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公務員とは?仕事内容や種類、めざすメリットを分かりやすく解説

公務員という職業は、安定性や待遇の良さが注目されがちですが、その仕事の真の価値や多様なキャリアパスについては、意外と知らない人も多いかもしれません。漠然としたイメージだけで目指してしまうと、「思っていた仕事と違った」とミスマッチが起こる原因になりかねません。

そこで、この記事は、「公務員とは何か」という基本的な疑問から、その仕事のやりがい、種類、そして民間企業との決定的な違いまでを分かりやすくご紹介します。
記事を読むことで、公務員の定義や種類、あなたがこの仕事に向いているかを判断する適性(人物像)から、難関とされる公務員試験の仕組みや学歴別のルート、さらには効率的な合格への道筋が明確になるでしょう。公務員というキャリアの全体像を把握し、安定した将来を築くための一歩を踏み出しましょう。

公務員とは?

公務員とは、私たちの社会生活に不可欠な基盤(土台)を支える、国や地方自治体の職員のことです。「国民全体の奉仕者」という重要な立場にあり、利益を追求するのではなく、すべての人々のための公共サービスを提供することで、社会の基盤を築き、維持する役割を担っています。

公務員の仕事は、社会のあらゆる分野に深く関わっています。例えば、災害時の緊急対応から、教育、医療、福祉といった生活に密着したサービス、さらにはインフラ整備、環境保全、外交、国の安全保障といった大規模なプロジェクトまで、その職務は非常に多岐にわたります。これは、国民全体の「公益性」や「社会貢献性」を最も重視する公務員ならではの使命と言えるでしょう。

現在、日本には約340万人もの公務員がおり、その内訳は、国の行政を担う国家公務員が約60万人、地域住民の生活に直接関わる地方公務員が約280万人となっています。多くの公務員が、私たちの身近な場所で、日々の暮らしを支えるために働いていることが分かります。
公務員は、その職務の性質上、常に公正かつ中立な立場が求められ、高い倫理観と責任感が不可欠です。だからこそ、社会からの信頼も厚く、高い社会的地位と安定した雇用が期待できる職業としても認識されています。キャリアアップやキャリアチェンジを考える社会人・大学生にとって、公務員は「人の役に立ちたい」「安定した環境で長く働きたい」といった思いを実現できる魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

※参照『国家公務員の種類と数』内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/r06_komuin_shuruikazu.pdf

公務員の種類

公務員と一言でいっても、その種類は多岐にわたります。大きく分けると、国の公務を担う「国家公務員」と、地方自治体の公務を担う「地方公務員」があり、それぞれがさらに多様な職種や職務内容に細分化されています。ここでは、公務員がどのように分類されているのか、その全体像を大まかに把握しましょう。

公務員は、勤務する組織によって国家公務員と地方公務員に分けられるほか、職務の内容によって一般事務を行う「事務系」や、特定の専門技術を要する「技術系」、さらには公安職や教育職など、多種多様な職種があります。また、前述のように国家公務員の採用区分では、「総合職」「一般職」「専門職」といった分類も存在し、それぞれの役割やキャリアパスが異なります。これらの違いを理解し、あなたがめざす公務員像を明確にしていきましょう。

国家公務員と地方公務員の違い

国家公務員と地方公務員は、いずれも公共の利益のために働くという点では共通していますが、その勤務先、業務の範囲、活躍のフィールドにおいて明確な違いがあります。
国家公務員は、内閣府、各省庁(外務省、財務省、厚生労働省など)、裁判所、国会といった国の機関に勤務します。採用試験は人事院や各府省庁が実施し、その業務は全国規模、時には国際レベルに及びます。例えば、国の法律や政策の立案、外交交渉、大規模な公共事業の推進、国際的な連携など、日本全体や国際社会に関わるスケールの大きな仕事が中心となります。転勤は全国規模となることが多く、多様な地域や部署で経験を積む機会も豊富です。

一方、地方公務員は、都道府県庁、市区町村役場、公立の学校、病院、警察署、消防署など、地方公共団体の機関に勤務します。採用試験は各自治体(都道府県や市区町村)が独自に実施し、その業務は住民サービスに直結する地域密着型のものが中心です。例えば、住民票の発行、税金の徴収、学校教育、上下水道の整備、子育て支援、高齢者福祉、地域活性化イベントの企画運営など、地域の課題解決や住民生活の向上に貢献する仕事が多くなります。勤務地は原則として採用された自治体内に限定されるため、地元に根差して働きたい方に適しています。
また、国家公務員には「総合職」「一般職」「専門職」という区分があり、それぞれ採用の目的や任される職務のレベルが異なります。これらの詳細な仕事内容については、次の「公務員の仕事内容」で詳しく解説します。

公務員の仕事内容

公務員という職業は、私たちの社会や生活のあらゆる場面でその役割を担っていますが、実際にどのような仕事をしているのか、具体的なイメージが湧かない方もいるかもしれません。ここでは、国家公務員と地方公務員それぞれの具体的な業務内容に焦点を当て、「公務員として働く自分」をより鮮明にイメージできるよう、日々の業務や携わるプロジェクトの例を詳しくご紹介します。

国家公務員の主な仕事

国家公務員は、国の機関(中央省庁、裁判所、国会など)に勤務し、日本全体や国際社会に関わるスケールの大きな業務を担当します。
その職務は非常に多岐にわたり、具体的には、治安維持や外交(警察庁、外務省など)、税制や経済運営(財務省、国税庁など)、社会福祉・教育(厚生労働省、文部科学省など)、インフラ整備・環境保全(国土交通省、環境省など)といった、社会の根幹を担うあらゆる分野に関わっています。

これらの多岐にわたる仕事は、国の政策立案から実行まで、その役割によって大きく以下の3つの区分に分かれています。

国家総合職の仕事

国家総合職は「キャリア官僚」とも呼ばれ、主に中央省庁の本省で、国の根幹を支える政策の企画立案、法案作成、予算編成といった中枢業務を担います。国会での審議対応や国内外の利害関係者との調整、国際会議への参加なども日常的に行います。将来の幹部候補として、数年ごとに部署を異動しながら多様な経験を積み、日本の未来を形作る重要な役割を果たす仕事です。大きな裁量と責任が伴い、高い分析力やリーダーシップが求められます。

国家一般職の仕事

国家一般職は、各省庁の本省や、全国各地にある出先機関(地方〇〇局など)で、国の政策を具体的に実行していく役割を担います。本省では、総合職を補佐し、政策の運用や関連事務を効率的に進める業務が中心です。一方、出先機関では、地域に根差した形で国民への行政サービスを直接提供したり、事業者への許認可業務、調査・統計、情報提供などを行います。例えば、労働基準監督署での企業への指導、税関での輸出入検査、ハローワークでの就職支援などが挙げられます。国民生活に身近なところで、国の行政サービスを支える重要なポジションです。

国家専門職の仕事

国家専門職は、特定の専門知識や技術を活かして、高度な専門業務に従事します。代表的な職種としては、以下のようなものがあります。

  • 国税専門官
    税務署で納税に関する相談対応、税金の調査・徴収、脱税の取り締まりなどを行います。
  • 財務専門官
    財務省の出先機関である財務局で、国有財産の管理、地域経済の調査・分析、金融機関の監督などを行います。
  • 労働基準監督官
    労働基準監督署で、企業の労働環境が法律に適合しているかを監督・指導し、労働者の安全と健康を守ります。
  • 航空管制官
    空港の管制塔などで航空機の安全な運航を指示・誘導します。
  • 法務教官
    少年院や少年鑑別所などで、非行を犯した少年少女の教育・指導、社会復帰のための支援を行います。

これらの専門職は、それぞれの分野で高度な知識とスキルを駆使し、社会の安全や公正性を保つ重要な役割を担っています。

地方公務員の主な仕事

地方公務員は、都道府県庁や市区町村役場、公立の学校・病院などで勤務し、生活に密着したサービスを地域住民に直接提供します。そのため、職種は多岐にわたり、地域の特性や住民のニーズに合わせた実務が中心となります。

自治体によって職種名や職務内容に少しの違いはありますが、地方公務員の職種は大きく次の6つに分類されます。

  • 行政職(事務系)
    最も一般的な職種で、住民票の発行や税務、教育、地域振興など、役所の窓口業務から企画・調整まで幅広い分野を担当します。数年ごとの異動で多様な部署を経験し、地域のあらゆる課題解決の中心を担います。
  • 技術職
    土木、建築、電気、機械、情報などの専門分野に特化した職種です。道路や上下水道の整備、公共施設の設計・監督など、専門的な知識と技術を活かして、安全で快適な地域インフラを支えます。
  • 福祉職
    福祉事務所や児童相談所などで、高齢者、障がい者、生活困窮者などへの相談支援やケースワークを行う職種です。福祉の専門知識を用いて、地域で困難を抱える人々の自立と生活の安定をサポートします。
  • 心理職
    心理判定員やスクールカウンセラーとして、発達支援センターなどに勤務し、子どもや保護者、障がいを持つ方などの心理的な支援を担います。不登校や発達の課題に対して、専門的にアプローチします。
  • 公安職
    地方警察官や消防吏員などの職種が該当します。地域住民の安全と治安維持のため、火災・災害対応といった現場対応が求められ、高い身体能力と判断力が必要とされる使命感の強い職種です。
  • 資格免許職
    保育士、看護師、保健師、管理栄養士など、国家資格や専門免許を有することが前提となる職種です。これらは医療、教育、福祉の現場で活躍し、専門性が重視されます。

地方上級公務員

地方公務員は、採用時に受験する試験の難易度や勤務先によって、一般的に「地方上級」「地方中級」「地方初級」と区分されることがあります。

地方上級公務員

地方上級公務員という名称は、実際の職種名ではありません。これは主に、大学卒業程度の知識が求められる採用試験のレベル(区分)を指す通称であり、主に都道府県庁や政令指定都市の「行政職(事務系)」に採用された職員を指します。
地方上級に採用された職員は、より広域的な行政業務や、将来の幹部候補としての役割を担います。具体的な業務としては、県や市の長期的な計画策定、大規模なインフラ整備事業の推進、地域産業の振興、広域的な防災対策などが挙げられます。数年ごとに部署異動があり、多様な分野で経験を積み、地域全体の発展を見据えた政策の企画・実行に携わるスケールの大きな仕事です。

公務員と民間企業の違い

キャリアを考える上で、「公務員と民間企業、どちらを選ぶべきか」と迷う人も多いことでしょう。それぞれの魅力は異なりますが、その違いを明確に理解することは、自分に合った働き方を見つける上で非常に重要です。ここでは、公務員と民間企業の主な違いを比較してみましょう。

目的:公益追求 vs 利益追求

根本的な違いは、その仕事の目的にあります。

公務員

国民全体の「公益性」を追求し、社会貢献を最大の使命とします。税金が主な財源であるため、営利を目的とせず、国民や住民の生活の安定と向上、社会全体の発展に寄与することが仕事の中心ですとなります。

民間企業

企業活動を通じて「利益追求」を最大の目的とします。顧客に価値を提供し、売上を上げ、株主への還元や企業の成長を目指します。

この目的の違いが、仕事の内容や評価基準、組織の文化に大きく影響を与えます。

雇用の安定性

雇用の安定性は、公務員が民間企業と比較して特に際立つ点です。

公務員

法律によって身分が保障されており、原則として定年まで安心して働き続けることができます。景気の変動や企業の業績悪化によるリストラといったリスクは極めて低く、「終身雇用」に近い安定性が大きな魅力です。

民間企業

景気や市場の動向、企業の業績、業界の変化によって、雇用の安定性が左右される可能性があります。企業によっては、業績悪化による人員削減や、倒産といったリスクもゼロではありません。
「安定した環境で長く働きたい」と考える方にとって、公務員の雇用保障は大きなメリットとなるでしょう。

給与や昇進制度

給与や昇進の仕組みにも違いが見られます。

公務員

給与は、法律(国家公務員法、地方公務員法など)や条例に基づき、年齢や勤続年数、役職などに応じた「年功序列型」が基本です。
しかし、令和6年度の人事院勧告に基づき、初任給や若年層の給与が大幅に引き上げられるなど、人材確保を目的とした見直しが進んでいます。また、能力や実績をより給与・ボーナスに反映させるための制度改正(勤勉手当の成績優秀者への支給上限引き上げなど)も強化されており、従来の年功序列に加えて評価の比重が高まっています。

民間企業

成果主義や能力主義を取り入れている企業が多く、個人の業績や会社の業績によって給与や賞与が大きく変動する可能性があります。昇進も、実績や貢献度が大きく評価される傾向にあります。一方で、実力次第では若くして高収入や役職を得るチャンスもあります。
公務員は安定した収入を長期的に見込める一方、民間企業は実力次第で大きなリターンを得られる可能性があると言えるでしょう。

働き方・ワークライフバランス

近年重視されるワークライフバランスにおいても、公務員と民間企業には傾向の違いがあります。

公務員

勤務時間や休暇制度が法律や条例で明確に定められており、厳格に管理されています。年次有給休暇や育児休業、介護休暇なども取得しやすく、福利厚生も充実している傾向にあります。これにより、比較的ワークライフバランスが取りやすい環境と言えるでしょう。ただし、部署や時期によっては繁忙期があり、残業が発生することもあります。

民間企業

企業によって働き方は多様ですが、業種や職種によっては長時間労働が常態化しているケースも少なくありません。一方で、近年はフレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を取り入れる企業も増えています。休暇制度や育児支援なども企業規模や方針によって大きく異なります。

公務員は、定型的な勤務形態の中で安定したワークライフバランスを実現しやすい傾向にあり、仕事とプライベートを両立させたいと考える方にとって魅力的な選択肢となり得ます。

公務員になる4つのメリット

公務員という職業は、人々の生活を支えるやりがいだけでなく、働きがいや安定性といった多くの魅力を持っています。キャリアアップやキャリアチェンジを考えている社会人や、将来の選択肢を模索する大学生にとって、公務員をめざすことは、理想の働き方を実現する強力な選択肢となるでしょう。ここでは、公務員として働くことで得られる主な4つのメリットを、民間企業との比較も交えながらご紹介します。

公務員のメリットは、大きく「雇用の安定性」「高水準で安定した収入」「ワークライフバランスと働きやすさ」「社会貢献できる仕事のやりがい」の4つが挙げられます。これらのメリットは、公務員という職業の特性から生まれるものであり、あなたのキャリアプランを考える上で重要な要素となるはずです。

メリット1.雇用の安定性

公務員の最大の魅力の一つは、極めて高い雇用の安定性です。

法的保護と身分保障

公務員の身分は、国家公務員法や地方公務員法といった法律によって厳重に保障されています。民間企業のように、景気変動や企業の業績悪化を理由とした安易な解雇は原則として行われず、非常に強い身分保障があります。これは、公務員が国民全体の奉仕者として、常に公正かつ中立な立場で職務を遂行できるようにするための重要な仕組みです。

低い離職率

実際、地方公務員(一般行行政職)の離職率は、約2.5%となっています。これは約11%とされる民間企業の平均離職率と比較すると非常に低い水準であり、公務員の雇用の安定性は明らかといえるでしょう。

【参照】
在籍者(一般行政職):942,283人
離職者(一般行政職/普通退職):23,592人

・退職者数の出典:総務省「地方公務員の退職状況等調査」10ページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000999294.pdf
・在籍者数の出典:総務省「定員管理状況調査」2ページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000983456.pdf

景気に左右されない安心感

給与は税金を財源とし、法律や条例に基づいて決定されるため、民間企業のように景気の波に直接左右されることはありません。リストラの心配がほとんどなく、一度公務員になれば定年まで安心して働き続けられる、「終身雇用」に近い環境が保証されています。

※参照『令和4年 雇用動向調査結果の概要』厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/index.html

参照『令和5年度地方公務員の退職状況等調査』総務省ホームページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000999294.pdf

メリット2.高水準で安定した収入

公務員の収入は、安定性だけでなく、長期的に見て高水準である点も大きなメリットです。

年功序列による確実な昇給: 公務員の給与は、経験年数や役職に応じて毎年確実に昇給する「年功序列型」が基本です。人事院の勧告や各自治体の条例に基づき、着実に収入が増えていくため、将来設計が立てやすいのが特徴です。

安定したボーナス

年2回支給されるボーナス(期末・勤勉手当)も、法律等で定められた基準により、年間で平均4.6ヶ月分程度(国家公務員の場合)と安定して支給されます。
充実した各種手当と年金制度: 住宅手当、地域手当、扶養手当、通勤手当など、各種手当が充実しており、これらも年収を押し上げる要因となります。さらに、共済年金制度は、将来の生活設計においても安心材料となるでしょう。

手厚い退職金

退職金は、高水準かつ安定しており、老後の資金計画が立てやすいと言えます。

公務員の退職手当は、勤続年数や退職理由によって支給額が大きく異なります。例えば、勤続年数が短い自己都合退職者なども含めた全ての退職理由の平均支給額は、国家公務員で約900万円〜1,000万円程度、地方公務員で約1,100万円〜1,250万円程度です。

しかし、最も注目すべきは、定年まで勤め上げた場合の安定性です。定年退職の場合、国家公務員(行政職)で約2,100万円〜2,200万円程度、地方公務員(一般職員)で約2,100万円〜2,200万円程度です。大手民間企業と比較しても手厚い水準といえます。

生涯年収の優位性

雇用の安定性と年功序列による昇給、充実した福利厚生を総合的に見ると、公務員の生涯年収は、民間企業と比較しても優位であるケースが多いと言えます。
また、公務員の給与体系は、職員区分によってそれぞれの額が定められており、職員区分は、受験した公務員試験によって決まります。たとえば地方公務員試験の初級で合格した人と上級で合格した人では、初任給やその後の昇給カーブ、昇進の機会に明確な差が出ることが一般的です。より高い収入やキャリアアップを目指して大卒資格の取得を検討している方は、この点も念頭に置くと良いでしょう。

参照:『退職手当の支給状況』内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/sikyu_jokyo_r05.pdf

参照:『令和5年地方公務員給与実態調査結果の概要』総務省ホームページ〈40ページ〉
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/R5_kyuyo_1_01.pdf

メリット3.ワークライフバランスと働きやすさ

仕事とプライベートのバランスを重視する方にとって、公務員は働きやすい環境が整っています。

年間休日数の多さ

年間休日は平均125日程度(土日祝日および年末年始休暇を含む)と、民間企業と比較しても多い傾向にあります。

有給休暇の取得しやすさ

入庁直後から一定の日数の有給休暇が付与され、育児や介護など個人の事情に配慮した休暇制度も充実しています。組織全体として休暇取得を奨励する風土があり、比較的取得しやすい環境と言えるでしょう。

充実した育児・介護支援

最長3年間取得可能な育児休業制度は、男女問わず利用が推進されており、育児参加を促すための男性職員の育児休業取得促進策も積極的に講じられています。介護休暇制度も手厚く、ライフイベントと仕事を両立しやすい体制が整っています。

柔軟な働き方の導入

部署によってはフレックスタイム制が導入されており、コアタイムのないスーパーフレックス制を導入している機関もあります。これにより、勤務時間を柔軟に調整し、自身の都合に合わせた働き方が可能です。

【参考事例】
例えば、職員の子育て事情に合わせて、子の送迎に合わせた勤務時間の調整やテレワークを活用した柔軟な働き方を選択できるケースが増えています。

多様な人材の活躍推進

女性の採用・登用の拡大や、育児と仕事の両立支援、障害者雇用など、多様な人材が活躍できる働きやすい職場環境の整備に力を入れています。

メリット4.社会貢献できる仕事のやりがい

公務員として働くことは、人々の役に立ち、社会に貢献できるという大きなやりがいにつながります。

国民・住民の生活を直接支える使命感

公共サービスの提供や生活基盤の整備を通じて、国民や地域住民の生活を直接支えることは、何物にも代えがたい使命感や達成感をもたらします。例えば、災害からの復旧支援、子どもたちの教育環境の整備、高齢者の生活支援など、一つひとつの仕事が人々の安心と幸福に直結しています。

スケールの大きなプロジェクトへの参画

国家公務員であれば国の政策立案や外交、地方公務員であれば地域全体のまちづくりや活性化プロジェクトなど、民間企業ではなかなか経験できないような、社会に大きな影響を与えるスケールの大きな仕事に携わるチャンスがあります。

公平・公正なサービス提供

特定の利益追求にとらわれず、すべての人に平等で公平・公正なサービスを提供するという公務員ならではの働き方は、高い倫理観と公共心を満たします。売上ノルマに追われることなく、真に国民のために働くという目的意識を持って業務に取り組めることは、大きなモチベーションとなるでしょう。

公務員になるには

公務員として働くためには、原則として各自治体や人事院が実施する公務員試験に合格することが基本となります。公務員試験は「公平性」と「平等性」が重視されており、誰もが受験資格さえ満たせば挑戦できる開かれた門戸となっています。
しかし、公務員は人気職種の一つであり、当然ながら競争倍率は高い傾向にあります。試験は、主に知識や判断力を問う「筆記試験(教養科目・専門科目)」と、人物や適性を測る「面接試験」によって構成されます。特に人物試験は近年重要度が増しており、公務員としての熱意や倫理観が厳しく評価されます。

国家公務員と地方公務員で異なる採用フロー

公務員試験の大きな特徴として、職種によって採用フローが異なる点が挙げられます。

地方公務員(都道府県・市区町村)

採用試験の最終合格をもって採用が内定することが一般的です。

国家公務員(総合職・一般職)

採用試験に合格した後、志望する省庁を訪問し、面接を繰り返す「官庁訪問」と呼ばれるステップを経る必要があります。この官庁訪問の結果によって、最終的な採用先が決定します。

公務員試験合格までの流れと準備期間

公務員として内定を得るまでの一般的なステップは以下のとおりです。

合格に必要な勉強時間の目安は、一般的に半年〜1年程度と言われています。在学中の学生であれば、大学3年次の夏頃から対策を始めるのが一般的です。一方で社会人からの転職をめざす場合は、仕事と両立しながら計画的に時間を確保する必要があるため、より綿密なスケジュールを立てて準備を進めることが成功の鍵となります。
公務員試験の制度は複雑で、試験区分や職種によって多岐にわたります。

公務員に向いている人とは

公務員という職業は、人々の生活や社会の基盤を支える役割を担うため、民間企業とは異なる特性や価値観が求められます。ここでは、公務員として活躍するために必要な性格、価値観、適性を紹介します。
公務員への適性があるかどうかは、仕事への動機や人生観とも深く関わってきます。あなたが「公」のために働くことにやりがいを感じられるかどうか、以下の項目をヒントに自己判断してみてください。

求められる人物像

公務員に共通して求められる基本的な資質は、「全体の奉仕者」としての心構えです。営利を目的とせず、国民や地域住民全体の利益(公共の利益)を追求することが公務員の使命だからです。
公務員として活躍するために求められる主な特徴は以下の通りです。

社会貢献への意欲がある人(公共の利益を重視する姿勢)

自分の仕事が、広く国民生活や社会の安定に役立つことに喜びを感じられる人が向いています。

責任感・使命感を持てる人

担当業務が法令や公的なルールに基づき、国民生活に直結するため、一つひとつの業務に重い責任が伴います。

継続的に努力できる人(地道な努力、粘り強さ)

成果が目に見えにくい地道な作業や、法律・制度の改正に伴う継続的な学習が必要であり、粘り強く困難な課題に取り組む力が求められます。

コミュニケーション能力が高い人

窓口業務での住民対応、異なる部署や関係機関との調整、チーム内での円滑な連携が欠かせません。

一方で、公務員という組織や仕事の特性上、成果に応じて給与を上げたいといった純粋な成果主義を求める人や、既存のルールや年功序列の慣習にとらわれずに新しいことを次々と実行したい人にとっては、もどかしさを感じる場面があるかもしれません。また、公務員の仕事は、多様な住民のニーズに対応する過程でクレーム対応を伴うことも多いため、ストレス耐性も重要な要素となります。

国家公務員・地方公務員の適性の違い

公務員といっても、国全体に関わる「国家公務員」と、地域に密着した「地方公務員」とでは、求められる適性や仕事のスケールが大きく異なります。

国家公務員に向いている人

  • 広域的視野を持ち、国の政策や行政の根幹に関わりたい人。
  • 数年単位で部署や勤務地が変わりうる全国規模での異動に抵抗がない人。
  • 政策立案など、スケールの大きな仕事に情熱を注げる人。
  • 結果が出るまでに時間のかかる課題に長期的に取り組む粘り強さがある人。

地方公務員に向いている人

  • 特定の地域(都道府県や市区町村)に愛着があり、地域住民の生活向上に貢献したい人。
  • 数年ごとに部署が異動するため、幅広い業務に適応し、柔軟に対応できる人。
  • 窓口業務などで、多様な住民のニーズや声に直接触れ、住民対応力を発揮したい人。
  • 転居を伴う異動が少ない環境で、安定したライフプランを重視したい人。

まとめ 安定した将来を築ける公務員を大手前大学で目指そう

本記事では、公務員という仕事の定義から、その魅力、そして合格をめざすために必要な適性やルートまでを解説しました。公務員とは、国や地方自治体で働く職員として、営利を目的とせず、社会の基盤となる行政サービスや政策を担う社会の土台作りを担う重要な職業です。

公務員をめざす最大の動機となる、以下の4つのメリットを再確認しましょう。

  • 安定した雇用と収入
    経済状況に左右されにくい、安定した俸給制度と充実した福利厚生。
  • 充実したワークライフバランス
    民間企業よりも整った休暇制度と男女問わず働きやすい環境。
  • 高い社会貢献性
    特定の誰かではなく、国民や地域住民全体のために働ける大きなやりがい。
  • 多様なキャリア選択肢
    専門職や技術職など、自身の適性や専門性を活かせる幅広い職種。

公務員試験は難易度が高いですが、適切な準備と体系的な学習方法を確立すれば、合格は決して不可能な目標ではありません。特に、公務員試験の受験資格や採用区分は「大卒」を前提としているケースが多く、大卒資格を持つことは、選択できる職種の幅やキャリアアップにおいて大きなアドバンテージとなります。

確実な合格とキャリアアップのための学び直し

公務員試験を突破する上で、独学での強い意志や自己管理能力に不安を感じる方や、より確実に、効率的に合格を目指したい方にとって、通信制大学での学び直しは非常に有効な選択肢です。特に、次の2つの点で、公務員キャリアにおいて大きなメリットがあります。

  • 大卒資格の獲得
    高卒の方や大卒資格がない方でも、公務員試験対策と並行して大学卒業資格(学士)を目指せるため、キャリアアップの土台が築けます。
  • 受験資格の拡大
    大卒資格を持つことで、選択できる職種(特に専門性の高い職種)や、昇進・昇格に直結する大卒程度試験の受験資格を最大限に活用できます。

大手前大学通信教育部で学ぶポイント

大手前大学通信教育部では、公務員をめざす方に特化した「公務員試験対策講座」を提供しており、多忙な社会人や学生が無理なく夢を追いかけられるよう、徹底したサポート体制が整っています。
公務員試験合格と、将来のキャリアを見据えた学位取得を両立できる環境こそが、大手前大学通信教育部の最大の強みです。

オンライン中心の学習で、時間や場所にとらわれず学べる

忙しい社会人や、遠方にお住まいの方でも、自分のライフスタイルに合わせて無理なく学習を進められます。

基礎から応用まで公務員試験対策を体系的に学べるカリキュラム

合格に必要な知識(一般知能、社会科学、人文科学など)を網羅的に習得し、応用力を身につけることが可能です。

働きながらでも無理なく学習を継続できるサポート体制

公務員対策講座の講師とのオンライン面談は、モチベーションが下がった時や不安が大きくなった時の大きな支えとなります。メッセージでの相談や、学習スケジュール管理のサポートも充実しています。

合格に直結する人物試験対策の徹底

合否を分ける論作文は回数制限なく添削を受けられます。また、面接対策では、オンライン面談を通じ、面接本のような模範解答ではなく「自分らしさが出せる」志望理由や自己PRを一緒に作り上げていくきめ細かな個別指導が受けられます。

大手前大学で学んだ経験は、公務員試験の合格だけでなく、「自分で計画を立てて能動的に学習する力」を育む練習にもなり、これは社会に出てからも大きな自信と力になります。

安定した将来を築く公務員への一歩を、大手前大学通信教育部で踏み出してみませんか。

受講者インタビュー

効果的な個別指導・模擬面接であこがれの警察官に

Iさん(2025年3月卒業)

警察官には幼い頃からあこがれがありました。大学を中退後、契約社員として働き始めたのをきっかけに進路と真剣に向き合えるようになり、挑戦することにしました。大手前大学に決めた理由は、以前の大学で取得した単位を活かせる4年時編入学と、公務員試験対策講座の充実度が魅力的だったからです。
仕事との両立には不安がありましたが、学期単位で余裕を持った計画を立てて習慣化。モチベーションが下がったり、不安が大きくなったときは、オンライン面談に支えられました。模擬面接でいただいた「模範解答ではなく、自分らしさが出せるものにした方がいい」というアドバイスにより、自身をアピールする意識が生まれ、本番への自信につながりました。学んだ期間はわずか1年でしたが、「自分で計画を立てて勉強をする」という経験は、社会に出た今も役立っています。