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公務員になるには?試験内容・学歴別ルート・勉強法までわかりやすく解説

「公務員になりたいけれど、何から手をつけていいかわからない」「公務員試験は難しそうだけど、自分でも合格できるの?」

安定した将来や社会への貢献を目指して公務員というキャリアに興味を持っても、試験の仕組みや種類が複雑で、どこから情報を集めていいか迷ってしまう方は少なくありません。特に、ご自身の学歴や現在の立場(大学生、高卒、社会人など)によって、めざすべきルートが変わってくるため、正しい知識を持たないまま準備を始めてしまうと、貴重な時間と労力を無駄にしてしまうリスクがあります。

そこで、この記事では、公務員をめざす人が最初に知っておくべき試験の全体像をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、複雑な公務員試験の内容や難易度が明確になるほか、あなたの学歴・経歴に合わせた最適な受験ルートがわかります。さらに、難関を突破するために必要な具体的な準備期間や、独学・予備校といった効率的な勉強方法まで解説します。公務員への一歩を踏み出すために、ぜひお役立てください。

公務員になるには

公務員として働くことをめざす場合、民間企業のような多様な採用ルートは原則として存在しません。公務員という職業は、憲法に「全体の奉仕者」として規定されており、その適格性を公平かつ平等に評価されます。そのため、公務員になるには、まず公務員試験に合格しなければなりません。

公務員の採用までの基本フローは、以下の通りです。近年は特に人物試験が重視される傾向があります。

公務員試験に合格するまで

上記のルートを確実に進むために、まずは公務員試験がどのような内容で構成され、どの程度の難易度があるのかを理解しましょう。

公務員試験の内容と難易度

公務員試験は、多岐にわたる公務員の職務を公平に遂行できる人材を選抜するため、大きく分けて「筆記試験」と「人物試験」の2種類の選考で構成されています。

筆記試験

筆記試験は、主に以下の4つの形式があります。そのうち、「教養択一」と「専門択一」はマークシート形式です。試験の種類や自治体によっては、専門科目・専門記述が試験科目に入らない場合もあります。

  • 教養択一(一般教養)
    一般知識(政治、経済、歴史など)と一般知能(数的処理、文章理解)が出題されます。
  • 専門択一(専門科目)
    憲法、経済学、行政学など、専門的な知識を問う試験です。
  • 教養記述(論文・作文)
    時事や一般的なテーマについて論理的な文章力、構成力を問う試験です(800〜1,500字程度)。
  • 専門記述
    特定の専門科目のテーマに対する記述式の試験で、国家専門職などの特定の試験でのみ出題されます。

人物試験

筆記試験の合格者に対して行われ、公務員としての適性を見極めるための選考です。
基本的には、個別面接(20〜30分程度)が行われます。受験生1人に対し、複数の面接官が志望理由や自己PRなどを質問するケースが一般的です。
面接の際は、事前に提出する面接カードに記載された事項から質問されることが多く、よく考えて記入することが大切です。
自治体によっては集団面接を実施後、三次試験で個別面接が行われることがあります。集団面接では、協調性やコミュニケーション能力が評価されます。適性検査が行われる場合もあり、内田クレペリン検査・YG検査などで適性を確かめた上で、面接の参考資料とされます。

その他

公務員試験では、職種や自治体の方針により、下記のような選考が課される場合があります。

  • 集団討論
    5~8名程度の受験生が1つのテーマで討論し結論を出す形式です。結論だけでなく、試験中の協調性や論理性が重視されます。
  • プレゼンテーション
    面接試験の中で課され、特定のテーマに関する発表力や構成力が試されます。
  • 体力試験
    警察官や消防官などの公安職で必須です。採用されるための身体基準も定められています。
  • SPI(総合適性検査)など
    通常の教養・専門試験の代わりに、民間企業の選考で使われる適性検査を導入する自治体が増えています。

近年は、行政サービスの複雑化に伴い、住民との対話能力やチームでの協調性が重視され、人物試験(面接・適性)の比重が非常に高くなっています。しかし、人物試験に進むためには、まず難関である筆記試験を突破する必要があるため、どちらも準備には真剣に取り組む必要があります。

公務員試験の難易度

公務員試験の倍率は、毎年2〜20倍で推移しています。年度や職種、試験区分によって難易度には開きがありますが、いずれも「難関」と言えます。難関を突破するためには、数カ月から1年以上の計画的な準備が必要となります。

公務員試験の難易度について、過去の試験結果や競争倍率、試験範囲の広さなどを総合的に考慮して、下の一覧表にまとめました。ただし、この難易度レベルは一つの指標であり、実際の難易度は年度や個人の得意分野によって変動します。

難易度 レベル 主な職種 特徴・求められる力
レベル5 国家総合職 将来の幹部候補。政策立案能力が問われ、高度な専門知識と論理性が要求される最難関。
外務省専門職員 語学力、国際情勢に関する専門知識が問われる。採用人数が少なく、非常に競争率が高い。
レベル4 国会職員(総合職) 国会運営を支える重要な職種。法律知識、専門性、高い教養が求められる難関。
裁判所職員(総合職) 司法行政を担う。法律科目中心の高度な専門知識が必須。
地方上級(都道府県庁・政令指定都市) 地域行政の中心を担う。国家一般職レベルの専門知識と、高い人物適性が求められる。
レベル3 国家一般職 国の「実働部隊」。幅広い専門知識と効率的な学習が求められる中〜難関。
国税専門官・財務専門官など 専門分野に特化した知識が必須。専門性を深める集中対策が必要。
レベル2 市役所職員 地域住民に密着した行政を担う。筆記試験よりも人物試験・地域への熱意が重視される傾向が強い。
公安系(警察官・消防官) 身体基準と体力試験が加わる。専門知識のレベルは標準的だが、倍率は高いことが多い。
レベル1 地方初級(高卒程度) 高校卒業程度の基礎知識が中心。公務員試験のなかでは標準的な難易度。

※参照:『国家公務員試験採用情報NAVI』人事院ホームページ
https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken.html

『地方公務員の職員採用方法の多様化について』総務省ホームページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000785385.pdf

受験資格と年齢制限

公務員試験の受験資格は、民間企業の採用と比べると非常にシンプルです。基本的に「年齢」と「欠格条項」以外の制限はほとんどありません。

公務員試験の最大の特徴は、受験する区分(大卒程度、高卒程度など)によって、「受験できる年齢の上限」が定められていることです。多くの大卒程度試験では、「受験年度の翌年4月1日時点で21歳以上30歳未満」などと設定されており、この年齢を超えると受験資格を失います。

しかし、見方を変えると、年齢および後述する一部の例外を除き、学歴や性別、特定の資格の有無などで受験が制限されることは基本的になく、広く受験の門戸は開かれているということです。

年齢以外に受験資格が必要な職種

一般の「行政事務職」試験では資格は不要ですが、専門的な知識や身体能力が必要な職種では、年齢以外にも要件が課されます。

  • 技術職(土木、建築、機械など)
    関連する学部・学科の卒業要件、または特定の専門分野での実務経験が求められることがあります。
  • 医療・福祉職(保健師、栄養士、心理職など)
    医師免許、保健師免許、管理栄養士免許、社会福祉士などの国家資格の保有または取得見込みが必須です。
  • 公安職(警察官、消防官など)
    視力、聴力に関する規定の身体基準。採用選考で体力試験も実施されます。
  • 教育職(公立学校教員)
    教員免許状(一種、専修など)の保有が必須です。

これらの専門職をめざす場合は、自身の保有資格や身体基準が、受験する試験の要件を確実に満たしているかを事前に確認しましょう。

国家公務員になるには

国家公務員とは、国の行政を担う職員であり、その仕事は日本の社会全体、あるいは世界を舞台とする大規模なものです。国家公務員になるためのルートは、試験区分によって異なりますが、ここでは職種の種類と採用の基本フローを解説します。

国家公務員の種類と役割

国家公務員試験は、主にその役割と採用後の昇進スピードによって、大きく以下の3種類に分かれています。

総合職(キャリア組)

主な役割:政策の企画・立案、法律の制定・改廃など、国の根幹に関わる業務を担います。
特徴:将来の幹部候補生とされ、最も難易度が高く、数年で部署を異動しながら昇進していくキャリアパスをたどります。

一般職

主な役割:政策の実施・運用を担う、国の「実働部隊」です。基本的には各省庁の地方機関などで働きます。
特徴:採用省庁内での異動が中心で、特定の分野で専門性を高めることができます。

専門職

主な役割:特定の分野で専門的な知識やスキルを活かす職種です。
特徴:国税専門官、財務専門官、労働基準監督官など専門的な職種であるため、職種ごとに専門試験が課され、採用後の仕事内容は限定的・専門的です。

これらの区分に加え、高卒程度や社会人経験者を対象とした試験区分もありますが、どの区分で受験するにしても、国の仕事への高い関心と貢献意欲が求められます。

採用までの基本フロー

国家公務員(総合職、一般職の大卒程度、経験者採用の一部)の採用までの基本的な流れは、以下の5ステップで進行します。特に、最終的な採用を決める「官庁訪問」というプロセスが、地方公務員や民間企業の採用活動とは大きく異なります。

1. 公務員試験の受験と最終合格

まず、各試験区分(総合職、一般職など)の筆記試験(第1次試験)を受験し、合格した人のみが人物試験(第2次試験)を受験することができます。試験区分によっては、人物試験のほか専門試験や論文試験もあわせて行われる場合もあります。この第2次試験で「最終合格」を勝ち取り、最終合格者名簿に登録されることが、次のステップである「官庁訪問」に進むための必須条件となります。

2. 官庁訪問(採用面接)

国家公務員の場合、最終合格=採用ではありません。最終合格後、実際にどの省庁で働くかを決めるための「官庁訪問」が行われます。これは、志望者が各府省(中央省庁)やその出先機関を直接訪問し、以下の選考を受けるプロセスです。

  • 業務説明
    職員から具体的な業務内容や職場の雰囲気の説明を受けます。
  • 面接
    複数の職員との面接を通じて、志望動機、適性、熱意などが評価されます。

官庁訪問は、民間企業における面接選考に相当し、内定を得るための最も重要なステップです。

3. 官庁訪問のルールと特徴

官庁訪問は、その公平性を担保するため、開始日が人事院によって統一的に定められています。この開始日以降、志望者は複数の省庁を訪問し、面接を受けることが可能です(これを「併願」と呼びます)。

民間企業の就職活動と似ていますが、省庁訪問期間中は毎日各官庁を回ることになるため、体力と精神力が必要です。期間中に複数の官庁を訪問し、面接を重ねることで、自分に最も合った職場を見つけると同時に、内定獲得をめざします。最終的に、訪問先の官庁から内々定を得られれば、正式な内定となります。

地方公務員になるには

地方公務員とは、都道府県庁、市町村役場、特別区(東京23区)など、地域に根差した行政機関で働く職員です。国家公務員が国の政策を担うのに対し、地方公務員は住民に最も身近なサービスを提供し、地域の課題解決に貢献する役割を担っています。

地方公務員になるための試験は、国家公務員とは異なり、各自治体が独自に実施・選考を行います。

地方公務員の種類と職種の違い

地方公務員は、大きく以下の種類に分けられます。

行政職(事務系)

最も一般的な職種で、住民票の発行や税務、教育、地域振興など、役所の窓口業務から企画・調整まで幅広い分野を担当します。数年ごとの異動で多様な部署を経験し、地域のあらゆる課題解決の中心を担います。

技術職

土木、建築、電気、機械、情報などの専門分野に特化した職種です。道路や上下水道の整備、公共施設の設計・監督など、専門的な知識と技術を活かして、安全で快適な地域インフラを支えます。

福祉職

福祉事務所や児童相談所などで、高齢者、障がい者、生活困窮者などへの相談支援やケースワークを行う職種です。福祉の専門知識を用いて、地域で困難を抱える人々の自立と生活の安定をサポートします。

心理職

心理判定員やスクールカウンセラーとして、発達支援センターなどに勤務し、子どもや保護者、障がいを持つ方などの心理的な支援を担います。不登校や発達の課題に対して、専門的にアプローチします。

公安職

地方警察官や消防吏員、自衛官などの職種が該当します。地域住民の安全と治安維持のため、火災・災害対応といった現場対応が求められ、高い身体能力と判断力が必要とされる使命感の強い職種です。

資格免許職

保育士、看護師、保健師、管理栄養士など、国家資格や専門免許を有することが前提となる職種です。これらは医療、教育、福祉の現場で活躍し、専門性が重視されます。

地方上級公務員

地方公務員は、採用時に受験する試験の難易度や勤務先によって、一般的に「地方上級」「地方中級」「地方初級」と区分されることがあります。

地方上級公務員

地方上級公務員という名称は、実際の職種名ではありません。これは主に、大学卒業程度の知識が求められる採用試験のレベル(区分)を指す通称であり、主に都道府県庁や政令指定都市の「行政職(事務系)」に採用された職員を指します。
地方上級に採用された職員は、より広域的な行政業務や、将来の幹部候補としての役割を担います。具体的な業務としては、県や市の長期的な計画策定、大規模なインフラ整備事業の推進、地域産業の振興、広域的な防災対策などが挙げられます。数年ごとに部署異動があり、多様な分野で経験を積み、地域全体の発展を見据えた政策の企画・実行に携わるスケールの大きな仕事です。

どの職種も、地域社会への貢献意欲と、住民の声に耳を傾ける姿勢が強く求められます。

地方公務員に合格するまで

地方公務員試験の実施主体は、各自治体(都道府県、市町村など)です。そのため、国家公務員に必須の「官庁訪問」というプロセスはなく、自治体の採用試験で「最終合格」を勝ち取れば、それがそのまま内定または採用の確約となります。

地方公務員試験の採用までの基本的な流れは、国とは異なり、非常にシンプルです。
採用までの流れは以下の通りです。

このシンプルなフローと、試験の日程を調整しやすいことから、多くの受験者が複数の地方公務員試験を併願し、内定獲得の機会を広げています。

【学歴・経歴別】公務員になるためのルート

公務員試験には「大卒程度」や「高卒程度」といった区分がありますが、これは求められる学力レベルの目安であり、必ずしも受験者の最終学歴を問うものではありません。例えば、高校卒業資格であっても、「大卒程度」の試験を受けることが可能です。

ただし、受験する試験によっては「大卒資格」や「特定の専門分野の卒業」を学歴要件として定めているケースもあるため、めざす職種の受験資格は必ず確認が必要です。

ここでは、現在の学歴や経歴に応じた、公務員をめざすための主なルートを解説します。

大学生/大卒の場合

大学に在学中、あるいは大学を卒業している場合、「大卒程度」の試験を受けるのが一般的です。

試験の概要

対象者

主に22歳から30歳程度の方(翌年4月1日時点)を対象としています。

求められる学力

「大学卒業レベルの基礎学力」が前提となり、行政系の職種をめざす場合は、憲法、行政法、経済学などの専門科目まで、幅広い知識の学習が必須となります。

受験可能な試験

国家総合職、国家一般職、地方上級(都道府県庁・政令指定都市)、市役所試験の多くなど、選択肢が最も広くなります。

学歴要件が必須となる専門職

多くの試験は学力レベルの目安ですが、以下の職種など、特定の専門職をめざす場合は、大学の専門課程の卒業や資格が必須となる「学歴要件」が定められています。

技術職

土木、建築、機械、電気など。関連する工学系分野の学部・学科の卒業が求められます。

資格職

保健師、管理栄養士、心理職など。それぞれ対応する国家資格や、資格取得に必要な専門課程の修了が求められます。
大卒者は、行政事務職から専門性の高い技術職まで、幅広い選択肢の中から自身のキャリアを設計できる点が最大の強みです。

高校生/高卒の場合

高校に在学中、あるいは高校を卒業している場合、公務員をめざす際の最初のルートは「高卒程度」の試験です。

試験の概要

該当する主な試験

地方初級(都道府県・市町村の高卒枠)、市役所試験(高卒枠)、国家一般職(高卒者試験)などがあります。

年齢制限

一般的には18歳〜20代前半までといった年齢制限があります(自治体や職種によって変わるため要確認)。

求められる学力と試験科目

求められる学力水準は高校卒業程度です。試験科目の概要は、主に教養試験、作文、そして人物試験で構成されます。大卒程度で課されるような、法律・経済の専門科目はほとんど問われません。
高卒程度試験は、大学進学をせずにすぐに社会に貢献したいという強い意志を持つ方にとって、公務員という安定したキャリアを早期にスタートできる明確なルートとなります。

社会人/転職希望者の場合

民間企業での就業経験を持つ社会人や転職希望者が公務員をめざすルートは、大きく分けて2つあります。

ルート1:社会人枠の採用試験(経験者採用)

民間企業等での一定の就業経験がある方(自治体により3年〜10年など経験年数が指定される)を対象とした採用試験です。

【メリット】
筆記試験の負担が少ない
一般枠の大卒程度試験と比べて、教養科目や専門科目が少なく、経験論文や面接が重視される傾向があります。
年齢上限が高い
一般枠では受験できない30代〜50代の方も挑戦しやすいよう、年齢上限が高く設定されています。

【デメリット】
・募集人数が一般枠に比べて非常に少ないため、倍率が高くなる傾向があります。

ルート2:一般枠の大卒程度試験

職務経験は問わず、年齢制限内で受験できる一般の大卒程度試験(国家一般職、地方上級など)を受験するルートです。

【メリット】
募集人数が多い
毎年安定して募集人数が多く、チャンスが多くあります。
専門性を学べる
法律や経済の専門科目を学ぶことで、公務員として必要な知識を体系的に習得できます。

【デメリット】
・専門科目の学習負担が大きく、年齢制限(30歳前後が目安)を超えると受験できなくなります。

社会人採用で重視されるポイント

民間出身者がめざしやすい職種は、社会経験を活かせる一般行政事務や、広報、人事、財務などの専門職です。合格するには以下の点が特に重視されます。

実務経験

これまでの民間での経験(課題解決力、調整力など)を公務員として業務にどう生かせるか。そのため、社会人枠では職務経験の論文が重視される場合もあります。

明確な志望動機

なぜ民間ではなく、公務員、そしてその自治体(または官庁)を選んだ理由などが明確であること。熱意をアピールすることも必要です。
どちらのルートを選ぶにしても、年齢制限があるため、めざす職種や自治体の要項を必ず確認することが重要です。

公務員に求められる人物像

公務員試験の最終的な合否を分けるのは、筆記試験で測られる知識量だけではなく、人物試験で評価される公務員としての適性や人柄(資質や価値観)です。採用側は、受験者が公共の利益を考え、公正に、そして長期的に社会貢献するために働けるかどうかを見極めています。
ここでは、公務員として活躍するために必須とされる3つの要素を見ていきましょう。

社会の役に立ちたいという思いがある

公務員が民間企業と決定的に違うのは、営利を目的としないという点です。そのため、高い使命感と公共の利益を重視する姿勢が必須となります。

 

  • 「国民・住民全体の奉仕者」としての使命感
    公務員は、特定の個人や企業ではなく、社会全体の福祉や課題解決に貢献するという強い意志が求められます。この使命感が、困難な業務やクレーム対応に直面した際の原動力となります。
  • 公共の利益を考える姿勢
    常に、自分の業務が広く社会にどのような影響を与えるのか、長期的な視点で公共の利益を最優先できる倫理観が評価されます。
  • 公平性と倫理観
    特定の利害関係に偏ることなく、すべての人に対して公平かつ誠実に接する姿勢が求められます。これは公務員の信頼の根幹です。

人と丁寧に関わるのが得意

公務員の仕事は、デスクワークだけでなく、人との関わりなしには成り立ちません。対人スキルと協調性は、筆記試験以上に人物試験で深く評価される要素です。

 

  • 多様な対話力と協調性
    窓口での市民対応はもちろん、関係機関や他部署との連携・調整、そして組織内の円滑なチームワークに、高いコミュニケーション能力が問われます。
  • 相手の立場に配慮した丁寧な対応
    行政サービスは、様々な背景やニーズを持つ住民に提供されます。相手の立場を理解し、公平かつ分かりやすい言葉で丁寧に説明できる力が重要となります。
  • ストレス耐性
    住民の厳しい要望やクレームに冷静に対応し、ストレスを適切に処理できる精神的な強さも、公務員として長く働く上で欠かせません。

ルールを守りながら成長できる

公務員は、法令や規定に基づいて公正に業務を進めることが大前提ですが、同時に、社会の変化に対応して行政サービスを改善していく柔軟な成長意欲も求められます。

 

  • 法令遵守と公正性
    職務を遂行する上で、法令や内部のルールを厳格に守り、公正性を保つという倫理観は必須です。この原則の上に、公務員の信頼が成り立っています。
  • 柔軟性と適応能力
    数年ごとの異動(ジョブローテーション)や、制度改正は公務員の日常です。新しい分野や業務、職場環境に柔軟に対応し、すぐに知識を吸収できる適応力が求められます。
  • 継続的な学習意欲
    より良い行政サービスを実現するためには、常に社会の動きや専門知識を学び続け、スキルや知識を高めていく成長意欲が重視されます。ルールを守りながらも、より効率的・効果的な方法を探求する姿勢が、変化の多い行政環境で活躍する資質となります。

公務員試験に合格するためのポイント

公務員試験は、出題範囲が広範にわたり、専門知識の習得も必要なため、長期的な学習計画が合格の鍵を握ります。漠然と勉強を始めるのではなく、戦略的な準備と計画的な勉強方法を確立することが不可欠です。

合格までの道のりを明確にするために、まず行うべきことは次の3点です。

  • 受験する試験の決定と情報収集
    国家公務員か地方公務員か、行政事務職か技術職かなど、めざす職種と自治体(官庁)を具体的に決定します。
  • 試験内容と日程の確認
    志望する試験の出題科目、試験形式(択一・記述)、年齢制限、そして受験日程を正確に把握します。
  • 逆算による学習スケジュールの作成
    最終試験日から逆算し、必要な学習時間(専門科目、教養科目、人物対策)を割り振った具体的な学習スケジュールを立てます。

学習スケジュールを立てる際、一般的に合格に必要な期間の目安は、予備校を利用する場合で約1年〜1年半、独学の場合は約1年半とされています。この期間を見据え、無理のない継続可能なスケジュールを組みましょう。

独学と学校どちらを選ぶべき?

公務員試験の勉強法には、大きく分けて「独学」と「予備校・通信講座の利用」の2つの選択肢があります。
結論から言うと、公務員試験は独学でも合格は可能です。しかし、どちらのルートを選ぶかによって、準備の難易度や費用は大きく異なります。

独学のメリット・デメリット

独学の最大のメリットは、費用を大幅に抑えられることです。市販の教材費のみで済み、通学のための交通費もかからないため、予備校に通う数十分の一の費用で済みます。
一方で、独学で合格するためには、以下のデメリットを克服する強い意志と自己管理能力が必須となります。

  • 情報収集と計画に手間がかかる
    複雑な試験情報(日程、出題傾向、自治体ごとの違い)の収集や、自身の進捗に合わせた最適な学習計画の立案をすべて自分で行う必要があります。
  • サポートの不足
    論文添削や面接対策といった、合否を大きく左右する人物試験対策のサポートを外部に頼るのが難しくなります。
  • モチベーションの維持
    長期の学習期間中、相談相手がいない環境で、挫折しないための高い自己管理能力が求められます。

学校(予備校・通信講座)を利用する利点

独学でのデメリットと比較すると、学校に通うこと、または通信講座を利用することには、以下の明確な利点があり、独学以上に価値があると考える受験生も多くいます。

  • 効率的なカリキュラム
    合格に必要な科目、範囲、難易度が整理されており、無駄のない学習を進められます。
  • 質の高いサポート
    論文や面接といった人物試験対策でプロの添削・指導を受けられるため、独学では難しいレベルアップが可能です。
  • 情報と学習環境が得られる
    最新の試験情報、制度変更に関する情報提供が得られ、予備校であれば同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる学習環境が得られます。

自身の予算、自己管理能力、そして学習に充てられる時間を考慮し、最適な学習スタイルを選択しましょう。

まとめ 大手前大学で公務員を目指そう

本記事では、公務員という職業の安定性、社会貢献性といった魅力から、国家・地方公務員の種類、そして学歴・経歴別の合格ルートまでを詳細に解説してきました。公務員になるためには、複雑な試験を突破し、最終的に人物試験で公務員としての適性を認められる必要があることが、おわかりいただけたと思います。
公務員試験の難易度は決して低くありませんが、合格するのは一部のエリートだけではありません。自分に合った勉強スタイルを見つけ、正しい情報に基づいた計画的な準備を進めれば、誰にでも合格をめざすチャンスがあります。

確実な合格とキャリアアップのための学び直し

公務員試験を突破する上で、独学での強い意志や自己管理能力に不安を感じる方や、より確実に、効率的に合格を目指したい方にとって、通信制大学での学び直しは非常に有効な選択肢です。

特に、以下の2点は、将来の公務員キャリアにおいて大きなメリットとなります。

大卒資格を同時取得

高卒の方や大卒資格がない方でも、公務員試験対策と並行して大学卒業資格(学士)を目指せるため、キャリアアップの土台が築けます。

受験資格の拡大

大学卒業資格を持つことで、選択できる職種(特に専門性の高い職種)や、昇進・昇格に直結する大卒程度試験の受験資格を最大限に活用できます。

大手前大学通信教育部で学ぶポイント

大手前大学通信教育部では、公務員をめざす方に特化した「公務員試験対策講座」を提供しており、多忙な社会人や学生が無理なく夢を追いかけられるよう、徹底したサポート体制が整っています。
公務員試験合格と、将来のキャリアを見据えた学位取得を両立できる環境こそが、大手前大学通信教育部の最大の強みです。

  • オンライン中心の学習で、時間や場所にとらわれず学べる
    忙しい社会人や、遠方にお住まいの方でも、自分のライフスタイルに合わせて無理なく学習を進められます。
  • 基礎から応用まで公務員試験対策を体系的に学べるカリキュラム
    合格に必要な知識(一般知能、社会科学、人文科学など)を網羅的に習得し、応用力を身につけることが可能です。
  • 働きながらでも無理なく学習を継続できるサポート体制
    公務員対策講座の講師とのオンライン面談は、モチベーションが下がった時や不安が大きくなった時の大きな支えとなります。メッセージでの相談や、学習スケジュール管理のサポートも充実しています。
  • 合格に直結する人物試験対策の徹底
    合否を分ける論作文は回数制限なく添削を受けられます。また、面接対策では、オンライン面談を通じ、面接本のような模範解答ではなく「自分らしさが出せる」志望理由や自己PRを一緒に作り上げていくきめ細かな個別指導が受けられます。

大手前大学で学んだ経験は、公務員試験の合格だけでなく、「自分で計画を立てて能動的に学習する力」を育む練習にもなり、これは社会に出てからも大きな自信と力になります。

安定した将来を築く公務員への一歩を、大手前大学通信教育部で踏み出してみませんか。

受講者インタビュー

効果的な個別指導・模擬面接であこがれの警察官に

Iさん(2025年3月卒業)

警察官には幼い頃からあこがれがありました。大学を中退後、契約社員として働き始めたのをきっかけに進路と真剣に向き合えるようになり、挑戦することにしました。大手前大学に決めた理由は、以前の大学で取得した単位を活かせる4年時編入学と、公務員試験対策講座の充実度が魅力的だったからです。
仕事との両立には不安がありましたが、学期単位で余裕を持った計画を立てて習慣化。モチベーションが下がったり、不安が大きくなったときは、オンライン面談に支えられました。模擬面接でいただいた「模範解答ではなく、自分らしさが出せるものにした方がいい」というアドバイスにより、自身をアピールする意識が生まれ、本番への自信につながりました。学んだ期間はわずか1年でしたが、「自分で計画を立てて勉強をする」という経験は、社会に出た今も役立っています。