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日本語教師の国家資格「登録日本語教員」とは?資格の取り方や仕事内容を解説
※2024年10月30日現在の内容です
2024年4月、日本語教師としては初めての国家資格「登録日本語教員」が誕生しました。同時に、日本語教育機関を文部科学大臣が認定するという制度が生まれ、この「認定日本語教育機関」では「登録日本語教員」でなければ日本語教師として働くことはできません。もちろん、「認定日本語教育機関」以外の日本語教育機関では、国家資格は必要ありませんが、今後、日本語教師をめざすのであれば、国家資格の取得を視野に入れることをおすすめします。
ここでは、「登録日本語教員」とはどういった資格なのか、また、「登録日本語教員」の資格取得の方法について詳しく解説します。
2024年4月に誕生した国家資格「登録日本語教員」とは
「登録日本語教員」とは、ひと言で言うと「日本語教師」の「国家資格の名称」です。
「登録日本語教員」が誕生した経緯を説明すると、まず、2023年5月26日に「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(日本語教育機関認定法)」が国会で成立しました。この法律が、2024年4月から施行されたことで、国家資格の「登録日本語教員」が誕生したというわけです。
「日本語教育機関認定法」は、「日本に住んでいる外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与することを目的」とする法律です。
主なポイントは、下記の3点です。
- 日本語教育機関(日本語教育課程を行う教育機関)のうち、一定の要件を満たすものは文部科学大臣が認定する「認定日本語教育機関」と表示が可能。
- 「認定日本語教育機関」で日本語教育を行うためには「登録日本語教員」の資格が必須である。
- 「登録実践研修機関」か「登録日本語教員養成機関」の両方、または「登録日本語教員養成機関」を文部科学省に届出することにより、「登録日本語教員」の実践研修や養成課程を実施できる。(つまり、登録日本語教員資格取得のための教育機関ルートの対象になれるということ)。
なお、1の「日本語教育機関」とは、すでに日本において就労ビザ・永住ビザなどを持っていて在留資格を持つ外国人に対して、日本語を教える教育機関のことです。「日本語教育機関認定法」の施行後は、在留資格「留学」による生徒の受け入れができるのは「認定日本語教育機関」のみとなりました。また、3の「登録実践研修機関」と「登録日本語教員養成機関」は、「登録日本語教員」の資格取得に関わる学校を指します。
これまで、日本語教師になるには「大学または大学院にて日本語教育に関する教育課程を修了」「日本語教育能力検定試験に合格」「420時間日本語教師養成講座を修了」のいずれかに該当することが必須条件とされてきましたが、今後は「認定日本語教育機関」で働く場合は、国家資格である「登録日本語教員」を持っていることが必須となります。
将来的なキャリアを考えれば、国家資格の取得を視野に入れておいたがほうがよいでしょう。
※参照:『日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律』(e-Gov法令検索・https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000041)
『日本語教育機関認定法 よくある質問集』(文部科学省ホームページ・https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93967502_01.pdf)
国家資格になって何が変わった?
「登録日本語教員」は日本語教師になるための国家資格ですが、日本語教師になるためには必ずしも国家資格が必要というわけではありません。国家資格は、国が認める認定日本語教育機関で働くためには必要ですが、プライベートレッスンやボランティア、海外就労など、認定日本語教育機関以外で日本語を教えるためには必要ありません。
認定日本語教育機関とは、留学の在留資格を持つ外国人を受け入れられる日本語学校のことで、現行の法務省告示校がそれに該当します。つまり、「日本語教師」の一部に、「登録日本語教員」という資格を取得した日本語教師がいるということです。
ここでは、認定日本語教育機関で働くことを目的に「登録日本語教員」資格を取得しようとする人に、これまでの日本語教師になるための条件や方法と、どこがどう違うのかについて解説します。
大卒(学士)資格が不要になった
これまで、日本語教師になるためには、「大学または大学院にて日本語教育に関する教育課程を修了」や「420時間日本語教師養成講座を修了+大卒(学士)資格」という条件がありましたが、「登録日本語教員」の受験資格では学歴が撤廃されました。最終学歴が中卒や高卒、専門学校卒、短大卒でも資格取得が可能になりました。
ただし、「日本語教師になるには?民間資格・国家資格の取り方や仕事内容を解説」の「4.登録日本語教員資格の取得」でも解説したように、資格取得のために選ぶルートによっては、養成機関に通う必要があるうえ、「日本語教員試験」と「実践研修」は必須要件となっています。つまり、以前より資格取得のための要件が増えたと言えるでしょう。
また、大学卒業(学士)の資格が必要なルートもあるので、注意しましょう。
国籍・母語を問わない
「登録日本語教員」は、国籍・母語に関係なく、誰でも受験が可能になりました。
そのため日本人だけでなく外国人でも「日本語教員試験」に合格し「実践研修」を受ければ「登録日本語教員」になれるようになりました。近年、外国人の日本語教師の育成が始まっています。今後は、外国人の日本語教師がさらに増えるものと予想されます。
実践研修の受講が必須
登録日本語教員資格を取得するためには、すべての人が登録実践研修機関による「実践研修」の受講が必須となっています。実践研修は、大学での専攻や「420時間コース」などの養成講座を受けた人は免除されます。
なお、すでに日本語教師の資格を取得している人は経過措置C~Fに該当し、実践研修は免除されます。
「登録日本語教員」資格を取得するには?
これから日本語教師をめざす人は、「登録日本語教員」の資格を取得するためのルートが基本的に2つあります。下の図のように、ひとつは養成機関に通うルート、もうひとつは独学で試験を受けるルートです。
養成機関に通うルートは、筆記試験(日本語教員試験)の基礎試験が免除となり、応用試験と実践研修のみで登録日本語教員の資格を取得できます。なお、通う養成機関が登録実践研修機関もかねている場合は、実践研修も養成課程と一緒に実施されるので、実質的に免除となります。つまり、養成機関に通うルートは2種類あります。
試験を受けるルートは、養成機関に通わずに筆記試験(日本語教員試験)を受験する方法です。基礎試験の合格後に応用試験に合格し、さらに登録実践研修機関で実践研修を履修する必要があります。
さらに、すでに日本語教師の資格を取得して、日本語教師として働いている方には「経過措置C~Fルート」が用意されています。これらの経過措置は期間が定められており、Cルートが令和6年4月1日~令和15年3月31日まで、D~Fルートは令和6年4月1日~令和11年3月31日までとそれぞれ期間が違うので注意が必要です。
それでは、以上の3パターンのルートについて、詳しく見てみましょう。
基本ルート1:養成機関に通う
前述の通り、養成機関に通うルートには、2種類あります。
ひとつは、「登録実践研修機関」と「登録日本語教員養成機関」の登録を受けた機関で課程を修了する方法です、このルートでは、実践研修は養成機関の課程に含まれるので、基礎試験は免除されます。つまり、課程を修了後は、応用試験に合格すれば日本語教員資格を得られます。
もうひとつのルートは、「登録実践研修機関」の登録を受けておらず「登録日本語教員養成機関」の登録を受けた機関で課程を修了する場合のルートです。この場合、基礎試験は免除されますが、応用試験に合格したうえで、登録実践研修機関で実務研修を受講し、修了すると登録日本語教員になれます。
基本ルート2:独学で勉強して試験を受ける
養成機関に通わず、独学で基礎試験と応用試験を受験する方法です。
「日本語教員試験」の基礎試験と応用試験に合格した後、登録実践研修機関での実践研修を修了すると登録日本教員の資格を取得できます。
※日本語教員試験について詳しくは以下の記事をご確認ください。
基本ルート3:経過措置Cルート
「必須の教育内容50項目」の実施に対応する日本語教員養成機関で課程を修了する方法です。
このルートで登録日本語教員の資格を取るためには、学士以上の資格が必要です。
「日本語教員試験」の基礎試験と実践研修は免除となるので、日本語教員養成機関で課程を修了後、応用試験に合格すれば、登録日本語教員になれます。
このルートに対応している機関は、文部科学省「必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程等」で公開されています。
なお、大手前大学は、通学・通信教育課程ともに、上記の経過措置適用の対象となっています。
ただし、この経過措置は令和6年4月1日~令和15年3月31日までの期間限定となっています。
※大手前大学通信教育部について詳しくは以下の記事をご確認ください。
現職者の方は経過措置D~Fルート
すでに日本語教師として仕事をしている現職者は、D(D1、D2)、E(E1、E2)、Fの5種類の経過措置が適用されます。ただし、これらの経過措置は令和6年4月1日~令和11年3月31日までの期間限定です。
これらの経過措置が適用される現職者の定義は、「平成31年4月1日(法施行5年前)~令和11年3月31日(法施行5年後)の間に法務省告示機関、大学、認定日本語教育機関、文部科学大臣が指定する機関で日本語教員として1年以上勤務した者」とされています。
そのため、特定の期間の間に、特定の機関において日本語教員として勤務していない方は現職者には含まれません。
また、法務省告示機関とは、日本語の学習を主な目的として来日し滞在する外国人を対象として日本語教育を行う機関のうち、留学生に対して在留資格「留学」を付与することができる機関のことです。法務省告示機関は法務省によって定められた機関です。告示された日本語教育機関等(令和6年4月26日現在)において、法務省告示機関は公表されています。
一方、認定日本語教育機関とは、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(令和5年法律第41号)が令和6年4月1日に施行されたことにより、日本語教育課程を適正かつ確実に実施できる機関であるとして文部科学大臣から認定を受けた日本語教育機関です。この認定日本語教育機関は、令和6年秋頃に公表の予定です。
上記の前提を踏まえ、5種類の経過措置ルートについて下の表にまとめました。次に、それぞれのルートについて詳しく解説します。
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区分 | 対象者 | 要件の概要 | 必要な試験・研修 | 免除される試験・研修 |
---|---|---|---|---|
C | 現職者に限らず必須の50項目に対応した課程修了者 | 必須の50項目を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 |
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D-1 | 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者① | Cの養成課程等以外で、5区分の教育内容を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 |
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D-2 | 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者② | CとD-1に該当しないものの、現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 |
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E-1 | 現職者のうち民間試験に合格した者① | 昭和62年4月1日~平成15年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 |
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E-2 | 現職者のうち民間試験に合格した者② | 平成15年4月1日~令和6年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 | 講習Ⅱ講習修了認定試験 |
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F | 上記以外の現職者 | 上記に該当しない現職者 |
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参照:「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」(文部科学省ホームページ・https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93964001_03.pdf)
経過措置D-1ルート
経過措置D-1ルートが適用されるのは、①現職者であること、②「平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等」として文部科学省の確認を受けた日本語教員養成課程等を修了していること、③学士、修士、または博士の学位を有することの計3点を満している人です。
D-1ルートの適用を受けられる人は、日本語教員試験の基礎試験と、実践研修が免除されます。ただし、基礎試験の免除を受ける場合には、文部科学省が実施する講習のうち、講習Ⅱを受講して修了する必要があります。
経過措置D-2ルート
経過措置D-2ルートが適用されるのは、①現職者であること、②現行告示基準教員要件に該当する日本語教員養成課程等を修了していること、③学士、修士、または博士の学位を有することの計3点を満たしている人です。
D-2ルートの適用を受けられる人は、日本語教員試験の基礎試験と、実践研修が免除されます。ただし、基礎試験の免除を受けるためには、文部科学省が実施する講習のうち、講習Ⅰ及び講習Ⅱを受講し、修了する必要があります。
経過措置E-1ルート
経過措置E-1ルートが適用されるのは、①現職者であること、②公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験(昭和62年4月1日から平成15年3月31日の間に実施されたもの)に合格したことの計2点を満たす人です。
経過措置E-1ルートの適用を受けられる人は、日本語教員試験の基礎試験と応用試験、実践研修が免除されます。ただし、日本語教員試験の免除を受ける場合、文部科学省が実施する講習のうち、講習Ⅰ及び講習Ⅱを受講し、修了する必要があります。
また、基礎試験と応用試験は免除されますが、登録日本語教員になるためには、日本語教員試験に出願したうえで、経過措置の対象であることの確認を受けたのち、試験の合格証書を入手する必要があるので注意しましょう。出願には手数料が必要です。
経過措置E-2ルート
経過措置E-2ルートの適用が受けられるのは、①現職者であること、②公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験(平成15年4月1日から令和6年3月31日の間に実施されたもの)に合格したことの2点を満たす人です。
経過措置E-2ルートの適用を受けられる人は、日本語教員試験の基礎試験と応用試験、実践研修が免除されます。ただし、日本語教員試験の免除を受けるためには、文部科学省が実施する講習のうち、講習Ⅱを受講し、修了する必要があります。
また、基礎試験と応用試験は免除されますが、日本語教員試験に出願し、経過措置の対象であることの確認を受けて合格証書を入手する必要があります。出願には手数料が必要です。
経過措置Fルート
経過措置Fルートは、経過措置C、D、Eルートのいずれにも該当しない、現職者に適用されるルートです。Fルートが適用される人は、基礎試験、応用試験を受験し合格しなければなりませんが、実践研修は免除されます。
日本語教員試験とは
登録日本語教員になるためには、「日本語教員試験」の基礎試験と応用試験を通過しなければいけないことは、ここまで説明してきた通りです。
ここでは、登録日本語教員になるために必要な「日本語教員試験」の概要を解説します。
令和6年度から、新たに実施されることになった日本語教員試験は、日本語教育を行うために必要な知識と技能を有するかどうかを判定するために行われます。この試験に合格し、かつ実践研修を修了した人は、試験の実施主体である文部科学大臣の登録を受けることができます。
「令和6年度日本語教員試験要項」によれば、受験資格は、年齢、学歴、国籍等の条件は不問であり、誰でも受験できます。出題範囲は、「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の養成課程コアカリキュラムにおける必須の教育内容から出題されます。
受験料は、基礎試験と応用試験を受ける場合は18,900円。試験免除を受ける場合は、基礎試験免除の場合が17,300円(免除資格の確認と応用試験の受験料)、基礎試験・応用試験免除の場合が5,900円(免除資格の確認手数料)です。
出願方法は、日本語教員試験システムによるオンライン出願です。
上記の内容を下の表にまとめました。
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趣旨 | 登録日本語教員として文部科学大臣の登録を受けるために合格することが必要な試験であり、日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するために行われる |
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受験資格 | 年齢、学歴、国籍等の条件は不問 |
出題範囲 | 「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の養成課程コアカリキュラムにおける必須の教育内容から出題 |
出願方法 | 日本語教員試験システムによりオンラインで出願 |
受験料等 |
(1)基礎試験免除免除資格の確認及び応用試験受験料 17,300円 |
参照:『令和6年度日本語教員試験実施要項』(文部科学省ホームページ・https://www.mext.go.jp/content/20240524-mxt_nihongo02-000036014_1.pdf)
『令和6年度日本語教員試験の概要』(文部科学省ホームページ・https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_00004.html)
基礎試験の概要
基礎試験とは、日本語教師として日本語教育を行うために必要とされる基礎的な知識・技能を有するかどうかを判定する試験です。
出題範囲は、「令和6年度日本語教員試験実施要項」によれば、登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」(令和6年3月18日中央教育審議会生涯学習分科会日本語教育部会決定)の養成課程コアカリキュラムにおける必須の教育内容から出題する、とされています。
つまり、養成課程で学ぶ必須の50項目から出題されるということです。「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5つの区分ごとに問題が出されます。
試験時間は120分、出題数は100問で、出題形式は選択式です。配点は1問1点で計100点となります。
現時点では、まだ本試験が行われていないため、難易度は不明ですが、「令和6年度日本語教員試験実施要項」によれば、基礎試験の合格基準は「必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があること」とされています。
応用試験の概要
応用試験とは、基礎的な知識・技能を活用した問題解決能力を判定する試験です。区分を横断して出題され、一部は学習者と教師とのやりとりなどの音声を用いるなどして、教育実践に即した問題により、問題解決能力や現場対応能力などが判定されます。
試験時間は、音声による出題(50問)と文章問題(60問)が各50分。出題形式は選択式で、配点は1問1点、計110点です。
基礎試験と同様、現時点では難易度は不明ですが、「令和6年度日本語教員試験実施要項」によれば、応用試験の合格基準は「総合得点で6割の得点があること」とされています。
また、基礎試験、応用試験ともに、年度ごとの難易差等により合格基準の調整を行うことがあるとされています。
日本語教員試験と日本語教育能力検定試験の違い
登録日本語教員になるための「日本語教員試験」について、ここまで解説してきましたが、ここでは「日本語教育能力検定試験」との違いについて解説します。
まず、1番目の違いは、「日本語教員試験」は、2024年4月に誕生した国家資格「登録日本語教員」になるために必要な試験であり、一方の「日本語教育能力検定試験」は、2024年4月以前から日本語教師の資格として認められていた民間試験であるということです。
「日本語教員試験」に合格して「登録日本語教員」になると、留学生を正式に受け入れることができる「認定日本語教育機関」で教えられることが、2番目の大きな違いです。
一方、「日本語教育能力検定試験」は、文部科学省(当時の文部省)の要請により、日本語教師の資質の向上を主たる目的に、昭和62年度に創設された検定試験です。以降、公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)が年1回実施しており、日本語教育に携わるために必要とされる、基礎的な知識・能力を検定することを目的しています。
このように、ふたつの試験はまったく別の試験として扱われていますが、2024年3月31日までに「日本語教育能力検定試験」に合格した人で、登録日本語教員になろうという人は、前述の「日本語教員試験」の経過措置E-1、またはE-2ルートの対象となります。
※日本語教育能力検定試験について詳しくは以下の記事をご確認ください。
令和6年度日本語教員試験
令和6年度に行われる、第1回目となる「日本語教員試験」の概要は下の表のとおりです。2024年7月現在での情報ですので、一部変更となる場合もあります。
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試験日 | 令和6年11月17日(日曜日) |
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出願期間 | 令和6年8月1日(木曜日)~9月6日(金曜日) |
受験料等 |
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試験会場 | 北海道:北海道札幌市東北:宮城県仙台市関東:東京都23区内中部:愛知県名古屋市近畿:大阪府堺市中四国:広島県広島市九州:福岡県福岡市沖縄:沖縄県宜野湾市 |
結果通知 | 令和6年12月20日(金曜日)予定 |
※上記は予定であり、都合により一部変更になる可能性があります。
参照:『令和6年度日本語教員試験の概要』(文部科学省ホームページ・https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_00004.html)
大手前大学通信教育部で日本語教師(登録日本語教員)をめざす
大手前大学通信教育部は、「登録日本語教員資格の取得」で説明した「経過措置適用対象」となっている大学なので、「経過措置Cルート」で登録日本語教員をめざすことができます。
また、大手前大学は文部科学大臣の登録を受けた「実践研修と養成課程を一体的に実施する機関」をめざしています※1。
大手前大学で登録日本語教員をめざすメリットは、大学卒業資格も取得できることで、日本語教師としての活躍のフィールドが広がること、日本語教員養成課程のカリキュラムに加えて、170科目から興味ある科目を学べるので、日本語教師になってから役立つ教養・知識が習得できること、さらには、教育実習以外は24時間対応のオンライン学修で修了できることなどです。
※1文部科学省における審査の結果、予定した実践研修(又は養成課程)が開設できない可能性があります。
※大手前大学通信教育部について詳しくは以下の記事をご確認ください。
海外移住への第一歩として資格取得をめざしたHさん
日本語教員の資格を取得。
新たなキャリアのスタートに期待を膨らませています。
将来ベトナムに移住し民宿を経営したいと考えています。その実現のための第一歩として日本語教員の資格取得を決意。また就労ビザ取得のためには学士号が必要なので、日本語教員と学士号の両方をめざせる大手前大学を選びました。同時期に転職と進学が重なったのですが、オンライン受講が中心なので仕事と両立できると判断。動画授業の倍速視聴や科目試験のオンライン受験など、思っていた以上の学びやすさがあり、挫折することなく継続して勉強できたことは大きな自信になりました。日本語教育実習では、5日間みっちりと実践的な指導経験を積むことができました。特にティーチャートークといって、日本語学習初級者が理解しやすいような話し方や言葉選びを訓練できたことが良かったです。授業づくりも経験し、バックパッカーでの体験を取り入れた内容には生徒から「おもしろかった」と感想がもらえ、初めて教える喜びを噛み締めることができました。卒業後、日本語学校に内定をもらえたので、新たなキャリアのスタートに期待を膨らませています。
大卒資格とのW資格取得を目標に入学したTさんのケース
日本語教員としてのキャリアアップをめざし、専門的に学べる通信制大学へ。
非常勤講師として日本語教員のキャリアをスタートさせるも、制度の見直しにより国内外で活躍するには大卒資格が欠かせないことを知りました。卒業率の高さなどに注目して大学を検討していたときに、先輩講師から「日本語教育に特化した大学ある」と紹介されたのが大手前大学でした。スクーリング科目を履修することなく、オンラインでの学修だけで卒業できることも入学の決め手になりました。印象的だったのは、先生方の指導方法でした。話し方や間のとり方、教材など学修意欲を高めるための様々な工夫があり、一方的に教わるのではなく、学生が能動的に考え、理解が深まる授業でした。自分が体験した学修を通して発見した学ぶ楽しさを日本語教員の指導にぜひ活かしたいと思います。
仕事や家事と両立して卒業したWさんのケース
“学びたい、知りたい”と思ったら行動する!
大手前の学びが生涯学習の基盤になりました。
ドイツ人の夫と生活をしていると、「気を付けてね」の「ね」ってどういう意味といった、日本語に関する質問をよく受けます。私自身も答えに詰まることが多く、自分で調べていくうちに、日本語教育に興味を持ちました。大手前大学を選んだ理由は、自分のライフスタイルに合わせて学修できるeラーニングや、専攻に関係なく興味がある分野を学ぶことのできる履修制度に魅力を感じたからです。実際に履修してみると、教科の達成度がパーセンテージで表示されるため状況を把握しやすく、仕事や家事と両立しながらでも学修計画通りに進めることができました。また、日本語教育能力検定試験対策ができる科目もあり、無事に合格することができました。行き詰まることもありましたが、熱心な指導と細やかなサポートのおかげで卒業時には優等賞を受賞することができました。”知りたい”という気持ちと、好奇心を大切にして、一生涯、学び続けたいと思います。将来は、日本語や食文化を通して日本の魅力を伝えていきたいです。