食文化を通して日本の魅力を伝えていきたいです。