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看護師が大学院に進学するメリットとデメリット!働きながら通うための制度や進学ルートを解説
いま、看護師として働いている方の中には、「このまま同じ職場で働き続けていていいのだろうか」「もっと活躍することができるのではないか」と考えたことがある人も多いのではないでしょうか。そうした背景もあり、近年では、看護師として働きながら大学で学びなおしたり、更なるキャリアアップをめざして大学院へ進学したりする方が増えています。
でも、「働きながら学ぶのは大変そう」「専門性の高い学びについていけるか心配」と不安を感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、働きながら学ぶための制度や進学ルートについて解説していきます。
看護系大学院では何を学ぶ?修士課程と博士課程の違い
大学院とは、「大学卒業後に進み、研究を通して専門分野を深める場所」です。そのなかでも看護系の大学院は、大学での学びのみならず、実社会での臨床経験を基盤として、より高度な学識や能力を育成します。「看護とは何か」という根本的な問いをはじめ、「より人に寄り添い、役に立つ看護」を科学的に探究し、実践・研究・教育・管理などの能力を高める場として活用されています。
大学院にはさまざまな課程がありますが、多くの大学院では「前期(修士課程)」「後期(博士課程)」の2区分制を採用しており、どちらの課程も所定の要件を修了すれば学位を取得することができます。
看護師の場合は、専門看護師へのステップとして修士課程のみの修了をめざす人が多く、博士課程に進む人はそれほど多くはありません。しかし、研究職や教職をめざしたいのであれば、博士課程を選択肢に入れておくとよいでしょう。本記事では、主に修士課程について解説していきますが、まずはそれぞれの課程について、整理しておきましょう。
修士課程
標準修業年限は2年。指導教員の助言を受けながら、実習やゼミ、論文作成などを通じて専門知識と研究の基礎を身につけます。修了すると「修士」の学位を取得できます。
博士課程
標準修業年限は3年(一貫制大学院は5年)。修士課程で培った基礎の上に、自立した研究者として独創的な研究に取り組み、論文として発表します。修了すると「博士」の学位を取得できます。
大まかには「修士課程=専門知識と研究の基礎を固める段階」、「博士課程=研究者として自立した研究を行う段階」と理解しておくとよいでしょう。こうした区分は、文部科学省が定める大学院設置基準に基づくものであり、看護系大学院に限りません。ただし、一般的な大学院との違いとして、看護系の修士課程は、さまざまな専門職へのステップとなっているということが挙げられます。例えば「高度実践看護師(専門看護師・診療看護師)」をめざす場合、一定期間の実務経験、修士課程で所定の単位を修得、修士課程の修了などが受験の要件となります。また、大学院によっては、保健師・助産師などの受験資格を得るための課程を用意している場合もあります。つまり、看護系大学院は「研究者への入り口」であると同時に「臨床の現場における高度実践者を育てる場」でもあるわけです。
看護系大学院で学ぶことによって、具体的にどのようなキャリアが拓けるのかについては、次項で詳しく説明していきます。
看護師の大学院進学がキャリアの選択肢を広げる理由
看護師のキャリアアップは、まず准看護師から正看護師という段階があります。正看護師になると、これまでは主任→師長→看護部長といった具合に病棟内の役職を上げ、マネジメント職に進むという方法が一般的でした。しかし近年では、「もっと違う形で看護を極めたい」「看護師としての能力を高めることでキャリアアップしたい」と考え、模索する看護師が増えています。こうしたニーズに応えるのが看護系大学院です。大学院では看護を科学的に追求するなかで、看護師としての知識・能力・技術を磨くことができます。また、専門看護師や診療看護師といった臨床のスペシャリストをはじめ、助産師、保健師、教員や研究者、医療系企業の開発職など、さまざまなキャリアへの選択肢を広げることができます。
近年では、看護師として働きながら通学したいというニーズに応え、夜間開講やオンライン受講が可能な大学院が増えています。かつては退職して通学するのが一般的でしたが、多様な通学形態が選択でき、チャレンジしやすい環境が整っていることも、その流れを後押ししている要因でしょう。
大学院への入学には、原則として学士の学位などが必要です。ただし、大学院によっては、個別の入学資格審査によって大学卒業者と同等以上の学力があると認められた場合、専門学校や短大の卒業者なども受験できる場合があります。「自分には難しいのではないか」と不安を覚える方もいるでしょうが、看護師として働きながら条件を満たす方法についても、記事の後半で詳しく解説していきます。
看護師が大学院へ進学するメリット
看護師として大学院へ進学するということは、単に資格を取得するということ以上に大きな意味を持ちます。看護そのものへの深い考察が得られることで看護師としての働き方が変わるのはもちろん、その後の人生をも変える契機となるでしょう。ここでは、看護師が大学院へ進学することで得られるメリットを、キャリアや収入面から解説していきます。
専門看護師や診療看護師の受験資格が得られる
大学院に進学することによるメリットの一つめは、専門看護師や診療看護師をめざせるということです。看護師としての実務経験などの要件を満たし、大学院で所定の単位を修得したうえで修士課程を修了すれば、受験資格を得ることができます。
専門看護師は、14ある専門看護分野のいずれかにおいて、卓越した看護実践能力を有すると認められた看護師に与えられる資格です。また特に、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つの役割を果たし、施設全体や地域の看護の質の向上に努めることを求められています。
診療看護師は、患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師を指します。一般の看護師の業務範囲に加えて、厚生労働省が定める21区分38行為を行うことができ、医師のサポート役としての働きが可能となります。
どちらの資格も一般の看護師よりも活動できる領域が広がるため、誰からも頼られるスペシャリストとして、今まで以上に活躍することができます。
※参照:「専門看護師」(公益社団法人日本看護協会ホームページ・https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/101.pdf)
※参照:「診療看護師(NP)とは」(日本NP教育大学院協議会ホームページ・https://www.jonpf.jp/)
大学教員や研究職など病院以外のキャリアも生まれる
看護職を離れさまざまな職業へと進む新たなキャリアの可能性が拓けるのも大学院に進学するメリットです。
その一つ目は教員として教育機関に進むルート。看護師として一定期間の臨床経験があり、大学院で修士号を取得していれば看護系大学で助教や助手として働ける場合があります。助教として働きながら博士課程に進み、さらに研究で業績を上げれば講師や准教授、教授へとステップアップしていくことも可能となります。
二つ目は研究機関の研究者となるルートです。このルートでは、大学や国立、民間の研究機関に所属し、特定の病気やケアに関する研究プロジェクトに参加します。看護学そのものの発展や医療の質の向上にも貢献することができます。
三つ目は一般企業に就職するルートです。例えば製薬会社が新薬の治験を実施する際に、適正に実施されているかを監視する「臨床開発モニター」や、製薬会社と医療機関などとの間で調整を行う「治験コーディネーター」など。看護師としての経験と研究によって得られた知識で、社会に貢献することができます。
資格手当や基本給のアップが期待できる
日本看護協会の「2024 年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書」によれば、看護3年課程卒の新卒看護師の初任給の基本給月額(税込給与総額)は、全国平均で27万4,840円です。これに対して、看護系大学大学院卒(修士)の新卒看護師の初任給の基本給月額(税込給与総額)は、全国平均28万7,936円となっています。このように、調査では学歴によって差が見られます。また近年では、管理職になるための条件として修士号の取得を求められる職場もあるため、キャリアアップに有利に働く場合があります。
また、大学院を修了後に専門看護師などの資格を取得することで、資格手当なども期待できます。日本看護協会が2022年に実施した調査によると、専門看護師に対して資格手当を実施すると回答している医療機関は34.1%で、「毎月支払われる」場合の平均支給額は、11,279円となっています。
ただし、給与額は地域によって差があります。また、資格手当の代わりに昇給や昇進などの待遇を用意している機関もあります。実際にどの程度の収入アップが見込めるかについては、所属している機関で確認してみるとよいでしょう。
※参照:『2024 年度 看護職員の賃金に関する実態調査』(日本看護協会ホームページ・https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/report/2022/cn_a_asntre_report.pdf)
※参照:『2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査』(日本看護協会ホームページ・https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/report/2022/cn_a_asntre_report.pdf)
臨床の違和感を解消する論理的思考が身につく
専門学校や短大、大学で学べるのは看護の基礎部分になるため、実際に臨床の現場に出ると、「本当にこのやり方でよいのか?」と感じることもあります。大学院で看護の研究を深めることで、一つひとつの行動の意味やエビデンスを深く理解できるようになり、より効果的な働きができるようになります。また、疑問を感じる事柄に対して科学的にアプローチし、自らの力で解決する力を身につけることができます。
なんとなくの経験や慣習、勘などではなく、客観的なデータや科学的根拠に基づいた行動・提案が行えるようになり、誰に対しても「説得力のある説明ができる看護師」として活躍できるようになります。
志を同じくする学外の同志と出会える
異なる現場経験を持つ仲間と出会い、縁を結べることも、大きなメリットと言えます。志を同じくする仲間と切磋琢磨できる環境は、学修のモチベーションを維持するうえでも大きな力となります。また、ゼミなどでは教員はもとより、博士や修士の先輩からも研究や卒業後のキャリア、現場での課題について相談することもできます。大学院での出会いは、まさに生涯にわたってあなたを支えてくれる財産となるでしょう。
大学院へ進学するデメリット
看護師が大学院へ進むことにはデメリットもあります。後々になって苦労したり、大学院を修了する前に諦めなければならなくなったりすることのないように、デメリットについてもあらかじめ理解しておくことが必要です。ここでは、どのようなデメリットがあるのかを解説していきます。
学費等の経済的な負担が大きい
大学院へ進学するにあたって、まず気になるのが費用面です。国立大学院の標準額では、修士課程2年間の学費は入学料を含めて約135万円です。私立大学院は学校によって差があるため志望校への確認が必要ですが、2年間で200~300万円ほどかかると言われています。さらに在学中には参考書なども必要になりますし、学会参加費などの自己負担が発生する場合もあります。また、大学院修了後に専門看護師や診療看護師の資格を取得する場合、認定審査にかかる費用(審査料や認定料など)も必要です。あらかじめ余裕を持った資金計画を立てておくようにしましょう。
ただし、学費に関しては大学院が独自に設けている奨学金制度をはじめ、都道府県や各種団体の助成金制度を利用することができます。場合によっては負担額を大幅に減らすことができるため、こうした情報もしっかりと事前に調べておくとよいでしょう。
仕事と研究の両立による負荷がかかる
通信制の大学院や夜間開講の大学院であっても、看護師として働きながら大学院に通うのは大きな負担となります。講義や臨床現場での実習に加えて研究を進める必要があるため、時間的な制約が大きく、十分な休息がとれなくなる可能性もあります。基本的に2年間という限られた期間ではありますが、課題や修士論文の執筆に追われ、睡眠・休息の不足による心身の負担が大きくなるということは覚悟しておく必要があります。
こうした負担を少しでも軽減するために、進学前には職場や家族とよく相談しておくとよいでしょう。勤務時間の調整や、家事・育児の分担など、周囲にサポートしてもらえる環境を作っておくことも、大切な事前準備となります。
臨床現場から一時的に離れることへのブランクの不安
大学院へ進学する場合、研究や実習に集中するために退職や一時休職を選択する看護師は少なくありません。その際に気がかりとなるのが臨床現場から離れブランクが空いてしまうことへの不安です。第一線から離れることで「臨床スキルが低下してしまうのではないか」「復職しても最新の医療技術についていけなくなるのではないか」と考える人は多いでしょう。
退職や一時休職を選択しようと考えている人は、学会や研究会などに参加して最新の医療情報や看護技術に触れる機会を増やすことをおすすめします。もちろん負担は増えますが、日ごろから情報収集を心がけておけば、大学院修了後もスムーズに臨床現場に復帰することができます。
働きながら看護系大学院に通うための公的制度
前の章では仕事と研究の両立の厳しさや金銭的な負担などについて触れてきましたが、そうした状況を改善するために、国や大学などではさまざまな制度を整備し、社会人看護師が学びやすい環境作りに積極的に取り組んでいます。
働きながら大学院へ進学する看護師にとって特に関心が高いのは、時間的な負担を軽減する制度や、金銭的な負担を減らす制度でしょう。この章では、具体的にどのような制度が整備されているのか解説していきます。
修業年限を延長できる長期履修制度
大学院に進むにあたって「働きながら、きっちりと2年間で修了できるか心配」という方も多いでしょう。仕事や家庭の事情により、どうしても学業を進められない時期が発生することもあります。そうした不安を抱える人には「長期履修制度」が用意されています。長期履修制度とは、通常2年間の修士課程を3~4年に延長できる制度。大学院によって異なりますが、延長しても支払う学費の総額は2年分の学費とほぼ同額としている大学院も数多くあります。2年分の学費や履修課程を3~4年に分割できるため、経済面でも体力面でも負担を軽減できるのがメリット。利用者からは「この制度のおかげで進学のハードルが下がった」という声も聞かれます。
平日の夜や土日に学べる昼夜開講制度
社会人学生を支えるため、昼夜開講制を導入している大学院も多くあります。昼夜開講制とは昼間だけでなく、夜間や土曜日などにも授業が行われるもので、学生は都合に合わせて昼と夜の授業を組み合わせて受講することができます。大学院によっては、昼間主コースと夜間主コースに分かれていることもあります。また、通信制の大学院であればさらに柔軟な学修スケジュールを立てることも可能です。ただし、実習などの科目はどうしても時間的な制約が発生します。事前にしっかりと調整しておくとよいでしょう。こうした多様な授業形態は文部科学省が定める「大学設置基準」に基づくもので、社会人が学びやすくなるように、大学院ごとにさまざまな環境・制度が整えられています。
国から学費の補助が出る教育訓練給付金
「教育訓練給付金」とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給されるものです。対象となる教育訓練は「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があり、それぞれ給付率が異なります。進みたい大学院がこの制度の対象講座として指定されていれば、制度を利用して給付金を受けることができます。金銭的な負担を大幅に軽減できるため、働きながら進学を考えている方にとっては必見の制度と言えるでしょう。
ただし、3種類ある教育訓練のうち、いずれの対象講座となっているかは、大学院や専攻によって異なり、そもそも対象となっていない大学院もあります。制度を利用したいと考えている人は、事前によく調べておきましょう。教育訓練給付金の対象として厚生労働大臣の指定を受けている講座は、「教育訓練講座検索システム」で検索することができます。
※参照:『教育訓練給付金』(厚生労働省ホームページ・https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html)
大学院進学が向いている人と向いていない人
看護師がキャリアアップをめざす方法として、大学院へ進学するのは王道であり、確実な方法です。ですが、経済面でも体力面でも負担は大きく、すべての看護師にとっての正解ではありません。この章では、大学院進学に向いている人と向いていない人について解説していきます。
向いている人
看護系大学院への進学が向いているのは、以下のような例に当てはまる人です。
- 現行の看護ケアの在り方に疑問を感じている人
- エビデンスに基づいた看護を指導したい人
- 専門看護師や教員、研究職など、将来の具体的な目標がある人
看護についてどのような研究がしたいのか、また修了後のキャリアをどのように形成したいのか。そうしたビジョンを明確に持てる人にとっては、大学院での学びや研究は大きな価値を持ちます。学修計画を立てやすく、目標に向かっている実感があるためモチベーションを保ちやすくなります。ただし、時間・体力面での負担は大きくなりますので、そうした状況でも最後までやり遂げる意欲がある人は、進学に向いていると言えるでしょう。
向いていない人
看護系大学院への進学が向いていないのは、以下のような例に当てはまる人です。
- 手っ取り早く今すぐ給料を上げたい人
- 臨床の技術(手技)だけを極めたい人
- なんとなく将来が不安だという人
給料を増やすのであれば夜勤を増やしたり転職したりする方法もありますし、臨床の技術だけを極めたいのであれば、認定看護師をめざすという方法もあります。知識を深めたい分野がない人や具体的なキャリアイメージを持てない人は、まず自分自身が将来どのようになりたいのかを考えてみるとよいでしょう。目標がなければ学修計画を立てることも、体系的な知識・技術を身につけることも難しくなります。また、モチベーションを保ちにくく、途中で挫折する可能性も高まってしまいます。まずは大学卒業資格の取得をめざすなど、取り組みやすいところから始めるのも手段の一つです。
看護師が大学院をめざすルート
看護師が大学院へと進学する場合、最終学歴や取得免許などの状況によってルートが異なります。
准看護師の人は、まず正看護師となる必要となります。正看護師になるには看護師養成所を経て看護師資格を得るための国家試験を受けなければなりません。なお、中卒で准看護師となった人の場合、看護師学校養成所に入所する条件として3年以上の実務経験が求められます。看護師免許を得て看護師となった後は、大学へ進んで学位を取得後、大学院へ入学という流れになります。
次に高校を卒業後に専門学校や短期大学を経て看護師資格を取得した人の場合です。現役の看護師の多くがこのルートで看護師資格を取得していると言われますが、専門学校や短期大学を卒業して看護師となった人が大学院に進む場合、大学卒業時に取得できる「学士」の取得が最初のハードルとなります。「学士」がないからという理由で大学院への進学を諦めてしまっている人も多いでしょう。しかし、いま大卒資格を所持していないからといって、大学院への道が完全に閉ざされているわけではありません。ここでは、看護師として働きながら大学院に進むための2つの方法を紹介していきます。
大学院個別の入学資格審査を受ける
大学院の入学資格については、「学校教育法」で明確に定められています。これによれば、例えば「外国において所定の課程を修了した者」や「指定された専修学校の専門課程を修了した者」は大学院の入学資格を有すると判断されます。
※参照:「修士課程・博士課程(前期)の入学資格について」(文部科学省ホームページ・https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/101.pdf)
また、大学院では個別に入学資格を設けており、審査や試験に合格すれば大学院への出願が許される場合があります。大学院によって条件は異なりますが、例えば「学士相当の学力があると判断できる」ことを要件とするものです。「学士相当の学力」とは、具体的には「全国または都道府県レベルの学会での発表経験」や「学会誌などへの論文掲載」などの実績が例として挙げられます。こう見るとハードルが高いように見えますが、大学院によっては「看護職として一定以上の実務経験」と「小論文・書類選考」に合格すれば大学院への出願を認めている場合があります。
大学を卒業していないからといって諦める必要はありません。まずは進みたい大学院の情報を調べ、自分に何が足りないのかを確認してみるとよいでしょう。ただし、個別の入学資格審査はすべての大学院が実施しているというわけではありません。また、入学資格審査に合格すれば大学院に入学できるわけではなく、その後の入学試験に合格する必要があります。この方法で大学院をめざす方は、そちらの試験対策もしっかりと進めておきましょう。
通信制大学で学士を取得してから進学する
看護師として働きながら大学院をめざす場合、最も一般的で確実な方法は、まず通信制大学で学士(看護学)の学位を取得し、そのうえで大学院へと進むという方法になります。この方法のメリットは、まず大卒資格を取得できること。大卒資格を得ていれば、全国すべての大学院が受験対象になるため、大学院進学にあたって選択肢を絞る必要もありません。通信制大学ではレポートや論文作成などの課題もあり、文献の収集や読み込み、論理的思考の訓練など、大学院で必要となる能力を培うことができるのも大きなメリットと言えるでしょう。通信制大学での学びはそのまま大学院入試の試験対策にもなります。
また、通信制大学では途中編入の制度もあり、例えば短期大学を卒業している人であれば3年次に編入することが可能になります。時間や費用負担は少し増えますが、確実に大学院へ進学したいという方には、こちらの方法をオススメします。
まとめ 働きながら大学院進学に必要な学士を取得できる大手前大学通信教育部
看護師として働きながら大学院へ進学するのは、後々のキャリアを劇的に変えるものです。ただし、経済面でも体力面でもとても負担が大きく、困難が伴う道でもあります。専門学校や短期大学を卒業して看護師として働きながらも、「今のままでよいのだろうか?」と感じているなら、まずは通信制大学で学士を取得することをめざしてみてはいかがでしょうか。それは新たな知見に触れるだけでなく、その後のキャリアにもつながる第一歩となるでしょう。
ライフスタイルを崩さず、専門知識を学ぶなら大手前大学通信教育部
大手前大学通信教育部は、180科目の幅広い学問領域から自由に授業を選択できる完全自由選択制。通学不要で卒業を目指せる通信制大学です。
あなた自身の興味や目標に応じて、あなただけのカリキュラムで学びを進めることができ、看護専門科目も11科目開講しています。
オンライン中心の学習で、時間や場所にとらわれず学べる
授業も試験も、オンラインで完結できるので通学の必要がありません。忙しい看護師でも学びやすい環境です。
基礎から応用まで心理学を幅広く学べるカリキュラム
心理学系の授業が充実しており、臨床現場やリーダーに必要とされる知識を身につけることができます。
卒業後に学士(看護学)の取得をめざせる
「看護学コミュニティ」など、卒業後に学士(看護学)の取得をめざせるサポート体制も充実しています。
看護系の専門科目も充実
国際看護学、災害看護学など多様な看護専門科目をはじめ、心理学やマネジメントスキルも充実。目標に応じて学びを深めることができます。
看護専門科目一覧
国際看護学
グローバル化が進む世界の保健医療の実態と多様性について学びます。
看護と東洋の知恵
漢方医学を中心とした授業で、東洋の医学における看護の役割について理解を深めます。
多文化社会と医療
国内外の事例などから実践的な知識を学び、多文化社会での医療を考えます。
看護と人間の生涯発達
看護職者として、対象者の発達段階をふまえ、“生涯発達”の視点で多角的・長期的な思考力を養います。
歯科保健と看護
口腔保健の基礎や、ライフステージごとの歯科保健と口腔ケアの知識を学びます。
看護栄養学
ライフステージごとの健康増進と生活習慣病や疾病の重症化を予防する食支援を学びます。
性(セクシュアリティ)と看護
多様な人々やライフステージにおける性(セクシュアリティ)の現状と課題、支援を考えていきます。
家族看護学
家族看護の基本的な考え方と家族看護理論、家族看護過程について体系的に学びます。
災害看護学
災害医療・災害看護の実践、備えの必要性を理解し、各自で防災・減災対策の備えができることをめざします。
看護イノベーション学
多様化する社会の健康課題について看護業界のイノベーターからさまざまな実践を学びます。
人間関係の小児看護論
家庭や医療、教育など、こどもと関わるさまざまな分野において、看護職として今、どのようなケアが必要なのか考えます。
卒業生の声
大学での学びがきっかけで、大学院へ進んだIさんのケース
私はこれまで、自身の状況や子どもの成長に合わせて、大学病院・総合病院・クリニックなどで勤務形態を変えながら仕事を続けてきました。大学病院や総合病院は、新しい知識や技術を取得する機会が豊富です。ですが、そこから離れると、何かを学ぶには自ら行動をおこす必要があります。子育てと仕事の隙間時間でできる方法はないかと模索していた時に、大手前大学通信教育部に出会いました。進学の決め手は、入学前からの事務職の方の対応の良さ。些細な質問にも丁寧に、そして親身になって答えてもらえるサポート体制であれば、社会人入学でも安心して最後まで学べると確信できました。
在学中に看護系の科目は全て受講しましたが、先生方の経験やアドバイスも盛り込まれていて、先生方をより身近な存在と感じることができました。質問することも可能ですし、必ず丁寧に回答していただけるので、それが励みになりました。印象に残った科目は「看護イノベーション」ですね。看護イノベーションとは、新しいアイデアや技術などを取り入れることで看護の質や効率を高める取り組み。受講していくうちに、看護や看護職の新たな可能性に気づかされ、自分でもやってみたいことをレポートにまとめる際は、ワクワクしました。
卒業後は「看護学コミュニティ」に入会。1年をかけて学士(看護学)の学位取得に向けてレポートに取り組み、大学院進学の道も開けました。わずか2年で人生が大きく変わった実感があり、思い切ってチャレンジしてよかったと思っています。
今後の目標は、「女性への健康支援」を今よりももっと充実させていくこと。生涯働くことを選択する女性の割合が増えるなか、女性特有の健康問題への支援は急務。私も、自身のこれまでの経験や学びを活かし、看護職の視点からこの問題に貢献できればと考えています。



