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看護師のキャリアアップとは?実現のために取得すべき資格や、やるべきこと
※2024年10月30日現在の内容です
看護師のキャリアアップとは?実現のために取得すべき資格や、やるべきこと
国家試験を突破し、晴れて看護師となった後は、病院などに所属して、学んできた知識と技術を実践していくことになります。しかし、それで終わりではありません。特定の分野の知識を深めて専門性を深めていく人もいれば、幅広く知識と技術を磨いていく人もいますし、リーダーとしての能力を磨いていく人もいます。本人の特性や希望にもよりますが、進むべき道をある程度決めておけば、どのような準備をすればよいのかも見えてきます。
ここでは、看護師として働き始めた人たちがどのようにキャリアアップを図っていくべきかを見ていきましょう。
- 看護師のキャリアアップとは?
- 看護師のキャリアアップ方法
- キャリアアップをするためにやるべきこと4つ
- 看護師のキャリアアップで得られるメリット4つ
- キャリアプランの立て方
- 大手前大学 通信教育部で看護の専門知識を学ぶ
看護師のキャリアアップとは?
看護師として長期的に働くことを考えている場合は、キャリアアップに関しても考えておくことが重要です。看護師のキャリアアップとは、理想とする看護師像に向けてステップアップすることです。どのような道に進むのが自分にあっているのか、決めかねている人もいるでしょう。そんな場合も、この記事を通じて看護師のキャリアアップについて知れば、「これなら自分にもできるかも」というヒントを得られるでしょう。
また、すでに将来のキャリアプランを決めている方は、その実現に向けてどのような準備を進めるべきかの参考にしてみてください。
キャリアプランとキャリアパスの違い
看護師のキャリアアップを考える前に、まずはキャリアプランとキャリアパスの違いを整理しておきましょう。キャリアプランとは、キャリアアップを実現するためのプランのことです。「将来こうなりたい」というキャリアイメージを作った上で、現在不足している経験や知識を把握し、その不足を解消するための計画を立てることを指します。具体的には、新たな資格を取得するなどが挙げられます。
キャリアパスとは、キャリアを得るまでの道のことで、雇用側が組織内においてキャリアを積み重ねていくために必要な過程や道筋を示したものを指します。 例えば、「〇年以上の実務経験があり、病院が指定する研修を修了した者のうち、リーダーシップを備える者を看護主任とする」といったもので、多くの場合は雇用側である病院が看護師のキャリアアップのプランを立て、研修などを実施して適切にサポートします。
つまり、キャリアプランが自身で立てた目標を達成するための計画であるのに対して、キャリアパスは一つの職場におけるモデルプランであり、雇用側が示すキャリアアップまでのルートということになります。
あなたが看護師としてキャリアアップをめざす場合、将来どうなりたいか具体的にイメージ(キャリアイメージ)し、目標を実現させるために必要となる資格取得などの計画を立て(キャリアプラン)、勤務先の力も借りて(キャリアパス)、必要なスキルや経験を積むことになります。はじめはぼんやりとしたイメージでも構いませんので、将来の自分を意識することから始めてみるとよいでしょう。
看護師のキャリアアップ方法
看護師がキャリアアップをめざす場合、「スペシャリスト」「ゼネラリスト」「管理職」という3つの選択肢からいずれかを選ぶのが一般的です。ここでは、それぞれのキャリアプランにはどのような違いがあり、どういった準備が必要かを解説していきます。自分自身にあてはめてみて、将来の自分を考えるうえでの参考にしてください。
特定の看護分野の専門家「スペシャリスト」をめざす
選択肢としてまず挙げられるのは、特定分野の専門性を極めたスペシャリストになることです。
看護師の場合は、特定の分野で行われる医療行為を深く理解し、その分野に応じたクオリティの高い看護を行う能力を求められます。興味・関心のある分野の知識を深めるのが好きな人や、特定の分野の専門性を深めたいと考えている人に向いているでしょう。代表的な例として認定看護師・専門看護師が挙げられます。
認定看護師
日本看護協会が認定する者のうち、特定の看護分野において深い知識と熟練した看護技術を持っている資格を有する者を認定看護師と言います。
19の認定分野(※)があり、資格を取得するためには、看護師資格を取得後、看護師として5年以上の実践経験を持ち、日本看護協会が定める約800時間以上の認定看護師教育と特定行為研修を修め、認定看護師認定審査に合格する必要があります。認定看護師は下記のような役割が期待されています。
- 個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する(実践)
- 看護実践を通して看護職に対し指導を行う(指導)
- 看護職等に対しコンサルテーションを行う(相談)
※出典:日本看護協会「認定看護師」
つまり認定看護師には、指導者としての役割も期待されているのです。もちろん専門分野の知識や技術を習得することで、より専門的で効果的なアプローチでの看護を行うことができるようになります。責任は増えますがそれだけにやりがいも大きく、自身のキャリアをさらに発展させることができるでしょう。
※認定看護師制度は2020年度から、特定行為研修を組み込んだ新制度(B課程)に移行し、従来(A課程)の21分野から19分野に再編されました。従来の認定教育は2026年度に終了し、認定審査は2029年度に終了します。
専門看護師
日本看護協会が認定する者のうち、患者やその家族などに対して質の高い看護ケアを行う専門資格を有する者を専門看護師と言います。
14の専門分野があり、資格を取得するには、看護師として5年以上の実践経験を持ち、看護系の大学院で修士課程を修了して必要な単位を取得した後に、専門看護師認定審査に合格する必要があります。日本看護協会によると、専門看護師は下記のような役割が期待されています。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)
※出典:日本看護協会「専門看護師」
専門看護師は、患者本人の看護だけでなく患者の家族や地域と連携してケアを行う仕事もできるようになります。地域の保健医療福祉といった様々な現場に活躍の場を広げることができる職種なのです。
幅広い知識と対応力「ゼネラリスト」をめざす
幅広い分野で活躍するゼネラリストをめざすのも選択肢の一つです。日本看護協会が定めるゼネラリストとは「経験と継続教育によって取得した暗黙知に基づき、その場に応じた知識・技術・能力が発揮できる者」を指します。幅広い看護分野において一定以上のレベルの看護をつねに提供できるので、現場でとても重宝される存在と言えます。
ゼネラリストをめざす場合、必要となる資格はありません。そのため、さまざまな医療現場でしっかりと経験を積み、より多くの患者と向き合う中で柔軟な対応力と判断力を磨いていくことが大切です。決められた診療科にとどまらず、さまざまな場所で医療に貢献したい看護師に適しているといえるでしょう。豊富な経験を有するゼネラリストは転職などでも自身の強みをアピールでき、キャリアアップしていくことが可能です。また、管理職をめざすためのファーストステップとして、ゼネラリストをめざす看護師も多くいます。
看護師の管理職「マネジメント」をめざす
看護師のキャリアアップとして、管理職をめざすという選択肢もあります。ここで言う管理職とは、一般的に看護部長・看護師長・看護主任が挙げられます。
それぞれの役割や業務内容は下記の通りです。
看護部長
病院全体の看護師を取りまとめ、看護部門の統括する責任者が看護部長です。副院長を兼任する例も多く、看護部の理念や目標に向けて必要なマネジメントを行うことが責務となります。具体的な業務内容は、看護部の業務計画や予算案策定、人材採用計画の策定などで、経営陣の一角として病院運営の重要な役割を果たしているといえるでしょう。したがって看護部長には、医療経済や財務、会計といった管理能力、問題分析能力、情報収集能力といった、経営能力とリーダーシップが求められます。
また、他職種との連携を図るのも看護部長の大切な役割です。医師や医療技術者、医療事務などと協力し、病院全体の医療チームとしての一体性を確保し、質の高い医療サービスの提供を実現します。
しかし、看護部長という職に就けるのはひとつの病院にひとりですから、とても狭き門と言えるでしょう。
看護師長
看護師長は、病棟や各診療科の看護師を統括する責任者です。いわば中間管理職のような立ち位置で看護部長のサポートを行い、他部署の管理職と連携を図って医療サービスの質の向上につとめます。
また、看護師の育成や医療事故の予防策の導入などのほか、勤怠管理や勤務表の作成といった管理業務にも携わります。業務の幅は看護主任よりも広がるため、経験だけでなくリーダーシップが必要とされるでしょう。担当部署の看護業務に決定権をもつため責任は大きいですが、看護主任の人柄やリーダーシップは看護現場の雰囲気にも大きく影響するので、とても重要な役割です。
看護主任
看護主任は、看護の現場において総合的にまとめる役割を担います。看護師と看護師長の橋渡し役となるため、コミュニケーション能力が高くリーダーシップ性を持つ看護師が選ばれます。看護主任は担当する病棟や診療科などで業務が円滑に行われるよう、看護師の業務管理やサポートを行います。
また、看護師長の補佐として業務にあたることもあり、病院によっては副看護師長と呼ばれることもあります。看護師と最も近い位置で相談ごとに乗ったり意見を取り入れつつ、一方では管理職の方針を伝え、双方の理解を促進する役割を担っているのです。
キャリアアップをするためにやるべきこと4つ
キャリアアップの方向性が理解出来たら、いよいよ具体的な準備を進めていくことになります。ここでは、キャリアアップするためにすべきことを具体的に示し、解説してきます。
1.情報を集める
キャリアアップを図るためには、まずキャリアプランを固めることが必要となります。まずは「求められる知識やスキル」「必要となる資格・経験」といった観点から、情報収集を進めていきましょう。
看護師の職場は多種多様で、近年は病院以外でもその知識やスキルを求められるようになりつつあります。仕事の幅が広がっているからこそ、情報収集はしっかりと行う必要があるのです。希望する職場・役割が現在と異なる場合には、実際にその場所を訪れて自分の目で確認してみると良いでしょう。将来の自分の姿をイメージしやすくなるはずです。まだ具体的なキャリアイメージが持てない人は、職場の仲間や上司、学生時代の友人などに相談してみることをお勧めします。客観的な意見を取り入れることで、ヒントが見つかることもあります。
また、キャリアアップに必須ではなくとも有利になる資格や求人などの情報は、積極的に集めておくと良いでしょう。自分にとって有利になる情報を収集することで、効果的にキャリアアップをめざすことができます。
2.明確な目標設定
キャリアイメージが固まり、キャリアアップに必要な情報がある程度収集できたら、目標に向けてキャリアプランを固めていきます。
キャリアプランを固めるために必要なことは、まず最終的な目標を設定し、そこに至るための必要なステップを洗い出すことです。
次にそれぞれのステップで必要とされる知識やスキル・資格を整理し、大雑把でも良いので各ステップの期間を決めましょう。例えば、「2年間は働いて資金を貯めつつ通信教育で学士(看護学)の称号を取り、次の2年で大学院の専門課程を修了し、専門看護師の試験突破をめざす」といったものです。
こうすることで進みたい未来に向けて取り組まなければならない課題が明確になるだけでなく、短期目標と中長期目標が定まります。
キャリアイメージがあいまいなまま、とりあえず転職に有利な資格取得などをめざしてしまうと、後々になってそれまでの学びが無駄になってしまうこともあります。このような遠回りをしないためにも、キャリアプランはしっかり立てておきましょう。
3.セミナーや研修参加など継続的に勉強をする
キャリアアップに必要な情報が見えてきたら、次のステップとして必要な知識やスキルを習得できるように学習を始めましょう。新しい知識や技術の習得はもちろんですが、基礎となる知識を学び直したり、知識を現場で実践することも大切です。e-ラーニングなどのサービスを活用すれば、通勤中などのスキマ時間を利用して、効率的に学び進めることができます。また、学習記録をポートフォリオとして残しておけば、いつでも学習段階を確認できるのでおすすめです。
研修やセミナーにも積極的に参加すると良いでしょう。外部のセミナーでは、その分野の著名な講師から直接指導を受けられるうえ、新しい人脈の広がりも期待できるため、良い刺激となるはずです。
また、独学では得られない経験や知識を得ることができ、キャリアプランの改善を図ることもできます。まだ明確なキャリアプランがないという場合でも、道が開けるきっかけになるかもしれません。
看護師向けのセミナーは各地で開催されています。看護学会などによる学術集会も定期的に開かれているため、興味のある分野は積極的に参加してキャリアアップの糧としましょう。
4.資格を取得する
看護師がキャリアプランを実現するためには、資格取得が必要となる場合があります。代表的なものは認定看護師や専門看護師ですが、ほかにもキャリアアップにつながる資格はあります。ここでは、キャリアアップに役立つさまざまな資格について解説していきます。
認定看護管理者
認定看護管理者は、「多様なヘルスケアニーズを持つ個人、家族及び地域住民に対して、質の高い組織的看護サービスを提供することをめざし、 看護管理者の資質と看護の水準の維持及び向上に寄与することにより、保健医療福祉に貢献」することを目的として、日本看護協会が認定する資格を指します。看護現場における管理職・マネジメントのエキスパートとして認められた証と言えるでしょう。
資格を取得するためには、5年以上の実務経験(うち通算3年以上は看護師長相当以上の看護管理の経験)に加えて、日本看護協会が定める「認定看護管理者教育課程サードレベルを修了」もしくは「看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位を取得」を受験資格の要件とし、認定看護師管理者審査に合格する必要があります。
ケアマネージャー
ケアマネージャーとは、介護や支援を必要とする人のニーズに応じたケアプランを作成したり、介護施設などとの橋渡しをする仕事です。
看護師の場合、看護師資格取得後5年以上(900日以上)の実務経験があれば誰でも受験することができます。資格を取得するには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格後、87時間以上の実務研修を修了する必要があります。
臨床心理士
臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする専門家として日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。
臨床心理士の受験資格を得るためには、指定の大学院または専門職大学院の修士課程を修了する必要があります。その後、試験に合格すれば資格を得ることができます。
認定心理士
認定心理士資格は、日本心理学会が認定する心理学の基礎資格で、心理学の標準的な基礎知識と基礎技術を修得していることを認定するものです。
職業に直結する資格ではありませんが、福祉や教育、医療など、幅広い分野で知識や技能を活かすことのできる資格です。
認定心理士の資格を得るためには、通学生の大学もしくは通信制の大学で所定の単位を修得し、日本心理学会へ資格認定の申請を行います。
保健師
保健師は、主に地域住民の保健指導や健康管理を行うための国家資格です。
保健師をめざすには、指定の保健師養成学校で1年以上学んだ後、保健師国家試験に合格する必要があります。看護師として勤務しながら保健師養成学校で学ぶことも可能です。
助産師
助産師は出産時の介助や新生児のケアをするための国家資格です。
資格を取得するためには、助産師専門教育機関や助産専門学校、助産過程のある四年制看護大学などで1〜2年間学んだ後、助産師国家試験に合格する必要があります。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者が日常生活で使用する道具などをより使いやすく、生活しやすい環境に整備するための提案を行うアドバイザーです。受験資格は特になく、筆記試験を受験し合格すれば資格を得ることができます。
看護師のキャリアアップで得られるメリット4つ
看護師としてキャリアアップを実現することで、さまざまなメリットがあります。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのかを取り上げ、解説していきます。
年収額に直結(収入UP)のチャンス
まずメリットとして挙げられるのは、収入アップが期待できるという点です。いわゆる「大卒資格」を得ていると転職時に有利に働くこともあるため、給与面などで条件の良い職場と出会える可能性も広がります。また、職場によっては資格を取得した看護師に対して資格手当が支給されることがあるため、通常の看護師として働くよりも高給与を得られる可能性があります。管理職になれば役職手当が付与されたり、ボーナスが手厚くなることもあるため、大幅な年収アップが期待できるでしょう。こうした収入面でのメリットも、キャリアアップの魅力です。
専門知識が増え、スキルアップに繋がる
自己学習や資格取得を通じて専門知識が増えれば、専門的な業務に携わることができるようになります。
担える業務が広がれば、現場で判断を任せられる場面も増えますし、スペシャリストとして人材の教育やサポートを任される場面も増えるでしょう。裁量が大きくなることで、自身の意見が職場環境に反映されやすくなります。
自分自身がステップアップを実感することで、よりやりがいを持って働けるようになるといえます。
昇進や転職などキャリアの選択肢が増える
さまざまな経験を積んだり、資格を得てキャリアアップしていけば、転職や再就職にも有利になります。
専門的なスキルを持っていることで現場でも重宝されるため、選考でも評価されやすく、より自分に合った職場を見つけやすくなります。
また、結婚や出産、育児などで一度現場を離れなければならない状況になったとしても、スキルや資格を保有していれば再就職にも役立ちます。
職場での信頼やリーダーシップの向上
専門の経験や資格を有する看護師は、同僚や職場からの信頼を得られるだけでなく、任せてもらえる仕事の幅が広がります。
自分の裁量で判断できる業務も増え、やりがいを感じながら仕事を進めることができるでしょう。
また、管理職となれば、後輩看護師の教育などといった責任のある仕事を受け持つことができますし、リーダーシップを発揮して活躍することができます。
キャリアプランの立て方
ここまで、キャリアアップに向けて知っておくべきことを解説してきましたが、ここからは一般的な看護師のキャリアの築き方や、キャリアプランの立て方を見ていきましょう。
1・2年目の看護師と、3年目以降の看護師に分けて紹介していきますので、自身のキャリアプラン作成の参考にしてみてください。
看護師1・2年目
看護師として1・2年目の時期は、まだまだ知識と実践が伴わない部分もあり、看護師と言う特殊な就労環境に体を慣らしている段階と言えます。
しかしただ経験を積むのではなく、基礎を固める期間だということをしっかりと認識することは、キャリア形成の上で大きな意味をもってきます。向学心を持って日々の仕事に向き合えば、得手不得手や興味のある分野など、自分自身の適性が自ずと見えてきます。将来進みたい方向性も見えてくるでしょう。
また、この時期には「新人研修」を受けることになります。厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」を参考に実施されるもので、基礎的な看護知識や実践能力を身につけることを目的としています。
基本的には新卒の看護師を対象としたもので、期間や内容は職場によって異なりますが、第二新卒の看護師も参加できることもあります。基礎固めが不十分だと感じている人は積極的に参加しましょう。
看護師3年目以降
職場環境にも慣れてきた3年目以降は、中堅看護師としてリーダーや教育担当を任せられる機会が増えてきます。
チームの中核として組織に貢献するなかで、自分自身の適性に向いたキャリアプランを決めて準備を進めていきましょう。進みたい道を早めに定めれば、それだけ早く準備を進めることができます。
自己学習などにも取り組み、計画的にキャリアの発展を図っていきましょう。
実務経験3年以上の看護師となれば「特定行為研修」を受講することができます。「特定行為」とは「従来は医師の判断に基づき実施してきた医療行為のうち38の診療補助」を指しています。
研修を修了して特定看護師となれば、医師の指示の下でしか行えなかった医療行為の一部について、医師の手順書があれば特定看護師の判断で行うことができるようになります。
この研修を利用してスキルアップやキャリアアップをめざすのも良いでしょう。
専門知識を学べる学校に通う
専門性を高める方法として、専門知識を学べる学校に通うというのもキャリアアップの近道です。
大学が開講している通信教育講座を活用すれば、看護師としての実務経験を積みながら、興味のある専門分野について、質の高い教育を受けることができます。
大学の通信教育講座のメリットは他にもあり、それは四年制大学卒業時に取得できる「学士」の学位を得られる可能性があるということです。
看護師としてのキャリアアップには、まず「学士」であることが条件になる場合がありますから、特に専門学校や短期大学を経て看護師となった人はキャリアアップに向けて、まず学位取得をめざすのも良いでしょう。
大手前大学 通信教育部で看護の専門知識を学ぶ
大手前大学 通信教育部では、看護師として働く方に向けてキャリアップにも活かせる看護学分野の専門科目を数多く開講しています。学歴に応じて、正科生3年次編入学、あるいは4年次編入学も可能なため、4年次編入学の場合、最短1年で「学士(学術)」の学位を取得可能。さらに看護専門学校や看護系短期大学(三年制)卒業者など、既定の条件を満たす方であれば、独自の「看護学プログラム」により、大手前大学卒業後に「学士(看護学)」の学位取得もめざすことができます(※)。「学士(看護学)」を取得するためには、卒業後に「大学改革支援・学位授与機構」にて学修成果レポートを提出するなどの手続きをする必要がありますが、本学が運営する「看護学コミュニティ」に入会した方であれば、学修成果レポート作成の指導が受けられるほか、学位取得をめざす仲間との交流を図ることもできます。
また、通信教育部では、「大学での学び方がわからない」「学問から長く離れていたため、学修方法を今一度振り返りたい」などと大学で学びたいすべての人のために、「アカデミックスキル」科目群を設置しています。履修計画の立て方やレポートの書き方、論理的思考法など、基礎をしっかりと身につけたうえで、他の科目を学修できます。
※大学改革支援・学位授与機構の定める基礎資格「第2区分」該当者を対象としています。詳しくは「大学改革支援・学位授与機構」Webサイト内より「新しい学士への途」をご確認ください。
さらに独自の「看護学プログラム」を活用すれば、大手前大学を卒業後に「学士(看護学)」の学位取得をめざすこともできます。
また、「学士(看護学)」取得に向けて、看護学コミュニティを運営しています。
大手前大学 通信教育部で開講している専門科目
社会のグローバル化に対応した看護師をめざすための「国際看護学」や、高齢化社会でニーズが高まる「家族看護学」、災害医療や災害看護を学び防災・減災対策をめざす「災害看護学」など、時代や社会の変化に対応した専門科目を開講しています。
国際看護学
グローバル化が進む世界の保健医療の実態と多様性について学ぶ。
看護と東洋の知恵
漢方医学を中心とした授業で、東洋の医学における看護の役割について理解を深めます。
多文化社会と医療
国内外の事例などから実践的な知識を学び、多文化社会での医療を考えます。
看護と人間の生涯発達
看護職者として、対象者の発達段階をふまえ、“生涯発達”の視点で多角的·長期的な思考力を養います。
歯科保健と看護
口腔保健の基礎や、ライフステージごとの歯科保健と口腔ケアの知識を学び、看護ケアにおける実践力を養います。
看護栄養学
ライフステージごとの健康増進と生活習慣病や疾病の重症化を予防する食支援を学び、看護ケアにおいて実践できることをめざします。
性(セクシュアリティ)と看護
Sexual and Reproductive Health/Rights(SRHR)について理解し、多様な人間理解に基づいた看護実践をめざします。
家族看護学
家族看護の基本的な考え方と家族看護理論、家族看護過程について体系的に学びます。
災害看護学
災害医療·災害看護の実践、備えの必要性を理解し、各自で防災·減災対策の備えができることをめざします。
看護イノベーション学
多様化する社会の健康課題について看護業界のイノベーターからさまざまな実践を学びます。
人間関係の小児看護論
家庭や医療、教育など、こどもと関わるさまざまな分野において、看護職として今、どのようなケアが必要なのか考えます。
美容医療と看護
基本的概念や歴史、変遷を学び、美の多様性について考察するなど、新しい美容医療とその看護における価値の創造をめざします。
大手前大学 通信教育部で学ぶメリット
大手前大学 通信教育部は授業も試験も、オンラインで完結しているため、通学なしで卒業することができます。
学修計画も年4回変更できるので、異動などがあってもムリなく学びを継続することができます。
また、学歴に応じた多様な入学区分があるのも特長です。専任教員と専任アドバイザーが学修をサポートしており、学修面の疑問点だけでなく、学修計画の相談などにも対応いたします。
その後のキャリア展開
大手前大学 通信教育部では、ストレスの多い現代社会において心の問題への注目が高まるなか、心理の専門家をめざすための基礎資格として人気が高い認定心理士の資格取得が可能。認定心理士の資格は看護業務にも役立つため、キャリアアップ目的で受講される方も多数在籍しています。
また、2024年4月から制度の始まった国家資格「登録日本語教員」の資格取得もめざせる日本語教員養成課程の修了をめざすこともでき、キャリアアップに向けた新たな選択肢を得ることができます。「学士(看護)」の学位を取得すれば、認定看護師や専門看護師、認定看護管理者などの資格取得に向けた道も開けます。
なお、大卒資格だけを目的するのであれば、必修科目がないため、看護学はもちろん、ビジネスやマネジメント、日本語教育など全170科目の中からそれぞれが関心のある科目を組み合わせて卒業もめざせます。