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登録日本語教員の経過措置とは?適用期間や講習内容まで解説
新しい国家資格「登録日本語教員」の取得をめざすにあたり、ご自身の状況が新制度にどう当てはまるのかがわからず、不安を感じている方もいるかもしれません。
「これから日本語教師をめざしたい」「養成講座を修了したけれど、今のままで登録できる?」「日本語教師として働いているけれど、これまでの資格や経験は活かせる?」など、一人ひとりの状況によって、抱える疑問はさまざまです。
本記事では、新制度の要となる「経過措置」について、その概要から各自に応じた講習・試験、そして出願手続きまでをわかりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたがどのルートに該当し、どんな準備をすればいいのかが明確になります。あなたのこれまでの学びや経験を活かして、自信をもって新しい資格へと歩みを進めるためのロードマップが見えてくるはずです。
登録日本語教員の経過措置とは
「経過措置」とは、法律の改正や制定、廃止の際、新たな制度へとスムーズに移行するための特別な措置のことをいいます。新制度の周知や、順応を図るための措置であり、旧制度から段階的に移行して、関係者の混乱を防ぐことを目的としています。
日本語教員の場合、経過措置が設けられたのは、2023年5月に「日本語教育機関認定法」が成立(2024年4月施行)したことがきっかけです。それまで民間資格のみだった日本語教員に、国家資格「登録日本語教員」が加わるとなると、資格取得の要件や試験内容が大きく変わってしまいます。また、採用条件を変える職場もでてききます。そこで、すでに日本語教育に携わっている現職者の方々も安心して新制度に順応できるように、特別な準備期間が設けられました。
そのため、法務省告示機関をはじめとする日本語教育機関で指導にあたっている現職の日本語教師が、スムーズに国家資格を取得できるように配慮されています。この期間中に必要な手続きを行うことで、これまでの経験や取得した資格を活かし、「登録日本語教員」の国家資格を取得することができます。
経過措置の適用期間
次に、経過措置の適用期間について解説します。この期間は、どのルートで資格取得をめざすかによって異なります。
まず、経過措置Cルートは、現職者に限らず、現在就学中の方やこれから資格取得に向けた学習を始める方も対象となります。対象となるのは、必須50項目に対応する課程を修了していることが条件で、2033年3月31日まで適用されます。この期間が他のルートよりも長く設定されているのは、大学などの教育機関が新しい制度に対応し、登録機関となるまでには時間と準備が必要だからです。期間に余裕を持たせることで、登録日本語教員の国家資格取得をめざしてすでに在学している方や、これから新しい課程での学習を始める方が、不利益を被ることがないよう配慮されています。
一方、現在日本語教育機関で指導にあたっている現職者が対象となる経過措置D(D-1、D-2)・E(E-1、E-2)・Fルートの適用期間は、2029年3月31日までです。この期間内に、必要な手続きや試験の受験を完了させる必要があるので、注意しましょう。
また、経過措置D~Fルートは、修了した養成課程の内容や、日本語教育能力検定試験に合格した時期などによりルートが分けられています。ご自身の状況に合わせて、どのルートが適用され、いつまでに手続きを終えるべきかを確認することが重要です。
経過措置期間における「現職者」とは
文化庁が定める「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」によると、経過措置期間における「現職者」とは、2019年4月1日(法施行5年前)から2029年3月31日(法施行5年後)までの間に、国内の日本語教育機関で1年以上日本語教員として勤務した方を指します。
ここでいう日本語教育機関には、法務省告示機関(※1)で告示を受けた課程、大学、認定日本語教育機関(※2)で認定を受けた課程、文部科学大臣が指定した日本語教育機関などが含まれます。短期大学での勤務も対象となり、また、教育を受ける留学生の日本語能力のレベルは問われません。
さらに、無報酬の場合でも、在職証明書などで日本語教育課程を担当したことを証明できれば、この要件を満たすと考えられています。
ただし、注意が必要な点もあります。国外の大学での勤務経験は対象外となります。また、国内であっても、小学校・中学校・高等学校・高等専門学校などでの経験は要件の対象外です。
ご自身の勤務経験が「現職者」の定義に当てはまるか、上記の情報を参考に確認してみてください。
※1 日本語の学習を主な目的として来日し滞在する外国人を対象として日本語教育を行う機関のなかで、留学生に対して在留資格「留学」を付与することができる機関。告示された日本語教育機関等は下記で公表されている
※参照『告示された日本語教育機関等(令和7年8月12日現在)』
(出入国在留管理庁ホームページ)https://www.moj.go.jp/isa/content/930006074.pdf
※2 日本語教育課程を適正かつ確実に実施できる機関であるとして文部科学大臣から認定を受けた日本語教育機関。認定日本語教育機関は下記で公表されている
※参照『認定日本語教育機関案内』
(文部科学省ホームページ)https://www.nihongokyouiku.mext.go.jp/top/guide-japanese-language-institution
※参照:『登録日本語教員の資格取得に係る経過措置』
(文化庁ホームページ)https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93964001_03.pdf
『日本語教育機関認定法 よくある質問集【令和7年6月6日公開版】』
(文部科学省ホームページ)https://www.mext.go.jp/content/20240402-ope_dev02-000034833_1.pdf
6つの経過措置ルート
国家資格「登録日本語教員」を取得するには、これまでの学習や経験によって、6つの「経過措置ルート」が用意されています。この複数のルートは、これまでの学びを活かして、スムーズに新制度へと移行できるように配慮されたものです。
ご自身の状況に合わせて、どの経過措置ルートを選択できるか確認しておきましょう。ただし、6つのルートのうち、C、D(D-1、D-2)ルートは大学卒業以上の資格が必須要件となるため注意が必要です。
各ルートの概要は以下の通りです。ご自身の状況がどのルートに当てはまるか、次の図でご確認ください。
文化庁「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」
| ルート | 対象者 | 経過措置期間 |
|---|---|---|
| Cルート | 現職者に限らず、必須の50項目に対応した養成課程を修了し、学士以上の学位を有する方 | 2024年4月1日~2033年3月31日 |
| D-1ルート | 現職者のうち平成12年報告に対応した日本語教員養成課程を修了し、学士以上の学位を有する方 | 2024年4月1日~2029年3月31日 |
| D-2ルート | 現職者のうち、C,D-1ルートに該当しないものの、現行告示基準に該当する養成課程を修了し、学士以上の学位を有する方 | |
| E-1ルート | 現職者のうち1987(昭和62)年4月1日~2003(平成15)年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験に合格した方 | |
| E-2ルート | 現職者のうち2003(平成15)年4月1日~2024(令和6)年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験に合格した方 | |
| Fルート | 上記に該当しない現職者 |
※参照『登録日本語教員の資格取得に係る経過措置』
(文化庁ホームページ)https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93964001_03.pdf
経過措置Cルート
「必須の教育内容50項目」に対応した日本語教員養成機関を修了し、学士(大卒)以上の資格を持った方が対象となるルートです。このルートの対象者は「日本語教員試験」の基礎試験と実践研修が免除され、応用試験に合格すれば登録日本語教員の資格を取得することができます。
Cルートは、制度変更前に在学していた学生などの救済ルートでもあるため、たとえ日本語教員としての実務経験がなくても登録日本語教員をめざすことができます。講習を受ける必要がなく基礎試験や実践試験も免除されるため、他の経過措置ルートと比較して資格取得のハードルが比較的低いと言えるでしょう。
注意:学士(大卒)以上の資格を持たない場合は、このルートの対象外となります。
経過措置D-1ルート
現職者のうち、「平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等」として文部科学省の確認を受けた日本語教員養成課程等(※1)を修了し、学士(大卒)以上の資格を持った方が対象となるルートです。文部科学省が実施する「講習Ⅱ」を修了すれば「日本語教員試験」の基礎試験と実践研修が免除され、さらに応用試験に合格すれば登録日本語教員になることができます。
(※1)※参照『平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等』
(文化庁ホームページ)https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/94027001_04.pdf
注意:学士(大卒)以上の資格を持たない場合は、このルートの対象外となります。
経過措置D-2ルート
現職者のうち、CルートとD-1ルートには該当しないものの、日本語教員養成課程を修了し、学士(大卒)以上の資格を持った方が対象となるルートです。まずは自分がD-1ルートに該当するかを確認してみるとよいでしょう。文部科学省が実施する講習Ⅰ、Ⅱを修了すれば「日本語教員試験」の基礎試験と実践研修が免除され、応用試験とに合格すれば、登録日本語教員になることができます。
注意:学士(大卒)以上の資格を持たない場合は、このルートの対象外となります。
経過措置E-1ルート
現職者のうち、1987年4月1日から2003年3月31日までに実施された日本語教育能力検定試験に合格した方が対象となるルートです。文部科学省が実施する講習Ⅰ、Ⅱを修了すれば「日本語教員試験」がすべて免除され、登録日本語教員になることができます。
注意:登録日本語教員になるためには日本語教員試験に出願したうえで、経過措置の対象であることの確認を受け、試験の合格証書を入手する必要があります。
経過措置E-2ルート
現職者のうち、2003年4月1日から2024年3月31日までに実施された日本語教育能力検定試験に合格した方が対象となるルートです。日本語教育能力検定試験の受験時期により、E-1ルートと区分けされるため、注意が必要です。文部科学省が実施する講習Ⅱを修了すれば「日本語教員試験」がすべて免除され、登録日本語教員になることができます。
注意:登録日本語教員になるためには日本語教員試験に出願したうえで、経過措置の対象であることの確認を受け、試験の合格証書を入手する必要があります。
経過措置Fルート
経過措置C、D(D-1、D-2)、E(E-1、E-2)ルートのいずれにも該当しない、現職者に適用されるルートです。このルートでは実践研修は免除となり、基礎試験と応用試験に合格すれば、登録日本語教員になることができます。
経過措置における経験者講習
経過措置ルートのうち、D(D-1、D-2)、E(E-1、E-2)の各ルートに該当する方は「経験者講習」を受ける必要があります。この講習は、新しい制度で日本語教員に求められる知識やスキルを補完するために設けられました。
経験者講習では、これまでの日本語教員の養成課程にはなかった教育内容を中心に学びます。具体的には、2000年以降の審議会報告で新たに必要とされた、現職の日本語教員にとって習得が不可欠と考えられる知識についてです。
「日本語教員試験」をこれらの経過措置ルートで受験する場合、出願時点で講習の修了が必須となります。他の出願書類と合わせて、修了証の提出が必要になるため、計画的に受講を進めることが重要です。
この講習は、現職日本語教師を対象にオンデマンド形式で実施されており、経過措置ルートや勤務経験の有無にかかわらず、誰でもいつでも申し込み、受講、修了が可能です。毎月20日には受講状況が確認され、修了条件を満たした方には「修了証」が発行されます。
※参照『登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習 よくある質問』
(文部科学省ホームページ)https://www.mext.go.jp/content/250825-mxt_nihongo01-000037574_23.pdf
講習Ⅰの内容
経験者講習のうち、「講習Ⅰ」では、平成12年報告(※1)により追加された「社会・文化・地域」と「言語と心理」に関する知識を学びます。90分×5コマのオンデマンド講習では各コマで確認テスト(10問)が実施され、全10問の講習修了認定試験があります。いずれも正答率70%以上で合格となります。また、全13問のコースレビュー(アンケート)も行われます。
講習Ⅰで学ぶ教育内容は以下の通りです。
1コマ目
日本語教育総論ⅠA
-世界と日本の社会と文化
-言語政策
-世界と日本の日本語教育事情
2コマ目
日本語教育総論ⅠB
-多文化共生
-日本語の試験
3コマ目
日本語学習論A
-談話理解
-言語学習
4コマ目
日本語学習論B
-習得課程
-学習ストラテジー
5コマ目
日本語学習論C
-異文化受容・適応
-日本語の学習・教育の情意的側面
※1 日本語教育のための教員養成について(平成12年3月30日)日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議。
講習Ⅱの内容
「講習Ⅱ」では、平成31年度審議会報告(※2)で追加された内容と、近年の情勢の変化が大きい内容を中心に習得します。90分×10コマのオンデマンド講習では各コマで確認テスト(10問)が実施され、全20問の修了認定試験があります。いずれも正答率70%以上で合格となります。また、全13問のコースレビュー(アンケート)も行われます。
講習Ⅱで学ぶ教育内容は以下の通りです。
1コマ目
日本語教育総論ⅡA
-日本語教師の資質・能力
-目的対象別日本語教育法
2コマ目
日本語教育総論ⅡB
-教育実習
-授業分析・自己点検能力
3コマ目
日本語教育総論ⅡC
-在留外国人施策
-日本語教育史
-言語政策
4コマ目
日本語授業論A
-日本語教育プログラムの理解と実践
5コマ目
日本語授業論B
-コースデザイン
-教材分析・作成・開発
6コマ目
日本語授業論C
-評価法
7コマ目
日本語授業論D
-日本語教育とICT
8コマ目
日本語授業論E
-著作権
9コマ目
異文化コミュニケーション総論
-異文化コミュニケーション
-コミュニケーション教育
10コマ目
異文化間教育総論
-異文化間教育
-多文化・多言語主義
※2 日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版(平成31年3月4日)文化審議会国語分科会。
講習の費用と実施期間
経験者講習は、2029年3月31日までの経過措置期間中のみ実施されます。受講する講習は、ご自身の経過措置ルートによって異なります。
経過措置ルートD-1またはE-2に該当する方は、講習Ⅱのみを受講します。費用は17,600円です。
経過措置ルートD-2またはE-1に該当する方は、講習Ⅰおよび講習Ⅱの両方を受講します。費用は26,400円です。
なお、受講料として支払われる収入印紙は、いかなる場合も返還されないためご注意ください。
登録までの流れ
この項では、これまで解説した内容を踏まえ、実際に「登録日本語教員」の資格を取得するまでの全体的な流れを整理して、わかりやすく説明します。
まず、資格取得までの4つのステップについて解説します。
ルート判定
まずは、ご自身の学歴や日本語教育の実務経験、保有資格などを確認し、自分が6つの経過措置ルート(C~F)のどれに該当するかを正確に判断します。
必要な講習の受講
経過措置D(D-1、D-2)、E(E-1、E-2)ルートに該当する方は、ルートに応じて必要な経験者講習(講習Ⅰ・Ⅱ)を受講します。これらの講習はオンラインで随時申し込みが可能です。日本語教員試験を受ける前に必ず修了しておく必要があります。
日本語教員試験の受験
経過措置ルートC、D(D-1、D-2)に該当する方は、「日本語教員試験」の受験が必要です。このルートの場合、基礎試験と実践研修が免除され、応用試験は例年秋頃に実施されます。
2025年度試験日程
試験日:2025年11月2日(日)
願書受付:2025年7月14日(月)~8月22日(金)
結果通知:2025年12月12日(金)
特に、講習の受講が必要となる経過措置D(D-1、D-2)ルートの方は、出願時に講習の修了証を提出する必要があるため、計画的に準備を進めましょう。
日本語教員登録申請
上記の要件を満たした後、文部科学省が提供するポータルサイトで登録申請を行います。全体の流れは以下の通りです。
- ポータルサイト内で申請用アカウントを作成
- 申請情報の入力、必要書類のアップロード
- 手数料(収入印紙)の支払い準備
- 必要書類の郵送
- 文部科学省による審査
- 結果の通知・登録証の交付
【ルート別】登録に必要な書類と費用
ここではルート別に、必要な書類や費用について詳しく解説します。登録日本語教員になるためには、各ルートに応じて必要な書類や費用が異なります。ご自身のルートに合わせて、何が必要かを確認しましょう。
まず、ルートごとに必要となる書類と費用は、次の表の通りです。
Cルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和15年3月31日まで |
|
なし | 基礎試験・実践研修 | 応用試験 17,300円 |
D-1ルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和11年3月31日まで |
|
講習Ⅱ | 基礎試験・実践研修 | 応用試験 17,300円
講習Ⅱ 17,600円 合計 34,900円 |
D-2ルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和11年3月31日まで |
|
講習Ⅰ・Ⅱ | 基礎試験・実践研修 | 応用試験 17,300円
講習Ⅰ・Ⅱ 26,400円 合計 43,700円 |
E-1ルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和11年3月31日まで |
|
講習Ⅰ・Ⅱ | 基礎試験・応用試験・実践研修 | 講習Ⅰ・Ⅱ 26,400円 |
E-2ルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和11年3月31日まで |
|
講習Ⅱ | 基礎試験・応用試験・実践研修 | 講習Ⅱ 17,600円 |
Fルート
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| 適用期間 | 日本語教員試験出願時に必要な書類 | 必要な講習 | 免除される試験・研修 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 令和11年3月31日まで |
|
なし | 実践研修 | 基礎試験+応用試験 18,900円 |
また、日本語教員として登録を申請する際に、すべてのルートに共通して必要となる書類と費用もあります。
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| ・戸籍謄本若しくは抄本、又は本籍地(外国籍の場合は国籍等)記載の住民票の写し | ・登録申請日の6か月前以降に発行されたものに限る。 ・住民票の写しは本籍地(外国籍の場合は国籍等)が記載されており、かつマイナンバーが記載されていないもの。 ・登録証に通称の併記を希望する場合は、通称が併記された住民票を提出。 ・外国籍で中長期在留者等でなく住民票の対象でない方は、旅券の写しを提出。 |
| ・日本語教員試験合格証書(PDF) | 日本語教員試験に合格すると交付される。 |
| ・申請・届出書 | ポータルサイトにおいて、氏名、生年月日、本籍地都道府県等の情報を入力することで、出力・印刷できる。 |
| ・収入印紙 4,400円(登録手数料) | 申請・届出書に貼付。 |
よくある質問
ここでは、「日本語教育機関認定法」に関して皆さんが抱きやすい疑問について、文部科学省が公表している「日本語教育機関認定法 よくある質問集」から3つをピックアップし、Q&A形式で解説します。
現職者の要件である「1年以上日本語教育課程を担当した経験」とは、どの程度の勤務実績が必要ですか?
平均して週1回以上の授業を担当していた場合が該当します。複数の機関での経験を合計して1年以上となる場合でも、この要件を満たすことが可能です。
ただし、主任教員として日本語教育課程の編成や管理を主たる業務としていた場合は、平均して週1回以上授業を担当していなかった場合でも、経験に含めることができます。この場合、雇用主からの在職証明書による証明が必要です。
現職者の要件である「文部科学大臣が指定した日本語教育機関」とは何ですか?
法務省告示機関や大学以外で、過去に留学生を受け入れていた機関のことです。文部科学大臣が指定する日本語教育機関の詳細は、文部科学省のウェブサイトで確認できます。
※参照『経過措置に関する日本語教育機関の指定について』
(文部科学省ホームページ)https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_03222.html
自分が卒業した養成課程等が、経過措置のどのルートにあたるのかはどこで確認できますか?
経過措置CルートおよびD-1ルートの対象となる養成課程等は、文部科学省がウェブサイトで公表しています。以下のリンクから確認可能です。
※参照『登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認結果』
(文部科学省ホームページ)https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/94220301_01.pdf
なお、上記以外の養成課程等を修了し、告示基準の教員要件を満たす現職教員の方は、D-2ルートの対象となります。
まとめ 大手前大学で登録日本語教員をめざそう
これまで、新しい国家資格「登録日本語教員」への移行に伴う「経過措置」について解説してきました。ここでは、経過措置ルートや対象者、必要な講習、試験、申請書類など、制度の全体像をもう一度整理して、お伝えします。
経過措置制度の要点
目的
2024年4月に新制度がスタートする前から日本語教育に携わっていた方が、スムーズに国家資格へと移行できるように設けられた、時限的な特例措置です。これまでの努力や実績を活かして、新しい制度に適合できるよう配慮された制度と言えます。
対象者とメリット
対象となる方は、主に以下の2つの条件に該当する方に分けられます。
-
- 一定の日本語教員としての経験がある方
2019年4月1日から2029年3月31日までの間に、国内の日本語教育機関で1年以上日本語教員として勤務した方が該当します。これらの経験がある方は、新制度で必須となる日本語教員試験の一部が免除されるといったメリットがあります。
- 一定の日本語教員としての経験がある方
-
- 一定の学習経験がある方
旧制度下で「日本語教育能力検定試験に合格した方」や「420時間以上の日本語教師養成講座を修了した方」などが該当します。これらの学習経験がある方は、日本語教員試験の基礎試験が免除されるといったメリットがあります。
- 一定の学習経験がある方
タイムリミットに注意
この「経過措置制度」は、あくまで新制度への移行を円滑にするための時限的な特例措置です。そのため、各ルートには適用期間が定められています。
具体的には、現職者を対象とするD(D-1、D-2)ルート、E(E-1、E-2)ルート、Fルートの適用期間は2029年3月31日までです。また、必須の50項目に対応した新しい養成課程の修了者が対象となるCルートは2033年3月31日までとなっています。
この期限を過ぎてしまうと、これまでの経験や取得資格に応じた特例措置(講習や試験の一部免除など)は利用できなくなります。その場合、国家資格「登録日本語教員」を取得するためには、新制度の要件をすべて満たさなければなりません。
「新制度の要件をすべて満たす」とは、以下のいずれかの方法で資格を取得することを指します。
「養成機関ルート」:文部科学大臣が登録した日本語教員養成機関で、所定の教育課程(学士以上の学位と、日本語教育に関する科目24単位以上など)を修了し、応用試験に合格した上で、実践研修を修了すること。
「試験ルート」:日本語教員試験の「基礎試験」と「応用試験」の両方に合格し、実践研修を修了すること。
経過措置の期限が迫ると、駆け込みでの対応で混乱が生じる可能性もあります。ご自身のルートの適用期間を正確に把握し、ゆとりをもって、国家資格取得に向けた準備を進めましょう。
6つのルートまとめ
経過措置ルートごとの対象者、必要な講習・試験・申請書類について、下の表にまとめました。どのルートに該当するかによって、必要な手続きや試験の有無が異なるので、いま一度、確認しておきましょう。
| ルート | 対象者 | 要件の概要 | 日本語教員試験の出願時に必要な書類 | 必要な試験・講習 |
|---|---|---|---|---|
| C | 現職者に限らず必須の50項目に対応した課程修了者 | 必須の50項目を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 | ・必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程修了証明書(写し) ・学士・修士・博士いずれかの学位証明書(写し) |
応用試験 |
| D-1 | 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者① | Cの養成課程等以外で、5区分の教育内容を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 | ・平成12年報告に対応した日本語教員養成課程修了証明書(写し) ・学士・修士・博士いずれかの学位証明書(写し) ・講習Ⅱ修了証(写し) |
講習Ⅱ・講習修了認定試験 応用試験 |
| D-2 | 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者② | CとD-1に該当しないものの、現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 | ・法務省告示基準教員要件に該当する日本語教員養成課程修了証明書(写し) ・学士・修士・博士いずれかの学位証明書(写し) ・講習Ⅰ・Ⅱ修了証(写し) ・日本語教育機関の在職証明書(写し) |
講習Ⅰ・講習修了認定試験 講習Ⅱ・講習修了認定試験 応用試験 |
| E-1 | 現職者のうち民間試験に合格した者① | 昭和62年4月1日~平成15年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 | ・日本語教育能力検定試験合格証書(昭和62年度~平成14年度)(写し) ・講習Ⅰ・Ⅱ修了証(写し) ・日本語教育機関の在職証明書(写し) |
講習Ⅰ・講習修了認定試験 講習Ⅱ・講習修了認定試験 |
| E-2 | 現職者のうち民間試験に合格した者② | 平成15年4月1日~令和6年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 | ・日本語教育能力検定試験合格証書(平成15年度~令和5年度)(写し) ・講習Ⅱ修了証(写し) ・日本語教育機関の在職証明書(写し) |
講習Ⅱ・講習修了認定試験 |
| F | 上記以外の現職者 | 上記に該当しない現職者 | ・日本語教育機関の在職証明書(写し) | 基礎試験 応用試験 |
※参照『登録日本語教員の資格取得に係る経過措置』
(文化庁ホームページ)https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93964001_03.pdf
『【令和7年11月公開版】登録日本語教員の登録申請の手引き』
(文部科学省ホームページ)https://www.mext.go.jp/content/20251107-mxt_nihongo01-000034832_21.pdf
大学卒業資格が必要なルートも
経過措置ルートの中でもCルート、D(D-1、D-2)ルートは大学卒業以上の学士号が必須となる点です。日本語教員養成課程を修了している方や現職者の方でも、大卒資格がない場合はこれらのルートの対象外となってしまいます。そのため、早めに自分のルートを確認し、計画的に行動することが非常に重要です。
これから日本語教員をめざす方や、キャリアアップを考えている方にとって、学位を取得することは、選択肢を広げ、将来の安定したキャリアを築く上で非常に大きな意味を持ちます。
大手前大学通信教育部で学び直す
「日本語教員」の国家資格取得と、大学卒業の学士号取得。この二つを同時にめざせるのが、大手前大学通信教育部です。働きながら学びたい方や、これまでの経験を活かして効率的に学び直したい方にとって、最適な選択肢となります。
大手前大学は、通信制大学で初めて「登録日本語教員養成機関」と「登録実践研修機関」が一体化した「登録日本語教員養成・実践研修課程」として文部科学大臣の登録を受けました。そのため、教育実習を含む実践的な学びまで、必要な学修のすべてを大学内で完結することができます。また、本学の日本語教員養成カリキュラムは、経過措置とは異なる「養成機関ルート」であるため、経過措置期間を気にせず、自身のペースで学びを深め、資格取得をめざすことができます。
また、大手前大学の大きな特長として、日本語教育に関する科目は、教育実習を除きすべてオンラインで履修でき、日本語教育以外の興味のある科目と自由に組み合わせて学ぶことで、大学卒業もめざせます。
オンライン学修を軸としているため、場所や時間を選ばず、全国どこからでも自分のペースで学修を進められます。仕事や家事と無理なく両立しながら、将来のキャリアに直結する専門知識を身につけ、応用試験への対策もできる柔軟な学びやすさを実現しています。
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受講生インタビュー
日本語教師 合田 由記さん
授業の準備は大変だけど
とても楽しく、やりがいのある仕事
大手前大学では、日本語教師として必要なスキルを一通り身につけることができたと感じます。教育実習や他の方の模擬授業を見学できたことも貴重な経験でした。また、日本語教育だけでなく、コミュニケーションや心理学を学んだことで、先生方とのチームワークや学生との接し方、クラス運営にも役立っています。
授業では学生から学ぶことも多く、自分自身の成長にもつながっています。日本語教師の仕事は、準備をしっかり行えばとても楽しく、やりがいのある仕事です。入学当初は単語しか話せなかった学生が、卒業時には流暢に話せるようになる姿を見ると、大きな喜びを感じます。特に印象的だったのは、卒業の際に学生たちがサプライズで日本の歌を歌ってくれたことです。とても感動し、日本語が持つ力と美しさを改めて実感しました。