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2024.04.082024年度入学式 学長式辞(2024年4月3日)

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。ご家族・保護者の皆様の喜びもひとしおのことと存じます。大手前大学を代表して、お祝いの言葉を申し述べさせていただきます。

 はじめに大手前大学の歴史を少しお話しさせていただきたいと思います。本学のルーツは、1946年、初代理事長 藤井健造先生が大阪城大手前に創設した「大手前文化学院」に遡ります。大阪城内の中部軍司令部報道部に所属する情報将校として終戦を迎えた藤井健造先生は、戦禍を浴び焦土と化した大阪の地に立ち、「情操豊かな女子教育」を通じて日本を再興することを発眼し、精力的にその教育の根幹を充実させていきました。

 その後、文化学院は順調に発展し、1951年に大手前女子短期大学を、続けて1966年には西宮市夙川の地に大手前女子大学を開学し、さらに2000年に女子大の男女共学化に踏み切り現在に至ります。再来年の2026年は大手前学園創立80周年、大手前大学創立60周年を迎える記念すべき年となります。

 現在は大手前大学には、さくら夙川キャンパスのリベラルアーツ系4学部と、大阪大手前キャンパウのヘルスケア系2学部、合計6つの学部があります。また通信教育部と2つの大学院研究科を擁しています。学部はそれぞれ異なる学問を扱いますが、建学の精神である「STUDY FOR LIFE」(生涯にわたる、人生のための学び)はすべての教職員に共有されています。また、建学の精神にあわせてカトレアの花をモチーフとする校章「OTEMAE FLOWER」が制定されています。

 お手元の入学式の式次第をご覧ください。OTEMAE FLOWERは5枚の花びらをもっていますが、その一片ひとひらに、1)情熱、2)好奇心、3)知性、4)健康、5)真善美に対する憧れといった意味が込められています。最後の「真善美」とは難しい言葉ですが、「真」は真実・真理を追求していく知性を。「善」は自分と自分自身以外の誰かを共に幸せにする、言い換えれば社会全体の幸福を実現しようとする精神性を。「美」は美しいものを美しいと感じる感性を意味しています。つまり真善美とは知性、精神性、感性のそれぞれを人間として理想の状態に置くということです。

 OTEMAE FLOWERの花びらの意味と重ねて考えてみれば、STUDY FOR LIFEの「人生(LIFE)」とは、「真善美に対し強い憧れを抱き、よい社会の実現に情熱を燃やす。そのために好奇心を持って知性を磨き、のびのびと健やかに成長していく人生」と表現できるでしょう。もしあなたが現在こうした状態にいるのであれば、それはあなたが人生のウェルビーイングを実現していることを意味します。

 「STUDY FOR LIFE」のもう一つのキーワードであるSTUDYは、そうした人生のウェルビーイングを実現するための「学び」を意味します。学ぶとは自分を創りあげていく自己創造の営みです。学びは教科書をそのまま反復する「勉強」とは異なり、自発的・能動的なものです。自分自身で対象を見つけ、調べ、考え、発信することを学びと言います。

 学びたいという気持ちはいつでも「胸の衝動」から始まります。ある人は自分の弱さを自覚しそれを克服したいと心理学を学ぼうと思うかもしれません。ある人は漫画が好きで自分でも描いてみたいと学びが始まるかもしれません。ある人は海外のドラマにハマってその国の文化や歴史を学びたいと思うかもしれません。

 そうです。学びは何時だって胸の衝動から始まります。自分には学びたいことましてや「胸の衝動」なんてないというあなたも、心配しなくて大丈夫です。大手前大学はあなたの学びたいという「胸の衝動」に火をつけます。教員は授業を通してあなたの学びたいことは何かを問い続けます。あなたの興味や関心或いは「推し」を学びに転換する道筋をコーチします。こうしたあなたと一対一(1on1)で向き合う指導方法を、私たちは「胸を打つ教育」と呼び、教職員全員の大切な行動原則としています。

 新入生の皆さん、これから4年間、どうぞ好きなことを思う存分学び、そこから問題意識を育み、情熱を燃やす人生の目標を見つけていってください。さくら夙川キャンパスと大阪大手前キャンパスは、それぞれ四季折々の美しい自然の姿をみせる夙川公園と大阪城公園に隣接しています。明日からキャンパスで皆さんと共に学べることを楽しみにしております。

 新入生の皆さん、ご入学、本当におめでとうございます。

 

大手前大学 学長 平野光俊